2020年2月
両対局者が大盤解説会場に
終局直後
――初日から前半を振り返っていただきます。
「あまり実戦例の多くはない形になったと思うのですが、予想よりも早く仕掛けられて。歩を得するんですが、どうまとめるかという将棋で、封じ手の近辺ぐらいからずっと苦労しました」
――2日目の封じ手以降で、右桂を跳ねられて優位な形に持っていったのではないですか。
「ギリギリのタイミングだと思いました。銀との交換になれば互角ぐらいはあるのかなと。あまりいいとは思っていなかったです」
――優勢を意識したのはどの辺りでしょうか。
「飛車を取られていきなり攻め合いの形になったのですが、▲6三歩(89手目)で何もなければこちらの指し手が割とわかりやすいので、少し残しているような気もしましたが、わからなかったです」
――中盤は激しいつばぜり合いになり、終盤はいかがでしたか。
「後手玉が広くて、馬を引きつけられて粘られてしまいました。持ち時間も少なかったので、やってしまったところもあったかなと思いましたが、自玉との兼ね合いを見ながらギリギリに逃げ切れるかなと思いました。こちらもトン死筋があるんですが、▲3九歩(119手目)と打って少し勝ちになっているような気がしました」
――2勝2敗になり、5局以降に進みます。今後へ向けて心境をお願いします。
「星を戻せたので、仕切り直しの三番勝負ということで佳境に入っていきますが、変わらずに一生懸命頑張りたいと思います」
【敗れた渡辺明王将のインタビュー】
――封じ手の辺り、長考になりましたが、どういった理由でしたか。
「今日の午前中ですね。▲2四角(51手目)と出られたところは手が広いので長考になりました。封じ手の辺りも含めて手が広く、指された手に対応しようと思っていました」
――昼食休憩を過ぎて、指しにくい状況になっていったのでしょうか。
「歩を5~6枚ぐらい損している展開だったので、1歩足りない変化が多かったような。ちょっと無理があって、1歩足りない将棋になってしまったという感じでやっていました」
――それが終盤まで響いたのでしょうか。
「終盤まで歩が足りない変化が多かったので。飛車を持ち合ったあたりは少し足りないと思いました」
――最後は追い込みを掛けたように見えましたが。
「1手足りないかなと思って指していました」
――4局続いて先手の勝ちが続きました。第5局以降についてお願いします。
「3月になって月が変わって、年度末にもうひと踏ん張りしたいというところです」
広瀬八段勝利 七番勝負は2勝2敗に
渡辺明王将に広瀬章人八段が挑戦する第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第4局は、19時11分に129手で広瀬八段の勝ちとなりました。消費時間は▲広瀬7時間58分、△渡辺7時間59分。七番勝負は両者2勝2敗と五分です。第5局は3月5・6日に大阪市「KKRホテル大阪」で指されます。
後手が粘るも形勢は先手よし
広瀬八段に誤算があったのか、予想外の展開になっています。渡辺明王将が辛抱してこらえていますが、形勢は依然として先手の広瀬八段がいいようです。広瀬八段がじわじわと後手を追い詰める指し回しを見せています。
継ぎ盤の駒が動き出す
先手が勝ちに向かっている
控室は先手持ち
15時56分。図の局面を迎えていた。広瀬が席を外すと、渡辺はお盆に置かれていたショートケーキに手を伸ばした。出されたおやつはすぐに食べることが多い渡辺明王将だけに、形勢が苦しいと見ているのかもしれません。控室の中田宏八段も「先手持ち」と話しています。