(王将位を奪取した久保新王将。第60期以来の復位を果たした)
――お疲れさまでした。まずは久保新王将、本局について伺います。向かい飛車から持久戦になりましたが、予定でしたか?
久保 そうですね。選択肢のひとつでした。
――封じ手のあたりはいかがでしょう。
久保 こちらが先手なので、仕掛けがあるかどうかの将棋だと思ってんですけど。手が広いところだったので、わからなかったですね。
――封じ手の△2三金は予想されていましたか。
久保 そうですね。△2三金以外だったら端攻めする手もあるので、△2三金もあるかなと思っていました。
――▲6五歩で仕掛けられました。
久保 飛車がさばけるかどうかでしたが、あのあたりはわかっていなかったです。
――その後は順調でしたか。
久保 こちらは端に香を上がっているのが響かないか、心配していました。
――どのあたりでよくなったと思いましたか。
久保 最後、▲3九角と打って自陣に手が来ない形になったところです。
――振り返って、この将棋は満足な内容でしたか。
久保 まずまずでした。
――郷田前王将、お疲れ様でした。本局の感想をお願いします。
郷田 封じ手の局面は自信がなくて。仕方がないので金を上がりましたけど、手が遅れているので。もっと駒組みに工夫をしなければいけなかったと思います。
――△2三金は仕方なかった?
郷田 △2三金以外も考えたんですけど、端が弱い形なので。
――▲6五歩で仕掛けられました。
郷田 終始、自信がなかったです。そうですね、こうすればよかったというのは、いまは浮かばないです。
――だいぶ辛抱されました。
郷田 ほかの手も難しかったです。▲7五歩で手を作られて、角が使えない形になってしまったので、だめですね。
――最後は投了もやむをえない?
郷田 そうですね。プロ的には大差です。
――ありがとうございます。では、今期七番勝負を終えての感想を伺います。久保新王将は、3連勝から2連敗という流れでした。
久保 接戦の将棋が多かったので、3連勝は上出来かなと思ったんですけど。連敗して流れが悪くなりましたが、一局一局の将棋でやっていたので、流れは考えないようにしていました。
――本局に臨むにあたって、一局の重みはありましたか。
久保 やっぱり3連勝でスタートしたときに、プレッシャーがかかってきました。いままで、タイトル戦で自分が3連勝したことはなかったので。
――今期の勝因を挙げてください。
久保 結果にかかわらず、よい将棋を残したいなという思いだけでやっていました。結果をあまり考えずに。
――王将位に返り咲きました。復位の感想をお願いします。
久保 もうタイトルは獲れないかなと思ったこともあったんですけど。精進してきてよかったと思います。
――郷田前王将、今期は苦しい流れのスタートでした。
郷田 第2局は、終盤で正確に指せば勝ちがありました。それを勝てなかったのは大きかったかなと思うんですけど、全体的に作戦面で主導権を握れなかったです。そこが結果に出てしまった気がします。
――2連勝で反撃されて、逆転の期待もありましたか。
郷田 いや、そういうのはなかったですね。今日は後手番なのでいろいろ準備してきたつもりだったんですけど、対応が後手後手になってしまいましたね。
――2期続いた王将を失冠されました。
郷田 残念ですけど、結果は仕方ないので、また……。また戻ってこれるように、一生懸命やっていきたいと思います。
――最後になりますが、久保新王将に伺います。昨年から続いている将棋ソフトの問題ですが、王将戦七番勝負が終わった区切りということで、コメントをいただきたいのですが。
久保 いろいろ考えていることはあるんですけども、まとめて後日にお話ししたいと思っています。タイトル戦の最中ということもあり、まとめきれていないところもありまして。自分のなかで皆さんにお伝えできていない部分もあると思うので、その点は後日、説明したいと思います。
――ありがとうございました。