前夜祭(6)
(両対局者が紹介された)
(里見香奈女流名人)
(清水市代女流六段)
里見香奈女流名人のあいさつ
「皆さんこんばんは。まず、昨年休場しまして、皆様には大変ご心配やご迷惑をおかけしましたこと、申し訳ありませんでした。それにも関わらず見守ってくださったり、温かい言葉をいただきましたこと、感謝しております。ありがとうございます。私が復帰させていただこうと思えたのは、やっぱり周りの方々が本当に温かく、そっと見守って下さったことしかありません。自分の体調はまだ万全ではありませんが、今の自分にできること、目の前の対局を一生懸命指し切ることを目標にがんばっていきたいと思っております。先ほど久しぶりに地元の方々、遠くから来て下さった方々と少しだけお話をしたのですが、そっと温かく声をかけて下さる方ばかりで、本当にうれしかったです。それに応えられるように、全力を尽くしてがんばっていきたいと思います。最後になりましたが、この女流名人戦を支えて下さっております主催の報知新聞社様、協賛をいただいておりますユニバーサルエンターテインメント様、また対局場を提供してくださっている出雲市様、その他関係者の皆様、厚く御礼を申し上げます。本当にがんばっていきたいと思います。どうぞ明日はよろしくお願いいたします。ありがとうございました」
清水市代女流六段のあいさつ
「改めまして、皆様こんばんは。挑戦者の清水市代でございます。お話ししたいことはいっぱいあったはずなのですが、いま里見さんの話を聞いていたら、もらい泣きをしそうになってしまいまして……。私が最初にタイトルをとらせていただいた女流名人戦という、思い出のあるタイトル戦に里見さんが初めて出てきたときのことを思い出してしまいました。本当にひたむきで、誠実で、一生懸命な姿が私にはまぶしかったですし、指すたびにいろいろなことを教えてもらえるような気がして指したことが、昨日のことのように思い出せます。里見さんが休場したときは自分でもショックだったのですが、今回こうして元気に出てきてくださって、出雲の皆様が誇る、不世出の女流棋士がこうして大きな舞台で戻ってきたことは、一ファンとしてはすごくうれしく、明日から本当に心が躍るような気持ちではいます。ただ、挑戦者としてはこれほどに手強い相手はおりません。心を入れ替えて、明日は真っ白な気持ちで臨みたいと思います。数年前に皆様に結んでいただいたご縁のおかげで今回こうして来させていただくことができました。変わらない皆様の笑顔を拝見しまして、うれしく思っております。本日はありがとうございます。明日からは自分らしい将棋を皆さんにご覧いただけるようにしっかりと務めたいと思います。里見さんの地元出雲ではありますが、清水市代の応援をしてくださる方がほんのちょっとでもいらっしゃいましたら……(会場から大きな拍手)、静かに応援していただければと言おうと思ったのですが、ありがとうございます。明日は里見さんに思い切ってぶつかっていきたいと思います。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました」
(翔)