第63期王将戦七番勝負第2局 Feed

2014年1月24日 (金)

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■渡辺王将
―― 1日目からあまり前例のない展開になりましたが、進行をどのように見ていましたか。
渡辺 ▲2五銀(27手目)が通っちゃったので、ちょっと用意が不足していた感じが……。
―― 歩損ですが、形勢は。
渡辺 そうですね、その予定で△8三銀(24手目)とやってなかったので、ちょっと。いきなり▲2五銀を通しているようでは、と思いました。
―― 2日目になりまして、封じ手は予想されていましたか。
渡辺 うーん。手が広いところなので、いろいろな手があるかなと思いました。
―― その後は一転駒組みになりましたが。
渡辺 序盤で失敗したと思ったので、息長く指してチャンスがあればとは思っていました。
―― 昼食休憩再開後に△9五歩(58手目)と仕掛けましたが、ある程度成算はあったのでしょうか。
渡辺 忙しい意味があったので。わからなかったですけど、攻めてみようと思いました。
―― 効果があったというか、これで優勢に立たれたということでしょうか。
渡辺 そうですね。攻めがうまくいっているような気はしてたんですが、ただ入玉含みになったので。なかなかはっきりしなかったですね。
―― 勝ちになったと思った局面は。
渡辺 △5五角(106手目)で桂馬を外す手がぴったりのような気がして。残っているかなと思いました。
―― これで2連勝となったわけですが、第3局以降はどうでしょうか。
渡辺 そうですね、持続できるようにがんばりたいと思います。

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■羽生三冠
―― 1日目を終えていかがでしたか。
羽生 歩得したんですけど、結局でもその歩得を返さないと角が使えないので。はっきりしない将棋なのかなあ、と思っていました。
―― 封じ手は18時ちょうどに指されましたが、ある程度決めていた?
羽生 角を使わないと駒がよくないかなと思いましたので。でも、その後の構想に問題があったような気がしましたね。
―― たとえばどのような?
羽生 ▲7五歩(53手目)は間違いなくおかしかったと思います。何か違う……単に▲5六歩くらいで。それでどうなるかわからないですけど、でもそういうふうに指すべきでした。
―― 端攻めはある程度覚悟されていたと思うんですけども。
羽生 いやあ(笑)、もう全然ダメだと思いました。ええ、ええ。
―― これで連敗になったのですが、第3局以降については。
羽生 気を新たに臨みたいと思います。

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渡辺王将は△5五角(図)と桂を取って自玉の詰めろを解消した。図で▲同歩は△7七飛成▲同金△5六歩以下先手玉は詰み。▲6五銀も△7七飛成▲同金△4五桂からやはり詰みだ。ニコニコ生放送の郷田九段は「ようやく後手が勝ちになりました」とコメントした。

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18時3分、羽生三冠は▲5四銀(図)と攻防に利く銀を打った。この瞬間は後手玉に▲4三桂不成△同玉▲3二銀以下の詰めろがかかっている。後手は△6六金▲同玉といったん玉を6六の地点に呼ぶことで、桂を金縛りにできる(後手角が間接的に先手玉をにらんでいる)。その局面で寄せがあるかどうか。後手も一手誤るとすぐに形勢が入れ替わりそうだ。
1日目の封じ手時刻の18時を過ぎ、外はすっかり暗くなっている。18時7分、渡辺王将が頭を抱えるように手をやる様子がモニタに映った。読み切れていなければ焦っても不思議ではない局面だが。△6六金と角を取るほかにも△5五角と桂を外す手もある。どう手を組み合わせていくか。

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17時16分、羽生三冠が▲8三香(図)と打つ。飛車が逃げるなら▲8一香成~▲7三歩成で上部を開拓するのが狙いだ。先手玉は現状は危険で攻め合いには出られないが、上部の安全が確保されれば条件は大きく変わる。
ニコニコ生放送の郷田九段は△7二飛を危惧している。▲8一香成と桂を取った瞬間が甘く、△7四金が厳しい筋になるというもの。以下▲7三歩は△6五金(A図)が詰めろ。これは先手玉が寄り筋に入っている。

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A図で▲7二歩成は△7五桂で詰み、▲6五歩は△8八角成が詰めろだ。

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渡辺王将は△7七銀と打ち込んで先手玉に迫り、羽生三冠は▲6六歩(図)で角の利きを止めて抵抗している。ニコニコ生放送の郷田九段は「△7八銀成▲同玉△7七金▲同角△同歩成▲同玉△7六歩(A図)に(1)▲同玉は△4九角▲5八飛△同角成▲同金△7八飛▲6七玉△8七飛成で、これは後手の勝ちです。(2)▲7八玉も△4九角と打って、次に△7七歩成で銀を抜けます」と話す。

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この歩が痛打。取っても逃げても後手の厳しい追撃がある。