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△9四歩は金の補充を見せながら、相手の寄せに対応しにいく手。控室では一回▲8六玉と取り、△9五歩に▲4一馬(▲1四桂以下の寄せを狙い、△3一金なら▲7四馬で上部脱出)で後手難局ではと見られていたが、羽生の指し手は違った。羽生の選択は▲5三桂成。この駒が動けば、▲6五銀から上部脱出する筋も生じる。一例は△9五歩▲4二成桂△8五銀▲6五銀。20時前、残り時間も少なくなり、両者とも前傾姿勢になっている。(烏)
再開の一手は▲9五金。「これは自分が優勢だと言っている手ですよ。私も大盤解説会で、もしかしたらあるかもしれないと挙げていたのですが……」(中村太六段)以下、△8七歩▲同金△8六飛▲同金△同馬(C図)まで一気に進んだ。この局面で先手玉が寄るかどうかの勝負だが、控室は後手の攻めが薄いのではという見解。
(烏)
(渡辺王座の注文はラーメン)
(おにぎりセット、ジュース)
千日手説も出ている微妙な局面で夕食休憩に入った。現局面までの消費時間は▲羽生3時間34分、△渡辺3時間43分。再開は19時。再開後すぐに千日手になった場合は、関係者で協議を行うことになるという。
(中村太地六段と鈴木環那女流二段)(烏)
夕休間近の78手目。ここから▲6二馬△8一飛▲6三馬△8四飛の順を繰り返すと千日手になる。控室は打開手順が調べられているが、まだ具体的な手段は見つかっていない。
(控室に岡崎洋六段が訪れた。たしか前日深夜まで順位戦を指していたはずだが……)「昨日遅くまで将棋を指して、しかも負けてしまったので、時空を変えようかなと思って勉強に来ました」(岡崎六段)「岡崎さん、おいくつでしたっけ? えー、45歳ですか。25歳なら驚きませんが、45歳で岩手県に勉強にいらっしゃるとは、いやはや恐れ入りました」(森下九段)
17時頃、控室では屋敷九段と中村太六段がモニタの盤面を見ている。カメラを向けると、屋敷九段は「それじゃあ盤の前に行きましょうか」とニコニコ顔で検討を始めた。
(文)
(入り口、両サイドにも立ち見が出ている)
(この時間帯は、島九段と森下九段のコンビ)
「ここでお話したことは、ここだけということで」(島九段)「よろしくお願いいたします」(森下九段)
棋界裏話が聞けるのも大盤解説会の醍醐味だ。
羽生二冠が攻め、渡辺王座が受けにまわる展開。ここで▲2四桂と跳ねると、△2二金▲2三歩△同金▲1三桂成△6八角成(B図)の大決戦が予想される。B図から▲6八同金引(寄)は、△2四歩と受けられても先手陣のキズが大きそうだ。また▲2三飛成(詰めろ)と行くのも、△7八馬▲同玉△1二香とされて容易ではない。その局面は後手銀得。駒が入れば△8九角や△8七飛成から詰む筋があり、むしろ後手がやれそうとの意見が出ている。