2016年2月

2016年2月17日 (水)

C280 (郷田真隆王将は見事な寄せでタイに戻した)

【郷田王将のインタビュー】

―― 1日目は「仕掛けてこい」という姿勢でした
郷田 それは予定どおりでした。

―― その後も予定どおりでしたか
郷田 だいたいこんな感じになりそうな……。仕方ないという感じで指していました。

―― 封じ手の▲4四歩はどうですか
郷田 ▲4四歩なら手が続くので「なるほど」と思いました。

―― 66手目△8六歩のところはどう思われていましたか
郷田 ちょっとよく分からなかったですね。

―― 78手目△7六桂と跳ねたあたりで先の見通しはついていたのですか
郷田 跳ねるしかない形なので、ちゃんと読みきれたわけではないですけど。ただ、△8五桂(86手目)を発見できたので、いけるかなと。

―― ではそこでよくなったと感じられたのでしょうか
郷田 きわどい将棋なので、一手でも間違えるとあれですけど。最後まで分かってなかったですね。

―― 2勝2敗になりました。第5局に向けて抱負をお願いします。
郷田 あらためて三番勝負の形になったので、自分なりにベストを尽くしたいと思います。

C286 (敗れた羽生善治名人)

【羽生名人のインタビュー】

―― 41手目▲4五同銀は新手でした。事前に温めていた手なのでしょうか
羽生 こういう手もあるんじゃないかと。もうちょっと手が続くと思っていたのですが、少しずつ駒損が響く展開になってしまった気がします。

―― 封じ手の▲4四歩のあたりはいかがですか
羽生 5三桂を成らないで▲4一銀のような手が利かないとダメなのかも(47手目▲5三桂成に代えて▲4一銀)。でもそれも自信がなかったので、この形自体に少し問題があるのかもしれません。

―― 2日目は激戦でした
羽生 千日手含みで頑張る順はあったかもしれないですけど、先手がいいという感じでは途中からはなかったですね。

―― 千日手の順とは具体的にどこでしょうか
羽生 △8八歩(68手目)に手抜いて▲4二金とかでペタペタ打って……。そうやったほうがまだ粘りはあったかもしれません。

―― 最後のほうはどうでしょうか
羽生 最後はダメだと思っていました。

―― 第5局に向けてはいかがでしょうか
羽生 また気持ちを切り替えて臨みたいと思います。

C294 (終局直後)

04088_2

△8五桂▲同歩△7五角で図の局面。先手に桂を渡したので後手玉は詰めろになっていますが、△7五角が合駒請求の王手で、駒を1枚使わせれば後手玉の詰めろは消えます。△7五角に▲8七玉は先手玉に詰みがあり、▲8六桂や▲8六銀と合駒するのは△7八角成で受けが難しい形です。先手は厳しい状況に追い込まれました。


04082_2

77手目▲4三歩から△7六桂▲同金△6七金▲7七金引△8六飛(図)と進みました。郷田王将、迫力満点の寄せです。ただ、飛車の横利きが消えると、先手に▲3一銀を与えます。ハイリスク・ハイリターンの寄せといえます。果たして決まっているのかどうか。


04077「▲4三歩は次に▲4二歩成が詰めろですが、この瞬間は何でもありません。後手は先手に駒を渡しても自玉が詰まないので、先に詰めろ詰めろで迫れれば分かりやすいです。もちろん、冷静に△4一歩もある手です」(深浦九段)
「時間も残っているので、△4一歩ではなく寄せに向かいたいですね」(田村七段)

C274

C266

C246 (現地解説会の来場者数は、16時の時点で180人)

2日目午後のおやつです。
羽生名人 フルーツ盛り合わせ、ホットレモンティー
郷田王将 抹茶、和菓子

C238 (フルーツ盛り合わせ)

C240 (和菓子は弘前の老舗店『大阪屋』から、常用まんじゅう、練り切り、生菓子)

04067図の局面で郷田王将が長考しています。形勢は後手有利ですが、ここからも難所が続きそうです。

「基本的に後手がいいのは間違いないと思います。休憩中に郷田王将側から盤面を眺めたのですが、かなり好印象を持ちました。ただ、方針をしっかり定めないといけない局面だと思います」(深浦九段)

「後手はしっかりプランを立てておかないといけません。たとえば飛車はどう使うのか、△8八歩はどのタイミングで決めるのか。プランがなくては、その場その場で対処できません」(野月七段)

「午前中とは異なり、候補手が多い局面になったので、後手が間違えやすい局面になっています。複数の候補手が続く際に、自身の感覚に誤っている箇所があると、『いつの間にか形勢が悪くなっている』という展開になりやすいです」(千田五段)

C017 (2日目朝の郷田王将)