2022年1月 9日 (日)

記者会見(2)

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(渡辺王将の記者会見)

――明日の対局を控えての心境。

渡辺 こちらに来て検分と会見をやって、いよいよ始まると感じています。(掛川は)何回も指しているので、快適に指せる場所だとわかっています。将棋に集中できる環境を用意していただいていると思っています。

――七番勝負に向けての抱負。

渡辺 藤井さんは非常に勢いがあり、昨年もタイトルを増やされて、当然ながら厳しい相手です。タイトル戦で当たるのは昨年の棋聖戦以来で、それから半年ほど空きました。その間に取り組んできたことを出せるか、自分でも見ていきたい。そういう位置付けの番勝負だと思っています。

――2日制であること、直近の藤井戦に勝っていること、掛川対局で渡辺王将は6戦全勝ということ。この3点は過去のタイトル戦とは違う何かを与えているか。

渡辺 2日制は自分にとってアドバンテージではなく、2日制で藤井さんと対戦するのが初めてということにすぎない。どういったペースで指し手が進むか、どういう流れで進むか、明日やってみて何となくとらえていきたい。
棋聖戦のあとの藤井戦もけっこう前(9月)ですし、条件も違います。2日制の長い持ち時間でどうなるか、また新しい気持ちでいます。掛川対局は5局以上指しているなかでは数少ない縁起がいい場所なので、いいイメージで臨めると思っています。

――「藤井さんは厳しい相手」という発言があった。どのあたりが厳しいと感じているか。

渡辺 タイトル戦で2回戦って、自分から見ると結果が出ていない。昨年の棋聖戦はストレートで負けた。それを踏まえての今回。藤井さんはまだ10代で、これからも進化されていくと思う。自分のほうが年齢が上なので大変な相手だと思います。

――初戦の意気込み。

渡辺 七番勝負は長丁場なので、初戦に特別こういう入り方をしたい、という考えはない。2日制で1局やってみての感触というか、2局目以降につながっていくような内容の将棋にしたいです。

――四冠対三冠は史上初の戦い。このシリーズをどのように位置付けるか。

渡辺 将棋界が八冠になってから間もないこともあり、そういう数のタイトルを持ち合ってのタイトル戦というのは、言われてから初めて気づきました。注目度が高いので、期待に応える将棋を指さないといけないという責任感、緊張感はもちろんあります。

――これまでは年上とのタイトル戦が続いた。今回は下の世代の藤井さんと3回目のタイトル戦となる。自身のなかで変化はあるか。

渡辺 自分は上の世代の方々が指した将棋を勉強し、そういう方々に挑戦してきました。自分が30代になってからは、年下の方との戦いがほとんどです。技術的にも新しいものが出てきて、自分がやってきたことが古くなり、対応が難しくなっていく。年長者の難しさはすごく感じています。

――昨年は藤井竜王と豊島将之九段のタイトル戦が多かった。その対局を見ていて、自分の将棋に生かせるものはあったか。

渡辺 もちろん注目して見ていました。豊島さん側の視点に立ち、藤井さんとどう戦うかを見ていたが、豊島さんと自分はタイプも違いますし、参考になるようでならない、というのが正直なところかと思います。

――昨年の棋聖戦から半年ほど空いた。王将戦に向けて、どのように取り組んだか。

渡辺 昨年の棋聖戦で結果が出なかったので、次に対戦したらどういう感じでやるかと何となく考えていました。11月に藤井さんの挑戦が決まり、そこから漠然とやってきたことを具体的に詰めてきた感じです。半年もないくらいの期間なので、そこまで大きく変わることはないと思いますが、その成果がどれくらい出るか、自分でも見たいと思っています。

(書き起こし=牛蒡、撮影=紋蛇)