先手優勢の最終盤です。すっきりした順は見つかっていないため、先手勝勢とまではいえません。相手は「負けない将棋」で知られる永瀬王座。そう簡単ではないようです。図から▲5三同飛成△同玉に▲5四歩と▲6四角が有力で、そのどちらかに先手の勝ち筋があるかどうか。渡辺王将は読みきろうとしている雰囲気です。大盤では▲5四歩で先手が勝ちそうという結論になりましたが、それでも「100パーセントの確信はない」と神谷八段。
2021年1月
後手玉は寄るのか
渡辺王将は「先ほどの3択」で▲5四飛を選択。勝ちにいきました。「これで寄るのか。大盤の検討ではわからなかったが」と神谷八段。渡辺王将は勝ちへの道を見つけたのでしょうか。
山場
意外な逃げ方
2日目午後のおやつ
好手▲7四銀
▲7四銀が厳しいと評判です。飛車取りと6五への利きのどちらも重要です。
まず飛車の適当な逃げ場がありません。(1)△8一飛は▲7二角、(2)△8二飛や(3)△9三飛は▲7六角が痛打になります。▲7六角に△6五歩が二歩で打てません。仮に△9三飛だとして、▲7六角△6五銀打▲6六桂は先手銀得が見込めます。
(4)△6八銀や(5)△6八金は▲同金△同歩成▲同飛で飛車が働いてきます。(6)△8六歩▲8三銀不成△8七歩成▲同金△7五桂は▲5一飛で先手の攻めが速い。最後の手段として(7)△9七歩成がどうかと検討されています。
神谷八段は69手目▲7四金打以降、基本的には先手持ちの姿勢。森内九段も現局面は「先手が少しよさそう」と話しています。永瀬王座は▲7四銀に手を止め、長考しています。
2日目休憩明け
2日目午前の進行
80手目の局面で昼食休憩。2日目午前は▲5五歩△同銀直▲6五銀△6八歩の4手指されました。佐々木大五段は大盤解説に出演し、次のように解説しました。
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永瀬王座は封じ手の▲5五歩が意外だったのか長考しました。渡辺王将は決断よく指し、永瀬王座は慎重に指している印象です。80手目の局面は先手が指せそうに思います。△6八歩に▲同飛△6七歩▲6四銀△同銀▲5四歩で参考1図。そこで(1)△4二玉は、▲6七飛△6六歩▲同飛△6五歩に▲同飛!が好手です。以下△6五同銀▲6四角△5一玉▲5二銀△同玉▲5三歩成=参考2図と進みます。参考2図で△4一玉は▲3三角成から▲4二銀があります。△4一玉ではなく△6一玉も▲7四桂が厳しいです。どちらも3三銀の質駒が大きいです。
ですので参考1図の▲5四歩には(2)△同玉が最善だと思います。後手は玉形の修復が難しいので、以下▲6七金には攻めに活路を求めたいです。
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