久保九段が巧妙に揺さぶっています。封じ手直前の▲1九飛(1図)が第一歩でした。
仮に△8六歩なら▲同歩△同飛▲1五歩△同歩▲同香△同香▲同飛(参考図)で先手十分です。
同じように飛車をさばいたようでも、先手の飛車は玉頭戦に参加できるため、迫力が違います。参考図で△8九飛成なら▲1九香で端が受かりませんし、△1三歩は▲1九飛として、次に▲8八香からの飛車の捕獲や、▲2五歩△同歩▲2四歩と拠点を作って▲2三香の打ち込みを見れば「先手よし」とされていました。
郷田王将は▲1九飛に△2三金(封じ手)と玉頭を強化します。しかし、そこで▲6九飛(2図)が味のよい手です。
▲1九飛△2三金の交換を入れた効果で後手玉の横腹が開いたため、▲6五歩から動きやすくなっています。実戦は△3二銀上でしたが、やはり▲6五歩△同桂▲同桂△同歩▲同飛(3図)で先手ペース。玉形の差が大きいようです。