終局後インタビュー
終局後、両対局者に主催紙インタビューが行われました。
□伊藤新女流名人のインタビュー
-- 一局を振り返って。
序盤はゆっくりしているとまずくなるのかなと思って、自ら駒をぶつけていました。遠い場所の開戦で相手にはしてもらえないかと思いましたが、仕掛けられたあたりは難しいのかなと思って指していました。
-- 序盤を振り返って。
こちらは自然に指し進めていたつもりでしたが、少しわかりませんでした。
-- 先にと金作った局面(46手目)について。
と金が生きる形にしたいなと思っていましたが、桂を逃げられるような変化もあったので、と金が残ってしまわないように指したいと思っていました。
-- △4九飛(58手目)と攻めに転じた局面は。
わからなかったです。天守閣美濃は飛車に強い形ですので。ただ、こちらも割と堅めの陣形でしたので、難しいのかなと思いました。
-- ▲2五桂(61手目)あたりの中盤戦について。
できれば中央に使いたいはずの桂だったと思うので、こちらはこちらで主張があるのかなと。
-- よくなったと思った局面は。
ずっとわからなかったんですよ。玉頭戦なので1手間違えるとすぐに終わってしまうので。最後の最後まで本当にわからなかったです。
-- 最終盤はどのような思いで指していたか。
時間がどんどんなくなっていく中で、間違えないようにしたいなと思っていました。
-- 勝ちを確信したのは。
△8六桂(112手目)と打ったところで、受けが難しそうなのかなと思いました。
(質問に目を赤らめる場面も見られた)
-- 初挑戦から7年、9度目の挑戦でのタイトル獲得について。
うれしいです。ずっと応援してくださる方がいらっしゃったので、結果を残せてよかったなと思います。
-- 里見女流名人からタイトルを獲得した点について。
これだけ長くの間、いろいろなタイトル戦で安定した成績を収められている方なので、すごいなと思います。こういう舞台で何度も戦わせていただいて、うれしいです。
これまでいろいろ経験をさせていただき、確実に自分の成長につながっているのかなと思います。将棋に対する向き合い方などが変わったのかと思います。
-- これからの夢について。
タイトルを持たれている方は、素晴らしい方、強い方ばかりです。自分も見合った実力をつけなければいけないと思うので、これからもがんばっていきたいです。
■里見女流名人のインタビュー
-- 一局を振り返って。
うまく仕掛けることはできたと思いましたが、攻め方がひどくて、時間を使った割に正解が指せなかったのが悔やまれます。
-- 序盤について
いい形で仕掛けることはできたので、作戦的にはまずまずかなと思っていました。
-- 4筋に飛車を回った構想(43手目)は。
いちばん自然に指したつもりだったので、いけると踏んで本譜で攻めていきました。
-- 飛車交換から▲4一角(53手目)と据えた局面について。
▲3四角と迷っていました。本当は切り合っていく順を考えていたのですが、自重してしまって均衡を保てませんでした。攻め方が変だったと思います。
-- ▲2五桂(61手目)と跳ねた局面について。
当然▲6三角成と切って、中央に桂を活用しなければいけませんでした。ちょっと大局感がおかしかったです。踏み込んでいく順を考えていて、そちらを選ぶべきでした。
-- 終盤について。
あっさり、と金を金と交換した(67手目)のですが、やや苦しく、細い攻めになりました。馬が使えていないのがひどく、苦しいかなと思っていました。
-- 今期の4局を振り返って。
スタートダッシュが悪くて、1、2局目でだいぶ乱れてしまいました。そのあたりが自分の弱さかなと思っていました。
-- 17歳から守り続けた女流名人を失った点について。
いつかは当然負けてしまうことはわかっていました。ただ、長きにわたってタイトルを保持していく中で、人間的に成長させていただくことがかなり多かったので、女流名人戦という棋戦に感謝したいです。
-- 20代最後のタイトル戦だった。指し盛りを迎えるにあたってどのような目標があるか。
ソフトが普及してきていて、振り飛車が厳しいとされている時代ではありますが、その中で自分の個性を生かした将棋を指せていけたらと思います。
(書き起こし=武蔵)
(潤)