18時30分、掛川グランドホテル3階「シャングリラ スイート」で前夜祭が始まりました。開会に先立ち、今日開催された第4回掛川こども王将戦の表彰式が行われました。優勝者はS級が高橋晴仁さん、A級が永野孝太郎さん、B級が錦織輝虎さん。掛川市の松井三郎市長から、表彰状と優勝盾が贈られました。
■主催者あいさつ
毎日新聞社 朝比奈豊・代表取締役会長
皆さんこんばんは。明けましておめでとうございます。将棋界の新年の幕開けといえば、この掛川城対決、王将戦七番勝負第1局であります。今日は新幹線でこちらに参りましたが、車窓からの眺めが本当に雲一つない静岡晴れ、掛川晴れで、「ああ、これはよい幕開けになるなあ」と、心がわくわくしました。今期は郷田王将に久保九段が挑戦されるわけでございますが、素晴らしい対局になるだろうと全国の将棋ファンが期待されていると思います。郷田王将は、前々期に渡辺明王将(当時)に挑戦されて、見事にタイトルを奪取。前期は挑戦者に羽生善治名人(当時)を迎えてタイトルを死守されました。今期は3連覇が懸かっています。郷田王将は昨年の夏に結婚をされました。おめでとうございます。一人のときと違って、勝って家に帰ったときに喜んでくれる人がいるというのはとても励みになると思います。やはり郷田王将も「勝って帰るぞ」という気持ちでおられるのではないでしょうか。久保九段は、掛川での王将戦対局は今期が8期目になりますが、その最初の第59期(2009年度)に羽生善治王将(当時)に挑戦して見事に勝たれ、次の期は豊島将之六段(当時)に勝たれました。久保九段も王将戦には非常に縁が深いんですね。縁ということでさらに申しますと、第59期でこられた前夜祭のとき、久保九段が「自分は兵庫県の加古川の出身で、1文字違いの掛川というところはどんなところかなとずっと思っていました」といわれたのを私は忘れられません(笑)。久保九段のほうも「今期はやるぞ」という気持ちでおられるだろうと思います。郷田王将の居飛車と久保九段の振り飛車が真っ向から対決するということで、非常に楽しみです。将棋ファンのためにお二人が素晴らしい将棋を見せてくださることを大いに期待しております。
■主催者あいさつ
スポーツニッポン新聞社 河野俊史・代表取締役社長
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。8期連続の掛川対局ということで、皆様、本当にありがとうございます。郷田王将といえば「剛直流」「一刀流」の踏み込み鋭い棋風。久保九段は「さばきのアーティスト」と呼ばれる軽やかな棋風。そういう意味では棋風のまったく違うお二人の対決ということで、素晴らしい新年の幕開けになったと思います。郷田王将と久保九段はどちらもスポーツがお好きでして、スポーツニッポン新聞社は日頃から非常にお世話になっております。まず郷田王将はご存じの通り、強烈なジャイアンツファンで、昨年5月には高橋由伸監督に激励のあいさつにいかれて、スポニチでも大きく報道させていただきました。さらにはプロレスを初めとする格闘技にも詳しい。そして何より競馬ですね。実は、一昨年の有馬記念、昨年の日本ダービーと有馬記念の計3回、スポニチで郷田王将に予想をお願いしたのですが、郷田王将は3戦すべて的中というすごい結果を残されています。一方の久保九段には、スポニチ主催の関西のイベントで大活躍をしていただいています。チャリティーゴルフに、大阪城公園ナイトラン、こちらは10キロ走るのですが、タイムは1時間2分で、もうすぐ1時間を切れるというところまできているそうです。また、昨年9月には「関西将棋夏まつり」という新しいイベントを始めていただきました。こちらは郷田王将や谷川浩司会長にもご出演いただいて、関西の子どもたちにとっては大変楽しいイベントになったと思います。このように将棋の対局以外でも幅広く活躍していただいて、スポニチを支えてくださっているお二人による王将戦です。将棋ファンの皆様も非常に楽しみにされていると思います。
■主催者あいさつ
日本将棋連盟 谷川浩司会長
皆様、新年明けましておめでとうございます。新春の恒例となりました王将戦七番勝負第1局の掛川対局にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。今期は郷田王将と久保九段の対決ですが、郷田王将は前々期、前期と将棋界のトップ2である渡辺明王将(当時)と羽生善治名人(当時)に勝っています。また、久保九段も王将戦は縁の深い棋戦でして、挑戦者決定リーグ戦を5勝1敗という素晴らしい成績で勝ち上がってこられました。昨年の将棋界は20代の若手が挑戦者になることが多かったのですが、この王将戦は郷田王将が45歳に久保九段が41歳ですね。40代同士の円熟した戦いを皆様にご覧いただけるのではないかと期待しております。昨年は将棋ファンの皆様、また主催、協賛の皆様にご心配やご迷惑をおかけすることがあり、本当に申し訳ございません。真剣勝負の戦いを多くの将棋ファンの皆様にご覧いただけるよう、精一杯努めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
■共催者あいさつ
掛川市 松井三郎市長
皆様、新年明けましておめでとうございます。8回目の王将戦が開催できますことを、掛川市長として大変うれしく思っております。これも多くの関係の方々のご尽力のおかげです。感謝しております。掛川市は協働によるまちづくりを進めているところであります。企業、市民、行政が一体となってのまちづくりです。王将戦掛川対局は、ちょうど8年前に始まった協働まちづくりの一貫でありまして、企業としては掛川信用金庫、市民の皆様としてはゼロの会、加えて行政が一体となって王将戦を開催しています。また、王将戦を開催だけして終わりということではなく、そこからいろいろな波及効果も生まれるように意識してきました。それはひとつには、「掛川こども王将戦」を通して子どもたちに将棋の素晴らしさを伝え、将棋を通して礼儀や集中力を身に付けてもらうことです。本日は市の教育長も来ていますが、教育長に将棋を小学校のカリキュラムに入れられないかと話をしてもなかなか返事がありませんので(笑)、おそらく難しいということでしょう。けれども、日本将棋連盟の掛川支部からは、就学前の子どもたちに将棋を教えていきましょうという提案をいただいています。先日、掛川市で「掛川乳幼児教育未来学会」というものを立ち上げました。乳幼児「保育」ではなく乳幼児「教育」をということを国に掛川市から提言していこうという趣旨で進めています。その中で、ほかのスポーツなどと一緒に将棋にも3歳から取り組んでもらおうと努力しているところであります。そのためにも、将棋の輪をどんどん広げていきたいと考えておりますし、王将戦掛川対局もさらに10回、11回と続けていかねばという気持ちでおります。
■共催者あいさつ
掛川信用金庫 伊藤勝英理事長
皆様、明けましておめでとうございます。本日は王将戦前夜祭にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。掛川信用金庫は、明治12年(1879年)に二宮尊徳の晩年の弟子である岡田良一郎により、報徳の理念に基づき設立された、日本最古の信用金庫です。報徳の理念には多くの素晴らしい教えがございますが、その中の一つに、ものごとは長期的に考えて実施すべきであるという教えがございます。将棋も先を読んで最善の手を指すという意味におきまして、報徳の理念と共通点があると思っております。目の前の事象を何とかすることに追われてしまいがちな昨今ですが、本当に大切なことは、将来への投資ともいえる教育であると考えております。将棋を通して子どもたちの学びのお役に立つことができれば、望外の喜びであります。また、王将戦に携わらせていただいて、強く印象に残ったことがございます。それは、棋士の方々は皆様が落ち着いていて、風格のある方ばかりだということです。大成するには、才能が必要なのはもちろんのこと、やはり人格もしっかりしていなければならないのだということを学ぶことができ、大変勉強になりました。この地域の子どもたちも、将来はそんな立派な大人になってくれることを期待しております。
■来賓
石川嘉延・前静岡県知事
王将戦七番勝負掛川対局を8年連続で開催してくださいましたこと、この地域に関わる者として大変うれしく、心からお慶びを申し上げるとともに、熱戦が繰り広げられることは請け合いだと、いまからわくわくしているところでございます。私の経験から考えますと、10年続くと伝統になってやめられなくなるということがありますから(笑)、ぜひ来年、再来年も頑張っていただいて、それ以降もずっと掛川対局が続いていけばと思っております。掛川市長や関係者の皆様のご奮闘をお祈りしております。
■来賓
宮沢ひろゆき・衆議院議員
皆様、こんばんは。王将戦七番勝負第1局の前夜祭がこうして盛大に開催されましたことを心からお慶び申し上げます。そして、過去の歴史をここまで背負ってこられた先輩方、そして運営に当たられた役員の皆様方に改めて感謝と敬意を申し上げたいと思います。コンピューターが将棋を指す時代になりました。スポーツの世界でも、審判がいるにもかかわらず、正確を期すということでビデオ判定をするようになっています。ただ、審判の誤審というヒューマンエラーも含めて試合なのではないかなと、私は思います。将棋もやっぱり、人間同士がやらないと面白くありません。明日と明後日は、どうか人間くさい戦いをこの掛川を舞台に繰り広げていただき、多くの将棋ファンを魅了していただければ幸いです。お二方のご奮闘と、皆様方のご健勝をお祈り申し上げます。
(書き起こし=睡蓮)