前夜祭 開会
18時から箱根ホテル小湧園「蓬莱」で、前夜祭が開催された。
(主催者あいさつは早川正・報知新聞社 代表取締役社長)
第43期岡田美術館杯女流名人戦、いよいよ明朝、第1局が開催となります。新しい年を迎えまして、皆さまいろいろと忙しい中、前夜祭に大勢の方々にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。スポーツ新聞といいますと、野球を中心に回っているところが多いと思われるのですが、野球は終わってからが一大繁忙期になるんですね。日本シリーズが終わりますと、報知でいいますとゴールデンスピリット賞というプロ野球選手の社会貢献活動を顕彰するもの、その年の主要な競技のアスリートを表彰する報知プロスポーツ大賞というものもあります。あとは今年は主演女優賞に宮沢りえさんを選びましたけれども、報知映画賞、またゴルフ日本シリーズJTカップというように、これまで大きなイベントがずっと続きまして、年が明けると箱根駅伝、そしてこの女流名人戦、というふうに私どもは走り続けてまいりました。先週の初めは箱根駅伝、関東20校の学生ランナーが覇を競って大きなドラマを作ってくれましたけれども、この箱根駅伝に続いて女流棋戦の中で最も歴史のある女流名人戦を、昨年に続きましてこの地で開催できますことは、感激の極みでございます。今後、箱根駅伝とともにこの女流名人戦が箱根に春を招く名物イベントとして定着するように、努力を重ねてまいりたいと思います。どうかよろしくお願いしたいと思います。
昨年本棋戦7連覇を果たされて自身の記録を更新され、11月には五冠を達成された里見香奈女流名人にですね、激戦リーグを勝ち抜いてこられた上田初美女流三段、4期ぶりの対戦となりました。皆さんもよくご存じのとおり、前回は最終戦までもつれ込んで、特に最後の第5局は女流として初めて将棋大賞の名局賞特別賞を受賞した、記録に残る名勝負が繰り広げられました。将棋ファンにとってはこたえられない顔合わせになったと思いますので、両対局者には十分英気を養っていただいて、明日の対局に臨んでいただければと思います。
(続いて谷川浩司・公益社団法人 日本将棋連盟会長があいさつ)
第43期岡田美術館杯女流名人戦第1局の前夜祭にたくさんの方々にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。初めに、長年女流名人戦を主催していただいております報知新聞社さま、特別協賛いただいております株式会社ユニバーサルエンターテインメントさま、また、昨年に引き続きまして素晴らしい対局場をご提供いただきました岡田美術館さまに厚く御礼を申し上げます。今期は里見さんと上田さんというとても楽しみな五番勝負になりました。里見さんは前期に引き続きまして今期も圧倒的な強さを見せておりまして、全冠制覇を目指す中で、今期の成績が18勝1敗、9割5分近い成績です。上田さんも出産をされて復帰したばかりで、リーグを7勝2敗の素晴らしい成績で挑戦者になられたわけで、なかなか研究をする時間がないというふうにおっしゃっていましたけれども、精神的なことがすごく安定しておられるのではないかと思っております。今期の成績も23勝6敗、8割近い成績で、女流棋界でいちばん勝っている2人の五番勝負ということになりました。先ほど社長からもお話がありましたように、4年前もこの2人で五番勝負が行われまして、その最終局が将棋大賞の名局賞特別賞を受賞しました。これは女流棋界始まって以来のことでございます。お二人には4年前以上の大熱戦、そして内容の濃い将棋を見せていただければと思います。2人のご健闘と、開催にあたりましてご尽力いただきまして関係者の皆さまに厚く御礼を申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
(乾杯のご発声は小林忠・岡田美術館館長)
今日はお寒い中、多数この前夜祭にご臨席いただきまして本当にありがとうございます。私ども岡田美術館はユニバーサルエンターテインメントを本社として仰いで、この箱根小涌園の傾斜地に3年前ですね、開館いたしまして、昨年からユニバーサル杯の冠名を美術館に譲っていただきました。今年で2年目になります。いうまでもなく将棋は日本の古典文化として、たいへん長い歴史を持って発展してまいりまして、多くの将棋ファンの皆さまに広く愛されております。岡田美術館は日本文化、日本美術の伝統を守り、お伝えして、あわせて東アジアの美術文化に支えられてきたことを紹介する文化施設として箱根に開館いたしました。そこでこの伝統ある女流名人戦の第1局を担当させていただくという、たいへん光栄な役割を仰せつかって、里見女流名人と上田女流三段の熱のこもった対局が行われるということでわくわくしているところでございます。どうぞ皆さま、この女流名人戦五番勝負が歴史に残る対戦になりますよう、見守っていただけたらと思います。