2021年1月

2021年1月10日 (日)

Dsc_2424(森内九段と神谷八段が検討している)

701053図は12時ごろの局面。森内九段に午前の感想を聞きました。
「互いに呼吸が合ってテンポよく進めています。まだ想定局面から外れていないでしょう。図は岐路で後手にいくつか有力な手段があります。1日目にどこまで進むか、先の読めない展開です」

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いきなり桂を捨てる、激しい展開になりました。現代角換わりを象徴する定跡で、研究の比重が高そうな将棋です。


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2図は11時15分ごろの局面。神谷八段は「もう終盤戦になってしまったね」と話しました。2019年12月の▲渡辺明三冠-△広瀬章人八段戦(順位戦A級)と2020年1月28日の▲藤井聡太七段-△澤田真吾六段戦(棋聖戦二次予選)が前例です。もし▲1五歩△同歩が入っていれば、今期挑戦者決定リーグ戦の▲広瀬八段-△藤井聡王位・棋聖戦と同じ形でもあります。


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クラウンドファンディング(王将戦記念誌「70年のあゆみ」を出版するプロジェクト=終了)のリターン品や今期七番勝負の記念扇子を紹介します。

【王将戦記念誌「70年のあゆみ」を出版するプロジェクト(終了)】
https://camp-fire.jp/projects/view/301815

Dsc_2376(「王将戦70年のあゆみ」と「王将戦オリジナルフォトブック」)

Dsc_2378(フォトブック。右下は第41期第1局、南芳一王将と谷川浩司三冠)

Dsc_2384(「王将戦70年のあゆみ」第52期のページ)

Dsc_2387(同第54期)

Dsc_2350(歴代王将のクリアファイル)

Dsc_2365(クリアファイルの裏面。肩書は全員王将)

Dsc_2368_2 (歴代王将の名前が入った扇子)

Dsc_2393(こちらは今期の記念扇子。鬼と静)

対局開始には、立会人の森内九段と、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段が立ち会いました。森内九段は王将戦七番勝負登場2回、第53期王将。佐藤九段は七番勝負登場8回、第51期と第61期の王将です。

Dsc_2304(森内九段)

Dsc_2153(佐藤康光九段)

対戦成績は渡辺王将10勝、永瀬王座3勝。渡辺王将が3連勝中です。番勝負としては、第28期竜王戦挑戦者決定三番勝負と第43期棋王戦五番勝負があり、いずれも渡辺王将が制しています。
先後別では、渡辺王将は先手で7勝1敗、永瀬王座は先手で2勝3敗1千日手。今期の永瀬王座は先手番での勝率が高く「後手番は課題」と話しています。奇数局は番勝負のポイントになりそうです。渡辺王将は、永瀬王座がタイトルを獲り始めたここ2年ほどはあまり対戦していないことを踏まえて「王将戦は新しい七番勝負になる」と気を引き締めていました。

2015/01/19 渡辺勝ち 第8回朝日杯本戦 99手 角換わり・腰掛け銀
2015/04/23 千日手  第63期王座戦本戦 51手 角換わり・後手棒銀
2015/04/23 渡辺勝ち 第63期王座戦本戦 113手 横歩取り
2015/08/11 渡辺勝ち 第28期竜王戦挑決第1局 126手 矢倉
2015/08/31 永瀬勝ち 第28期竜王戦挑決第2局 104手 矢倉
2015/09/14 渡辺勝ち 第28期竜王戦挑決第3局 121手 角換わり・腰掛け銀
2017/01/16 渡辺勝ち 第58期王位戦予選 87手 横歩取り
2018/02/12 渡辺勝ち 第43期棋王戦第1局 189手 先手矢倉・後手雁木
2018/02/24 永瀬勝ち 第43期棋王戦第2局 123手 角換わり・先手棒銀
2018/03/11 渡辺勝ち 第43期棋王戦第3局 103手 角換わり・後手棒銀
2018/03/20 永瀬勝ち 第43期棋王戦第4局 161手 相掛かり
2018/03/30 渡辺勝ち 第43期棋王戦第5局 109手 相居飛車力戦
2018/07/05 渡辺勝ち 第66期王座戦本戦 114手 先手雁木
2019/05/29 渡辺勝ち 第32期竜王戦1組決勝 122手 角換わり・腰掛け銀

※上記は対戦成績。左から、日付、勝敗、棋戦名、総手数、戦型。

701017_3第1局は角換わりになりました。過去の対戦でもよく指されている戦型ですが、腰掛け銀ばかりではありません。双方の作戦に注目です。

Dsc_2317(初手▲2六歩)

Dsc_2331(2手目△8四歩)

永瀬王座は8時38分、渡辺王将は48分に入室しました。振り駒は松井市長が行い、結果は歩が5枚でした。渡辺王将の先手番です。永瀬王座は番勝負はスーツで臨むと宣言しています。この件は渡辺王将も了解済みとのことです。

Dsc_2172 

Dsc_2183 

Dsc_2208(渡辺明王将)

Dsc_2195(永瀬拓矢王座)

Dsc_2249(松井市長が振り駒を行う)

Dsc_2255(天高く駒を振った)

おはようございます。掛川は快晴ですが、朝の気温は氷点下まで下がったようで、近くの池は氷が張っていました。対局1日目のスケジュールは以下のとおりです。

09時00分 対局開始
10時30分 午前のおやつ
12時30分 昼食休憩
13時30分 対局再開
15時00分 午後のおやつ
18時00分 封じ手

Dsc_2106(掛川城)

Dsc_2349 (二の丸茶室にて)

2021年1月 9日 (土)

Dsc_2003(対局者抱負 渡辺明王将)

掛川での対局は私にとって6回目になります。ここは好きな場所の一つです。何より相性がいいんですね(過去5戦全勝)。あと、おみやげをたくさんいただけます。名産の掛川茶やフルーツですね。おみやげの量と質は日本一ではないかと思います。いつも非常に楽しみにしております。掛川城をのぞむ茶室で新年早々に対局できるのは棋士冥利に尽きますし、素晴らしい対局場を用意してくださりありがたく思います。
思い返しますと、昨年もこの場所で前夜祭や打ち上げがあり、来年は第70期ですねという話から1年たちます。まさか1年でこういう状況になると想像できませんでした。節目の70期で盛大にパーティーが開かれていたはずで、こういう状況になったのは残念ですが、こうした中で掛川対局を実施いただけることで、明日からの2日間でタイトル戦にふさわしい将棋を発信できるように頑張ります。

Dsc_2037 (対局者抱負 永瀬拓矢王座)

このような状況の中でも、将棋界を支えてくださる皆さまに厚く御礼申し上げます。こうした状況だからこそ、ファンの皆さんに楽しんでいただけるよう、自分なりに全力を尽くしたいと思います。明日からどうぞよろしくお願いいたします。

Dsc_2015


以上で対局前日のブログ更新を終わります。明日もよろしくお願いします。(牛蒡)