2021年1月
終局直後の様子
【渡辺王将の談話】
――一局を総合的に振り返ってのご感想は。
「こちらが歩損をして、その代償を取りにいく展開だったんですが。ちょっと歩を捨て過ぎているので、今日の午前中あたりはちょっとまずくしてしまったかなと思っていました」
――まずい状況から転換したのは、どのあたりでしょうか。
「▲2五飛(65手目)と浮いたところは、少し良くなったかなと思いました。それまでは、歩切れに悩む展開だったので、何か(相手に)うまい手があったらまずいかなという感じでやっていましたけど」
――そうすると、今日の午前中はかなり難しいと思っていたのですね。
「(後手が)最強に受けて来る順はいい勝負かなと思ったのですが、本譜のように銀桂交換になる順はあまり読んでいなくて。指されてみると、歩の足りなさが……。攻め方がちょっとまずかったかなと思っていました」
――昼食休憩時後はどのような方針で指されましたか。
「歩切れを解消することと、駒の損得を重視して指していました」
――最終盤は好調に攻めが続いていたように見えました。
「飛車が成って駒得になったあたり(81手目▲9三飛成)は良くなったなと」
――これでシリーズは3連勝となりました。
「まだ途中経過ですし、次戦は少し間が空きますから。また近くなってきたら作戦を練って臨みたいと思います」
【永瀬王座の談話】
――一局を振り返っていかがですか。
「長考した局面(28手目△6四角)で、余計な手をかなり多く読んでしまって、正しい道がちょっとわからなかったです。2日目は自然に指していたつもりが、少し受け過ぎていたのかもしれません。▲2五飛(65手目)と浮かれた局面で長考して、指し方がまったく浮かばなかったので、形勢が悪いのかなと思いました」
――歩を多く持つ展開でしたが、そこは主張にならなかったのですか。
「展開次第では大きいのかと思いましたが、本譜の進行では主張になっていなかった気がします」
――勝負どころはどこだったと思われますか。
「△6四角(28手目)のアプローチは違和感があったので……。(その局面は)手が広いように感じたので自然な手を指したかったのですが、それがわからなかったです」
――シリーズは3連敗となってしまいましたが、次局に向けて抱負をいただけますか。
「難しい局面で悪い方向性の手を指してしまっている気がするので、修正して内容のいい一局を指したいと思っています」
渡辺王将が3連勝
この局面で永瀬王座が投了、渡辺王将が115手で勝ちました。終局時刻は17時25分。消費時間は▲渡辺明6時間58分、△永瀬7時間31分。勝った渡辺王将は開幕から3連勝で防衛まであと1勝としました。