第62期王将戦七番勝負第1局 Feed

2013年1月14日 (月)

Kif95

佐藤康王将は持ち駒の桂を3七に打ちました。2九桂の跳ね場所に桂、そして3七桂の跳ね場所にも桂。桂がナナメに3個つながったような形は、苦心の受けを思わせます。「▲4五桂(93手目)は不思議な手だった。単純露骨な▲3四桂ではいけなかったのかな」と青野九段。

Kif90

▲5八銀(83手目)に渡辺明竜王の応手は△3六金でした。そこから指し手が再度加速して▲2五玉△4六馬▲3七歩△1四歩▲同歩△1八歩まで進んでいます。渡辺明竜王は時間を残していますが、この早さは読みきったということでしょうか。16時15分ごろ、佐藤康王将が激しくせき込みました。


F015
(青野九段は検討しながら「まだなにか起こるかもしれない」とつぶやく)

Kif83

少考で手を進めていた渡辺明竜王ですが、図の局面で手を止めました。83手目▲5八銀(図)は退路の確保を狙った渾身の受け。佐藤康王将が73手目に1時間9分考えた際にひねりだした手と思われます。


Kif77

前期第1局、佐藤康王将は三段目の玉(▲5七玉)で勝利を手にしました。本局はさらに上、五段目まで上がっています。しかし前期と違って本局は▲3七「同」玉~▲3六「同」玉~▲3五「同」玉と、相手に強制された結果の中段玉。前期とは事情が異なります。渡辺明竜王が盤上をコントロールしています。

Kif72

先手玉に王手がかかった局面で佐藤康王将が考えています。中座七段、阿久津七段ともに後手持ちの見解です。控え室では「受けがない」という声もあります。佐藤康王将にとっては苦しい長考かもしれません。15時15分ごろ、記録係が佐藤康王将に「残り30分です」と告げました。


F014

130113_71図は71手目▲4八金まで。渡辺竜王が熟考しています。控室では中座七段が△3六歩を検討。ニコニコ生放送の阿久津七段も指摘しています。
△3六歩以下▲同銀△2四桂▲3五歩△3六桂▲同玉△4七銀▲同金△3五飛▲同玉△4七馬(参考図)が一例。飛車をバシッと捨てる強襲。守り駒のない先手玉は詰めろではありませんが、受けは難しい状況です。放っておくと△5三銀が詰めろになります。中座七段は「自分の読みでは受けが分かりません」と話します。
130113_sanko3参考図以下▲4九飛は△3四歩▲4五玉△4四歩▲同角△4八歩(参考2図)が軽妙な手順。次いで▲同飛寄△同馬▲同飛△3三銀となれば後手の攻めは途切れませんし、守りもしっかりしています。
130113_sanko4

Kif68

対局再開から△2四飛▲2五歩△同桂▲2六歩△3七桂成と進んで図の局面。あっという間のできごとでした。渡辺明竜王の指し手の早さをみた中座七段は「自信があるのでしょうね」。桂損の攻めですが手が続けば後手の堅陣が光ります。