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2014年1月25日 (土)

前夜祭(5)対局の見どころ

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000_0720立会人の佐藤康光九段

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解説の真田圭一七段

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聞き手の矢内理絵子女流四段

佐藤 里見さんは昨年は振り飛車党なのですが、いろんな戦法を指されて、けっこう居飛車の将棋も多かったです。一方の中村さんは四間飛車ほぼ1本ということで。居飛車対振り飛車の対抗形か、相振り飛車ということになると思うのですが。第1局は里見さんが相振り飛車を受けて立ちました。今度は里見さんが先手なので、私の予想だと居飛車対振り飛車の対抗形になるのかなと思っています。

真田 中村さんの振り飛車に里見さんが居飛車ということですね。矢内さん、中村さんが純粋な振り飛車党で大丈夫ですよね。

矢内 はい。

真田 そうですよね。ならば里見さん次第ということになります。僕は関東の奨励会幹事をやっていて、里見さんの棋譜を見ることがあるんです。里見さんは戦法の幅を広げていて、そういった意味では居飛車もあるのですが。ただ第1局で相振り飛車を指しているので。この間の竜王戦でもそうですが、矢倉が続くとずっと矢倉が続くということがあるんですね。第2局で変えてしまえば、そういうことはないんだとあるんです。里見さんが中村将棋をどういうイメージで捉えるかということ大きいですね。ただ奨励会での中村さんのようなノーマルな四間飛車は少ないと思うんですよ。少ないから、経験がないから「相振り飛車にしちゃえ」となるのか、気分を変えて居飛車対振り飛車にするのか。非常に難しいです。僕の直感だと里見さんは相居飛車の将棋なら指したいと思うんですよ。ただ居飛車対振り飛車の将棋はあまりやりたいと思っていないのではないでしょうか。私はとりあえずもう1局、相振り飛車をやるんじゃないかと予想します。

矢内 深い読みですね。私は中村さんと5年くらい前から一緒に研究会をやっていて、研究会では振り飛車でも三間飛車や角道を止めない四間飛車もやったりするんです。里見さんは今回は居飛車でくるんじゃないかと思っています。さきほど里見さんのご挨拶の中で、中村さんと指して「攻め潰された」とありましたよね。その将棋が中村さんの四間飛車に里見さんの居飛車穴熊だったんですね。それをここで返そうというのが、あるんじゃないかなと。

佐藤 里見さんは昨年、女流五冠というところまで行きました。そこから3つ、立て続けに取られてしまって。そのときはちょうど居飛車に対応されていた時期で、やっぱり新しいことに挑戦するとなかなか難しいですから。そのあと女流王座を奪取して女流三冠に戻りましたから。中村さんは女流王将戦で里見さんとタイトル戦を戦ってます。中村さんが先勝して、あと1勝すればというところまで行って。そういった悔しさもあると思います。それをぶつけて挑戦権を獲得し、並々ならぬ決意を持ってきていると思います。

真田 僕は戦型以外の興味は接戦で終盤になって欲しいなと。里見さんの奨励会や女流棋戦の将棋を見ていると、中盤の終わりから終盤の判断力が相当に精度が高いんですよ。指し手の善悪じゃなく、自分がいいのか悪いのか、どこを押さえれば勝てるのかという判断が非常に優れているように思います。その精度の高さが強みです。一方の中村さんですが、たまたま研究会で指す機会があったのですが、難解な終盤になったんですね。難しいので攻めるのか受けるの、あるいはどこまで読み切ろうとするのか。中村さんは秒読みにもかかわらず、ずっとついてくるんです。目のつけどころが鋭くて驚いた記憶があります。なので際どい終盤になると、この両者はすごく面白いと思います。序中盤であまり差がつかず、終盤になだれ込むという展開を期待したいです。

記事書き起こし=吟記者

(野辺)

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