2021年1月

2021年1月11日 (月)

701106先手優勢の最終盤です。すっきりした順は見つかっていないため、先手勝勢とまではいえません。相手は「負けない将棋」で知られる永瀬王座。そう簡単ではないようです。図から▲5三同飛成△同玉に▲5四歩と▲6四角が有力で、そのどちらかに先手の勝ち筋があるかどうか。渡辺王将は読みきろうとしている雰囲気です。大盤では▲5四歩で先手が勝ちそうという結論になりましたが、それでも「100パーセントの確信はない」と神谷八段。

701096渡辺王将がリードを広げて勝ちに近づくか、永瀬王座が差を詰めるかという山場を迎えています。候補手として▲7七同桂、▲7七同金、▲5四飛が挙げられています。渡辺王将としても間違えられない局面です。△7七歩が指されたのは16時00分。残り時間は▲渡辺1時間54分、△永瀬57分。

Dsc_3178(大盤は森内九段と佐々木大五段のダブル解説。まずは▲5四飛を検討)

Dsc_3185

701092▲6六桂に△4四玉と逃げました。△5三玉は▲8三銀不成から▲7四銀成、△4三玉は▲5四角から飛車を取って▲8二飛が厳しそうでしたが、本譜も飛車を取って▲5四飛が残ります。3通りの逃げ方の第3候補と考えられていました。

ちなみに図の1手前の▲6六桂では、▲8三銀不成や▲7六角も有力でした。▲6六桂の長所は△8八と▲同玉△6六角の変化を消していること。渡辺王将が注意深く指しているのがうかがえます。

Dsc_3177(15時45分、控室)

701089▲7四銀が厳しいと評判です。飛車取りと6五への利きのどちらも重要です。

まず飛車の適当な逃げ場がありません。(1)△8一飛は▲7二角、(2)△8二飛や(3)△9三飛は▲7六角が痛打になります。▲7六角に△6五歩が二歩で打てません。仮に△9三飛だとして、▲7六角△6五銀打▲6六桂は先手銀得が見込めます。

(4)△6八銀や(5)△6八金は▲同金△同歩成▲同飛で飛車が働いてきます。(6)△8六歩▲8三銀不成△8七歩成▲同金△7五桂は▲5一飛で先手の攻めが速い。最後の手段として(7)△9七歩成がどうかと検討されています。

神谷八段は69手目▲7四金打以降、基本的には先手持ちの姿勢。森内九段も現局面は「先手が少しよさそう」と話しています。永瀬王座は▲7四銀に手を止め、長考しています。

Dsc_2312(1日目朝の渡辺王将)

70108080手目の局面で昼食休憩。2日目午前は▲5五歩△同銀直▲6五銀△6八歩の4手指されました。佐々木大五段は大盤解説に出演し、次のように解説しました。

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永瀬王座は封じ手の▲5五歩が意外だったのか長考しました。渡辺王将は決断よく指し、永瀬王座は慎重に指している印象です。80手目の局面は先手が指せそうに思います。701080s3△6八歩に▲同飛△6七歩▲6四銀△同銀▲5四歩で参考1図。そこで(1)△4二玉は、▲6七飛△6六歩▲同飛△6五歩に▲同飛!が好手です。以下△6五同銀▲6四角△5一玉▲5二銀△同玉▲5三歩成=参考2図と進みます。701080s4参考2図で△4一玉は▲3三角成から▲4二銀があります。△4一玉ではなく△6一玉も▲7四桂が厳しいです。どちらも3三銀の質駒が大きいです。

ですので参考1図の▲5四歩には(2)△同玉が最善だと思います。後手は玉形の修復が難しいので、以下▲6七金には攻めに活路を求めたいです。
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