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2018年1月27日 (土)

前夜祭(2)

Photo(主催者あいさつ 早川正・報知新聞社代表取締役会長)


「第44期を迎えます岡田美術館杯女流名人戦の第2局。今日は出雲の前夜祭にお越しいただきまして誠にありがとうございます。44期というのは、女流のタイトル戦の中でも大変長い歴史になるわけですけれども、こうして積み重ねることができましたのも、多くの方のお力添えの賜物でありまして、改めてお礼を申し上げたいと思います。将棋界はご承知の通り、大変素晴らしい風が吹いていて、羽生善治永世七冠に国民栄誉賞、若い藤井聡太四段の台頭もあり大変活況を呈しております。私は棋士に方が発する言葉や空気にいつも心を動かされております。最近でも『文芸春秋』2月号で羽生さんが、報知の北野(新太)記者のインタビューに答えておりまして『以前、自分は確立された方法論によって実力が拮抗する将棋界を高速道路の渋滞にたとえていたことがあります。しかし今はどこにいくのか分からない高速道路が次から次へと建設されているような時代なのです。いまどこに向かっていて、どの辺を走っているのかという段階的な理解が全然できないです』と。天才と呼ばれる人たちの葛藤を、この短い言葉の中に感じて大変しびれました。おそらく里見女流名人も伊藤女流二段も、同様の心境ではないかと。だからこそ日頃、将棋に縁遠い皆さまもこの対局に注目していることと思います。どうか明日は力の限りを尽くして、箱根(第1局)は里見女流名人が勝たれましたけど、伊藤さんもそれから2週間策を秘めて、甲子園に乗り込むジャイアンツのような心境で向かっておられると思います。明日は両棋士ともに頑張っていただきたいと思います」

Photo_2(主催者あいさつ 清水市代・公益社団法人日本将棋連盟常務理事)

「皆さまこんばんは、日本将棋連盟の清水市代でございます。本日はこのような盛大な前夜祭にお招きいただきまして誠にありがたく存じます。この会場に入りますと途端に懐かしい皆さまのお顔を拝見し、本当に嬉しいです。タイトル戦というのは、1局の勝敗で終わりにならないところに大変不思議な感覚があるかと思います。その1局が全局に及ぼす影響は計り知れないのはありますが、たった1局で勝負は尽きません。一瞬の、瞬間的な強さよりも総合的な強さを求められるのがタイトル戦の面白さでもあり、怖さでもあるかなと思います。ですから星のうえで先行している者が必ずしも有利ではありませんし、追い詰められている者が必ずしも不利とも言えません。それがまたタイトル戦の魅力だと思うのですが、逆にタイトル戦というものは、ほんの些細な、たったひとつのきっかけが大きく流れを変えてしまうこともございます。その怖さを知っている者こそが真の勝者と言えるのかもしれません。その大きなタイトル戦をたくさん経験して、ひとつひとつ積み上げてきた里見女流名人は、その怖さを知るおひとりなのではないかと思っております。ですから心安らぐ地元出雲の対局だからこそ、より一層気を引き締めて臨まれるのではないかと思っております。一方、挑戦者の伊藤女流二段は、第1局の箱根で、緊張感も力みも置いてきましたよね?(笑)出雲という地は八百万の神々が集い、出雲の皆さまの優しさ、心意気はスケールとパワーがまったく違います。その皆さまに大歓迎された伊藤女流二段ですから、明日はその名前の通り、サエにサエた一局をご披露いただけることと思います。こうして考えますと、明日はタイトルの鍵を握る大きな一局になることは間違いありません。皆さま、思う存分ご期待ください。今後も女流名人戦により一層のご声援をよろしくお願い申し上げまして、ご挨拶をさせていただきます」

Photo_3(主催者あいさつ 長岡秀人・出雲市長)

「皆さま、ばんじまして(島根の方言で夕方の挨拶)。昨年の4月に『日が沈む聖地出雲』ということで日本遺産に認定されまして、古来、沈む夕日を崇めてきた歴史があり、日本の歴史の中でも少し特殊な場所であります。今年で8回目、女流名人戦をこの地で開催できますことを心から嬉しく思っており、多くの皆さま方に心から感謝を申し上げたいと思います。女流の歴史というのはまだ半世紀も満たず、一方、男性棋士の世界というのは400年を超える歴史があります。その歴史の中で女流棋士の皆さまが、これからしっかりと力を発揮していただくことが女性の活躍、女性の社会のモデルになるのではないかと。その先陣を切っていただいたのが両対局者と清水先生でして、特に清水先生はこの度、女性初の常務理事就任おめでとうございます。清水先生は通算タイトル数が圧倒的1位(43期)。それに次ぐのが里見女流名人(30期)でして、追い越すのはもう少し時間がかかるかなあと。今までいろんな女流棋士が登場されましたけれでも、直近では清水先生が大きな壁となり、里見さんがそれを乗り越えるという目標に向かっていました。今度は里見さんが伊藤女流二段の壁になっているわけで、伊藤女流二段の活躍は、目標に立ちはだかる壁があって、その胸を借りて強くなることかと。女性の力はまだまだ伸びるだろうと思っております。出雲市ではトキの分散飼育をやっており、トキが日本海の荒波を越えるのは、ぜんぶメスなんですね。オスは一歩も外に出ずに巣を作って待つ。メスは荒波を乗り越え、どんどん羽ばたていくタイプ。元々、生物学的に男性は慎重で小心者、気の弱い生き物です。その半面、女性は本気を出したら男性を乗り越える力を持っており、いずれ女流棋士の皆さまが棋界を席巻する機会がくるのではと思っております。ということで伊藤女流二段アウェーと思わずに、出雲というのは国を譲るぐらい広い心を持っています。みんなが応援しますし、度々、出雲にお越しいただきたい。今のおふたりは本当に女流棋界の両雄対決だと思います。次の大きな望みに向かって記憶に残る名局を期待しております」

(ここまでの書き起こし=夏芽記者)

Photo_4(主催者あいさつ 後藤英樹・株式会社ユニバーサルエンターテインメント経営企画室次長兼広報IR課課長)

「私どもは特別協賛を始めさせていただいて、1993年から25年を数えます。最初はアルゼ杯、ユニバーサル杯、そして3年前から岡田美術館杯と長きに渡って務めさせていただいております。25年は四半世紀ということでひと区切りになります。里見女流名人の故郷でもある出雲は神話の故郷でもありまして、その1000年、2000年の歴史に比べますと、まだまだ序盤というところかなと考えております。里見女流名人におきましては、この故郷の地で9連覇という新たな伝説に挑むということで、大変期待されるところであります。また1993年というのは、挑戦者の伊藤女流二段がこの世に生を受けた年でもございます。そこにも何かの縁を感じるところがあります。25年の長きに渡って協賛を務めさせていただいたのは、ひとえに日本将棋連盟の皆さま、報知新聞社の方々、出雲市の皆さま、関係者の方のご協力があってこそだと思っております。私達も長く日本文化の継承という意味も含めてサポートをしていきたいと思っておりますので、感謝の気持ちを込めて、ご挨拶とさせていただきます。」

(書き起こし=武蔵)

Photo_5(乾杯のあいさつは原成充・日本将棋連盟島根支部連合会 会長が行った)

(武蔵)