2016年2月 3日 (水)

前夜祭(1)

18時から前夜祭が開かれました。

20160203_zenyasai1 (成冨功・スポーツニッポン新聞社取締役東京本社代表)
「皆さん、こんばんは。ただいまご紹介に預かりました、スポーツニッポン新聞社の成冨と申します。こちら王将戦、大田原市でお世話になって11期連続ということで、大変長い歴史を重ねてまいりました。特に勝負のターニングポイントとなる第3局ということで、大変盛り上がってきていて、主催者としても大変うれしく思います。大田原市の皆さんの努力の賜で、将棋の街ですばらしい王将戦の対局ができるということも大変うれしく思います。
私から王将戦の簡単な歴史と、対局者二人のご紹介をさせていただきます。王将戦は1950年、昭和25年に第1期ではなく第1回という形で創設されました。当時のA級棋士5人を選抜して総当たりのリーグ戦を行いまして、その優勝者と当時の木村義雄名人が七番勝負を行って、王将位を決定するという形でスタートしたわけでございます。そのあとに形が変わりまして、現在の方式で王将位が争われるようになったのは昭和28年からです。
こちらの看板にありますように、王将対名人のゴールデンカードは久しぶりでして。16年ぶり、1999年、平成11年の第49期以来でございます。そのときの王将は、本日の挑戦者である羽生王将、挑戦者は佐藤康光名人でした。このときは羽生王将が防衛されました。ちなみに王将対名人という七番勝負は8回ございまして、今期の2局を除きますと、王将20勝、名人23勝。勝ち星では、やや名人がリードというわけでございます。
さて、郷田真隆王将でございますが、渡辺明二冠から王将を奪取し、初めて王将を獲得されました。今回は初防衛がかかっています。郷田王将は剛直流と呼ばれる一本気の棋風ながら、さわやかな容貌と甘いマスクで女性ファンも多いと聞いております。さらに格闘技、プロレス、プロ野球、競馬がお好きで大変な熱狂的なファンです。うちの社で昨年の有馬記念、競馬界の大きなレースで紙面に登場していただきまして、郷田王将に特別に夢馬券ということで推奨馬を教えていただいて、新聞に載せたところ見事に三連単が当たりまして(どよめく会場)、125870円の配当(さらに大きくどよめく会場)、大穴の馬券が当たりまして。これは私どもスポーツ新聞にとっても大変うれしいことでございまして。このあと王将を防衛された暁には、ぜひダービーでもお願いしたいと思っております。
それから羽生名人。いまさら私が紹介するまでもなく、ミスター将棋界であります。七番勝負は第63期以来2年ぶり、18回目の登場。2006年の王将戦では当時の佐藤康光棋聖を退けて、王将位を通算10期獲得されました。これは故人の大山康晴さん以来の、史上2人目の永世王将獲得でございます。王将戦に初めて登場されたのが1994年。それから15期連続で王将戦七番勝負に登場されました。現在は名人のほかに王位・王座・棋聖の四冠。皆さんご存知のように、過去には七冠制覇を成し遂げられ、まさに将棋界の顔です。
さらに七冠奪取に向けて王将位に新たに挑戦され、大変すばらしい期待の対局ということで盛り上がること間違いなしでございます。余力ではございますが、私どもスポーツニッポン新聞社、共催の毎日新聞社は紙面を通じて王将戦を応援していきたいと思っているわけでございます。最後になりましたけども、後援をいただきました大田原市、下野新聞、協賛いただいたアサヒビール、囲碁将棋チャンネルの皆さまに感謝を申し上げまして、挨拶とさせていただきます。どうもありがとうござました」20160203_zenyasai2 (片上大輔・日本将棋連盟常務理事)
「皆さま、こんばんは。日本将棋連盟の片上大輔です。本日は王将戦第3局の前夜祭、このように大勢の方々と一緒に過ごせることをうれしく思っております。始めに王将戦を長年に渡って主催していただいております、スポーツニッポン新聞社さま、毎日新聞社さま。そして大田原市「ホテル花月」さま、今回で連続10年の開催とうかがっております。日本将棋連盟を代表して心より厚くお礼を申し上げます。王将戦というタイトル戦でございますけども、非常に歴史と伝統のあるタイトル戦でございまして、江戸時代から続く名人位の肩書きをのぞきますと、この王将が最も古い歴史のあるタイトルでございます。王将戦は対局者に非常に趣向を凝らした写真を見られるのが棋戦の特徴になっておりまして、スポーツニッポンの紙面に両対局者、対局が終わった後に勝者の当地を描いたような写真を見られるのがファンの注目を集めているところです。先日も「次はどのような写真が出るんだろうか」という記事が紙面に載りまして、わたくしも一個人として楽しみにしているところでございます。
七番勝負はここまで1勝1敗とタイスコアです。1局目は矢倉でした。矢倉は非常に歴史のある戦法で、早囲いで郷田王将が新たな工夫をする内容でした。2局目は角換わり。これも木村義雄名人の時代から指された将棋ですが、現代らしいやりとり、工夫がほどこされ、羽生名人が勝たれました。2局とも、温故知新、古い皮袋に新しい酒を入れるといいますが、古くからあるものに新しい工夫を入れる将棋になりました。おそらく第3局も、脈々と受け継がれる歴史の中に新しい工夫が見られる一局になるのではないかなと期待しております。
王将戦のもうひとつの特徴に、数年前から囲碁将棋チャンネルという会社が一緒にやらせていただいておりますけども、テレビ、インターネットでも放送されます。これもまたタイトル戦では王将戦だけという特徴になっております。明日、明後日の対局もまた歴史の中に新しさを感じさせる熱戦になることを期待し、王将戦のますますの発展をお祈りいたしまして、王将戦を支えてくださっている皆さまに心より感謝を申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。本日は本当にどうもありがとうございました」

20160203_zenyasai3 (津久井富雄・大田原市長)
「こんばんは。ご紹介いただきました、津久井でございます。王将戦七番勝負ということで、郷田王将、羽生名人を迎えての対局が開かれるというわけで、会場満席の前夜祭です。主催者のスポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟の役員さまからごあいさつがありましたけども、王将戦の中でもこれほど素晴らしい組み合わせはないんじゃないかという組み合わせで、明日、明後日行われるわけでございます。話を聞いていて合うなあと思ったのが、わたくし1950年生まれの65歳でして、ちょうど王将戦と同じでございます。
昨年は郷田さんがこちらに2敗して入ってきましたが、ここで勝って逆転したわけで、分け目の戦いになるんじゃないかという気がいたします。明日も表面は静かでございますけども、内容はすさまじい戦いが繰り広げられるような気がして、楽しみがひしひしと伝わってくるわけでございます。会場の皆さまも今日だけでなく、明日も明後日もお楽しみいただきたい。明後日は大盤解説会、明日と明後日は中学生の見学があります。
大田原市の開催も今年で11年になりました。これもひとえに、ご来場の皆さまのご指導、ご支援があったからこそでございますが、主催者のスポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、日本将棋連盟の皆さま方、協賛いただいているアサヒビール、囲碁将棋チャンネルのおかげでございます。
大田原市には大田原マラソンがありまして、そちらにもアサヒビールにご支援いただき大変盛況になっておりまして、今回はパリマラソンに代表者6名を送ることになりました。文化、スポーツ面でのもご支援いただいておりますことに心から感謝申し上げます。
無粋になりますが、お二人には最高の戦いができますこと、そして来場の皆さんが人生にとってプラスになることを祈念いたしまして、歓迎とお礼のあいさつに代えさせていただきます。本日はまことにありがとうございました」
(書き起こし=紋蛇、写真=銀杏)