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2025年4月

2025年4月11日 (金)

ご観戦ありがとうございました

福間香奈女流名人

以上で岡田美術館杯第51期女流名人戦の中継を終了いたします。来期は「ユニバーサル杯第52期女流名人戦」の名で開催し、すでに女流名人リーグはスタートしています。

【ユニバーサル杯第52期女流名人戦 - 女流名人リーグ】
https://www.shogi.or.jp/match/jo_meijin/2025/52hon.html

果たして福間女流名人への挑戦者は誰になるのか。来期も「女流名人戦中継サイト」でお楽しみください。本日はご観戦ありがとうございました。

(夏芽)

囲み取材

感想戦終了後、福間香奈女流名人への囲み取材が行われました。

囲み取材

福間女流名人

―― 通算14期目の獲得を決めたいまの気持ちについて。
福間 フルセットになったので、いまはほっとしています。

―― 終局直後のインタビューで「いいところと悪いところがあった」という風に、シリーズを振り返られていた。
福間 第1局、第2局は自分のなかで決断よくのびのびとした将棋を指させていたと思います。ですが、第3局の逆転負けから少し流れが変わってしまって、第4局もあまりいいところなく、苦しくなり、そのあたりのことを指しています。

―― 復帰後、公式戦11連勝から西山女流三冠に3連敗というなかでの対局だった。
福間 星取りはそうかもしれませんが、内容的にだんだん悪くなっていってる感覚がありましたので、自分の将棋を指せるように心がけていました。

―― 連敗を止めたのは、何が大きかったか。
福間 流れはすべてにおいて悪かったと思うんですけど、家族がいるおかげで切り替えられることが多かったように思うので、それがすごくいい方向に向かったのかなと思います。主人が色々サポートしてくれたので、それがすごく大きかったです。

―― 本棋戦では、いままでフルセットに3回持ち込まれてすべて勝利。今回で4回目の勝利となった。フルセットの対局というなかで、心の持ち方、意識というもので何か特別なことは。
福間 なかなかフルセットは味わうことができないので、どちらかというと結構ワクワクしていたところがあります。

―― 自分の強みはどのようなところで出たか。
福間 ある程度対策は決まっていたので、自然体でいつもどおりだったと思います。第3局、第4局と読み抜けがあったので、本局はそういったことがないよう、しっかりと読みを入れて指すことができたのかなと思います。

―― これまでいろんな女流棋士と対戦してこられた。いまは西山女流三冠との対戦がとても多い。やはり特別な存在となるのか。
福間 すごく鋭く切り込まれるところだったり、最後まで粘り強く指されるところだったり、棋風はまったく違うように感じます。考えていないような手をパッとされることもあって、対局していて毎回新鮮なところがあります。

―― 西山女流三冠とのタイトル戦が続く。今後のタイトル戦についての思いは。
福間 本局はしっかり準備して臨むことができたと思うので、今後も目の前の対局に集中できたらなと思っています。

福間女流名人

(夏芽/インタビュー書き起こし:武蔵)

感想戦

感想戦

福間女流名人

西山女流三冠

西山女流三冠

感想戦
(感想戦は17時34分に終了。第51期の女流名人戦が終わった)

(夏芽)

終局直後

終局直後
(終局直後の様子)

福間香奈女流名人

▼福間香奈女流名人の談話

── 本局は相振り飛車になりました。序盤の作戦は。
福間 1手1手考えながらやっていました。

── 昼食休憩前、▲8五桂と跳んで仕掛けていきました。
福間 難しいところでなので、ゆっくり考えてから昼休明けに指そうかなと思っていました。

── ▲7一と~▲5五角と進んだ手応えは。
福間 難しいと思ったのですけど、玉形が結構しっかりとしているので、攻めに専念しやすいかなと思っていました。

── よくなったと感じた局面は。
福間 ▲6三角と打っていった辺りです。

── 一局を振り返って。
福間 中盤辺りが難しい将棋だったかなと思います。

── シリーズ全体を振り返って。
福間 自分の悪いところもたくさん出てしまったかなと思うのですけど、最後まで気持ちを切らさずに指すことができたかなと思います。

── 女流名人防衛です。
福間 しっかり負けた将棋を改めて反省して、次に向かえればと思います。

西山朋佳女流三冠

▼敗れた西山朋佳女流三冠の談話

── 序盤の駒組みは。
西山 端を攻められる展開になりやすいと思っていたのですけど、本譜の形で受けてどうなのかなと思っていました。

── 昼食休憩前後の形勢判断は
西山 ▲7五歩があまり読めていなかったので、そのあとどういう方針で指していいか、よく分からなかったので、本譜はかなり模様を悪くしてしまったのかなと思っていました。

しっくりくる手が見つけられなかったので、火がつきすぎているような。実戦的にはちょっとずつ大変な将棋だと思っていました。

── 長く粘る展開が続いていました。
西山 成香が2枚なので、入玉さえできれば混沌としてくるかなと思ったのですけど、本譜はちょっとずつ足りないというか、入玉できたとしても駒数の差がつらい展開になりそうだったので、少し厳しいと思っていました。

── どのあたりで形勢を悪くしたのか。
西山 ▲9六金打で絡まれてみると結構玉が狭いので、反撃に転じるタイミングも難しく、少しずつ厳しいと感じました。

── 一局を振り返って。
西山 やはり▲7五歩と突かれた辺りの手順で、もう少し何かあったのかなという気がします。

── シリーズ全体を振り返って。
西山 力戦調の出だしの将棋で、1手1手の形勢判断をできるだけ誤らないように思いながら指していたので、結果に直結するような局面での形勢判断があまり思わしくなかったたり、そういったところが課題なのかなと思います。

── 来期リーグに向けて。
西山 色々な方々と指す機会になるので、色々と楽しみを見いだしつつ指していければと思います。

(夏芽)

福間女流名人の防衛が決まる

Joryumeijin202504110101141岡田美術館杯第51期女流名人戦五番勝負第5局▲福間-△西山戦は141手までで、福間女流名人の勝ちとなりました。終局時刻は16時57分。消費時間は、▲福間2時間19分、△西山2時間41分。勝った福間女流名人は3勝2敗で防衛を決めました。女流名人通算14期目の戴冠となります。

(武蔵)

厳しい寄せ

▲6三角

最終盤の局面、図の福間女流名人の▲6三角が厳しい寄せで、後手の入玉が難しくなってきたようです。以下△8五角の受けには▲7三銀△9四玉▲7四銀△9六角に▲8三銀不成と入る妙手順(変化図)があります。

変化図

桜
(JR高槻駅前の桜は、少し緑の葉が見え始めている)

(夏芽)

両者、残り1時間を切る

△8三桂

福間女流名人が西山玉に厳しく迫っていますが、図の△8三桂が受けの好手で、まだまだ大変な局面のようです。▲8五金△同歩で交換になれば、後手は△9四玉~△9五玉~△9六玉の上部脱出が見えてきます。両者とも残り時間は1時間を切りました。

福間女流名人

(夏芽)

西山女流三冠の粘り

△7六香

盤上は、福間女流名人が駒得で十分な態勢を築いていますが、西山女流三冠も粘り強さを発揮しています。図の△7六香が「攻め駒を責めよ」の勝負手。▲9五金の王手が怖いですが、あえて金を使わせたほうが受けやすいと見ています。

実戦は△7六香に▲9五金△9三玉▲5二歩△7七香成と進行(下図)。先手の攻め方次第では入玉も視野に入りそうです。

△7七香成

西山女流三冠

駒音公園
(関西将棋会館の前にある駒音公園。今年の3月に開園した)

駒音公園
(庭園には盤駒に使われるツゲ、カヤ、カツラなどが植えられている)

(夏芽)

午後のおやつ

15時、両対局者に午後のおやつが用意されました。おやつは両者共通で「レモンのパウンドケーキ」、飲み物は福間女流名人が「アイスロイヤルミルクティー」、西山女流三冠は午前と同じ「アイスカフェオレ、リンゴジュース、レモンスカッシュ」を頼んでいます。

おやつ(福間)
(福間女流名人のおやつ)

パウンドケーキ
(レモンのパウンドケーキ)

ドリンク
(西山女流三冠は午前と同じ、3種の飲み物を再開時に頼んだ)

(夏芽)

にぎわう控室

▲8一と

盤上は、その後も福間女流名人の攻めの手番が続いています。図の▲8一とは、次に▲5五桂の両取りが狙い。先手は「金無双」の囲いが手つかずで残っていますが、後手玉も逃げ場が広いため、まだ簡単には捕まりません。見応えのある攻防が続いています。

長沼洋八段
(控室には長沼洋八段が来訪し、継ぎ盤の検討に加わっている)

控室
(日本将棋連盟専務理事の脇謙二九段も控室に顔を出した)

(夏芽)

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