2015年1月28日 (水)

前夜祭(2)

Dsc_0326_2 (青野照市 日本将棋連盟専務理事)

多くの方にご来場いただきましてありがとうございます。普段の前夜祭と違うのは、お子さんが非常に多いということですね。今期王将戦は64期になりますけども、この大田原対局に関しては大田原市さんが10年という長い年月、毎年誘致をしてくださっています。地方にタイトル戦を持っていくということは、町おこしだけではなくて、少年少女たちの頭脳の育成、プロ棋士の文化を見ていただくということでもあります。長年やっていただいている大田原市には本当に感謝を申し上げたいと思います。

今回の王将戦は、若き帝王であります渡辺王将に郷田九段が挑戦する構図です。渡辺さんは昔から竜王もとっていましたけども、どちらかというと寒い時期に強いのかなと。王将と棋王というのは2つを同じ人が持っているということが多いんですね。渡辺さんは冬型の棋士なのかなという気がします。渡辺さんにしてみたら今までずっと羽生さんや森内さんがやって来て、いくらやっつけてもまだまだ郷田さんの世代がやって来る、そういうことに驚きを感じているのではないかと思います。

明日から二日間の戦いが始まりますけども、いろいろなメディアで発信されます。スポーツニッポン新聞さま、毎日新聞さまはもちろん、地元の下野新聞さまも非常に力を入れていただいています。また囲碁将棋チャンネルさま、ドワン ゴさまのニコニコ生放送、連盟の携帯中継もあります。明日の大盤解説会にも足を運んでいただいて、盛り上げていただければと思っております。少年少女たち が「本物のプロを見た」ということが一生の思い出になるような王将戦になればと思っております。

Dsc_0373 (観堂義憲 下野新聞社代表取締役社長)

下野新聞の観堂でございます。伝統ある王将戦七番勝負第3局がここ大田原の地で今年もまた開催されますことを、非常にうれしく思っております。皆さまの熱意で10年連続、ここホテル花月では9年連続ですけれども、すっかり「将棋のまち」という言葉が定着してまいりました。栃木県は大田原が先頭を切っておりますが、宇都宮も盛んでして、来月からは棋王戦も始まります。渡辺二冠は同時進行するんですが、栃木ではこの2つのタイトル戦が行われまして、日本でも有数の将棋県というふうになりつつあります。

渡辺王将は皆さんご存知のように強いお方ですね。唯一の心配は過密スケジュールです。将棋界の新年は王将戦から始まって2月からは棋王戦、渡辺二冠はダブルタイトルマッチが始まると。以前は久保九段がそうでした。久保九段は二冠を持っていたんですが、対局は2月だけで8局。うち2局が二日制の王将戦ですから、体がクタクタだったと思います。それを調整していかないとこの期間を乗り切ることはできないでしょう。日本中の渡辺ファンは、体調をきちっと管理して進んでいただきたい、このまま4つ勝って3連覇、A級順位戦も目が残ってますので、挑戦権をつかんでくれないかと期待していると思います。

一方の郷田九段は43歳ですか、脂ののった年齢で、今回すごかったのは挑戦者決定リーグの最終戦で羽生名人を破って挑戦者に名乗りをあげた、そういうすごいことをおやりになった。七番勝負には初登場ですが、リーグには15期いらっしゃるんですね。挑戦者決定リーグは7人がいて、そのうち3人が陥落するという狭い門です。実力がすごい高みにあるということの証明なんです。

お二人の対戦成績はここ10年で調べてみたら、渡辺王将が19勝9敗と若干リードされていらっしゃいます。ここのところは渡辺王将が5連勝しています。「剛直流」郷田将棋のファンは、ここで1局勝って、さらにタイに持ち込んで、逆転していただきたいというふうに願っていると思います。第2局は150手を超す大熱闘。投了の数手前まで誰が勝っているかわからないというすごい将棋でしたね。ああいうすごい将棋を我々将棋ファンは期待しております。ぜひがんばってください。

Dsc_0424 (津久井富雄 大田原市長)

皆さまこんばんは。大田原市長の津久井富雄でございます。第64期七番勝負第3局ということで、盛り上がった戦いになるのではと、ハラハラしているとろであります。渡辺王将と郷田挑戦者をお迎えして、このように盛大に前夜祭を開催できますことを、主催者のひとりとして感謝する次第でございます。

将棋界には多くのファンがございまして、こうして10期連続で大田原でやれたというのも、皆さまのご好意、ご支援の賜物と思っております。振り返ってみますと、10年前、前市長は大田原に新しい文化を作りたいと、子供たちに夢や可能性を与えたいと、そういう思いでした。武将は戦略、戦術、そういう知的なものをわずか小さな盤の上で想定して、実戦では命をかけて戦った。そういうことを将棋の対局の背景にあるのかなと思いますと、奥の深さを感じます。将棋という広い世界でこれからを担う若いお子さんたちの姿も、日本のトップクラスの方々をお迎えして将棋の戦いをお見せできることは、大きな励みになると感じています。

明日行われます王将戦では、皆さまの期待以上のものが必ず出るものと思っておりますので、大盤解説会に参加していただいて、応援のほうも盛り上げていただければと思います。できるならば、これは私の欲ですが、今年の平成26年度というのは大田原市の節目の年であります。大田原市制施行60周年、そして黒羽町、湯津上村と合併して10周年という年度でもあります。今年は新しい可能性、種をまく時期なのかなと思っております。願わくば、11回目も王将戦をこの大田原市で行っていただければと思っております。

Dsc_0454 (日本将棋連盟から津久井市長に三段免状が贈られた)