2016年2月
現地解説会で振り返り
終局直後
(郷田真隆王将は見事な寄せでタイに戻した)
【郷田王将のインタビュー】
―― 1日目は「仕掛けてこい」という姿勢でした
郷田 それは予定どおりでした。
―― その後も予定どおりでしたか
郷田 だいたいこんな感じになりそうな……。仕方ないという感じで指していました。
―― 封じ手の▲4四歩はどうですか
郷田 ▲4四歩なら手が続くので「なるほど」と思いました。
―― 66手目△8六歩のところはどう思われていましたか
郷田 ちょっとよく分からなかったですね。
―― 78手目△7六桂と跳ねたあたりで先の見通しはついていたのですか
郷田 跳ねるしかない形なので、ちゃんと読みきれたわけではないですけど。ただ、△8五桂(86手目)を発見できたので、いけるかなと。
―― ではそこでよくなったと感じられたのでしょうか
郷田 きわどい将棋なので、一手でも間違えるとあれですけど。最後まで分かってなかったですね。
―― 2勝2敗になりました。第5局に向けて抱負をお願いします。
郷田 あらためて三番勝負の形になったので、自分なりにベストを尽くしたいと思います。
―― 41手目▲4五同銀は新手でした。事前に温めていた手なのでしょうか
羽生 こういう手もあるんじゃないかと。もうちょっと手が続くと思っていたのですが、少しずつ駒損が響く展開になってしまった気がします。
―― 封じ手の▲4四歩のあたりはいかがですか
羽生 5三桂を成らないで▲4一銀のような手が利かないとダメなのかも(47手目▲5三桂成に代えて▲4一銀)。でもそれも自信がなかったので、この形自体に少し問題があるのかもしれません。
―― 2日目は激戦でした
羽生 千日手含みで頑張る順はあったかもしれないですけど、先手がいいという感じでは途中からはなかったですね。
―― 千日手の順とは具体的にどこでしょうか
羽生 △8八歩(68手目)に手抜いて▲4二金とかでペタペタ打って……。そうやったほうがまだ粘りはあったかもしれません。
―― 最後のほうはどうでしょうか
羽生 最後はダメだと思っていました。
―― 第5局に向けてはいかがでしょうか
羽生 また気持ちを切り替えて臨みたいと思います。
第4局は郷田王将が勝ち2勝2敗
青森県弘前市で行われた第65期王将戦七番勝負第4局は、郷田王将が勝って2勝2敗のタイに戻しました。終局時刻は18時6分。消費時間は、▲羽生7時間33分、△郷田7時間38分。第5局は兵庫県尼崎市「都ホテルニューアルカイック」で行われます。
桂捨てから合駒請求
△8五桂▲同歩△7五角で図の局面。先手に桂を渡したので後手玉は詰めろになっていますが、△7五角が合駒請求の王手で、駒を1枚使わせれば後手玉の詰めろは消えます。△7五角に▲8七玉は先手玉に詰みがあり、▲8六桂や▲8六銀と合駒するのは△7八角成で受けが難しい形です。先手は厳しい状況に追い込まれました。
飛車切り
77手目▲4三歩から△7六桂▲同金△6七金▲7七金引△8六飛(図)と進みました。郷田王将、迫力満点の寄せです。ただ、飛車の横利きが消えると、先手に▲3一銀を与えます。ハイリスク・ハイリターンの寄せといえます。果たして決まっているのかどうか。
後手に決め手があるか
2日目午後のおやつ
方針を定めないといけない
図の局面で郷田王将が長考しています。形勢は後手有利ですが、ここからも難所が続きそうです。
「基本的に後手がいいのは間違いないと思います。休憩中に郷田王将側から盤面を眺めたのですが、かなり好印象を持ちました。ただ、方針をしっかり定めないといけない局面だと思います」(深浦九段)
「後手はしっかりプランを立てておかないといけません。たとえば飛車はどう使うのか、△8八歩はどのタイミングで決めるのか。プランがなくては、その場その場で対処できません」(野月七段)
「午前中とは異なり、候補手が多い局面になったので、後手が間違えやすい局面になっています。複数の候補手が続く際に、自身の感覚に誤っている箇所があると、『いつの間にか形勢が悪くなっている』という展開になりやすいです」(千田五段)