前夜祭7
野月八段、阿部健七段、竹部女流三段による見どころ紹介です。
野月「ふたりは4年前の第39期女流名人戦でも対戦しています。そのときも私が立会人を務めました。当時は第2局で、上田さんが勝たれました。内容的にも楽しい将棋でした。今回のシリーズはこれまでの2局とも里見さんの振り飛車、上田さんの居飛車でした。明日もそのとおりに進むかなと思います。上田さんの勢いがすごいので、里見さんが作戦選択を含めてどうするかですね」
竹部「阿部七段は野田市は初めてということですが、印象はいかがですか」
阿部「対局場からバスでホテルにきました。のどかなところで、私の地元(山形県酒田市)とあまり変わらない感じがしました。対局をするにはいい環境だと思います。関根名人記念館もありますし、歴史や土壌がさらに培われていくのではと感じました。関根名人記念館で昔の『将棋世界』を見たのですが、大変立派で驚きました。当時は紙が貴重だったでしょうし、いまよりも大事にされてきたのではと思いました」
竹部「明日の展望はいかがでしょうか」
阿部「私はタイトル戦に出たことはないのですが、カド番という状況で振り飛車を指すか悩ましいと思っています。振り飛車で勝てれば自信になるし、負けたら何をやっているのかと感じるのでは。里見さんは両方指せるので居飛車もあるかと思いますが、振り飛車で逆境をはねのけようとするのではと思います」
竹部「勝敗の予想はいかがでしょうか」
野月「私は第5局まで見たいので、里見さんを。5局目はわかりませんが。1、2局目もいい内容だったので、第4局につながるほうが盛り上がるのではと思います。激しく競い合う内容を期待しています」
阿部「上田さんの勢いや中終盤の鋭さがあります。個人的には上田勝ちではと思います。里見居飛車なら里見さんがという気もしますが、里見さんが振り飛車だと上田さんの持ち味が出るのではというのが第1局と第2局を見ての印象です」
竹部「僭越ですが、私も。4年前と同じ対戦カードですが、当時と決定的に違うのは、上田さんにお嬢さんがいることです。本来は将棋を指せない環境だと思いますが、その中で将棋に集中されているのかなと思います。里見さんは将棋づけの日々を送っているわけです。すべてを将棋に傾けられない方に負けてほしくないなという気持ちで、上田さんは妹弟子なのですが、里見さんに勝ってほしいなと」