2015年1月21日 (水)

前夜祭(2)

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(成冨功・スポーツニッポン新聞社取締役大阪本社代表)

皆さんこんばんは。本日は第64期王将戦第2局の前夜祭に多数お越しいただきまして誠にありがとうございます。今回は新安来市発足10周年記念事業として王将戦の開催実行委員会を立ち上げていただきご誘致いただきました。ありがとうございます。安来市の皆さんの王将戦実現に向けた情熱に感謝します。渡辺明王将は最新の将棋スタイルを常に研究なさっていて将棋界では理論派として知られております。郷田真隆九段は何が何でも我が道を突き進む、直線的な攻め、そういった棋風から剛直流と呼ばれているという、スタイルが異なるおふたりの対局であります。2011年には棋王戦でタイトルを争われております。それ以来2回目のタイトル戦での対局ということです。
 第1局では渡辺王将が先勝しました。今回は恐らく郷田九段の巻き返しが注目されるのではないかと思います。名実ともに現在の将棋界を代表されるおふたりの対局、ファンの皆さんを魅了するものになるのではないかと思っています。スポーツニッポン新聞社ではおふたりの熱戦の模様を皆様に紙面を通じて独自の切り口で伝えていきたいと思っています。
 将棋界ではスポーツ新聞がタイトル戦に関わることは少なく、他は一般紙、テレビ局などが関わっております。私たちは毎日新聞社とともにずっと王将戦を応援していますが、スポーツ新聞という性格上、違った切り口で紙面をにぎわせていきたいと思っていまして、静岡県掛川市の第1局では、東海道ではお城で有名な街でして、前夜祭でもおふたりに無理を言ってコスプレをしていただきました。渡辺王将には徳川家康、郷田九段には山内一豊の扮装をしていただいて、さらに地元のゆるキャラをはさんでいただいたものを翌日の紙面に飾らせていただいたり、そういった一風変わったこともやっています。今回、どんな企画にしようかなと先ほどカメラマンとも相談していましたが、まだ内緒なので紙面をご覧いただいて楽しんでいただければと思っています。
 掛川はお城だと申しましたが、市長さんに先ほど伺いましたら『安来は尼子だ』ということでした。申し訳ないのですが私たちは中国地方と言えば毛利かなと思っていたのですが、こちら安来には月山富田城という難攻不落の本拠がありまして、かつては大内や毛利を撃退したそうです。やはり安来では尼子が一番、また山中鹿介なのかなと思っています。中国地方の覇権を大内、毛利、尼子が争った場所です。王将戦を行うにふさわしい場所だと改めて思った次第です。最後になりましたが安来市の皆さん、さぎの湯荘の皆さん、関係各位の皆さんに御礼を申し上げます。

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(東和男・日本将棋連盟常務理事)

今回、安来市で王将戦が開催されるのは初めてです。前夜祭にお越しいただきありがとうございます。
郷田九段は王将リーグで独走態勢で5局目で挑戦権を獲得するかと思っていたところから連敗して暗雲が立ち込めたのですが、プレーオフを制して挑戦者に名乗りを挙げられました。郷田九段は21歳で王位を谷川浩司(現)会長から取りました。それから数々のタイトル戦に出ているのですが、王将戦は初めてというのが意外です。ご本人は並々ならぬ決意でタイトル戦に臨まれているのではないかと思います。郷田九段は将棋は妥協を許さない。21歳で初めてタイトル戦に出てきたとき、私は少年剣士のように感じました。いまは若干貫禄が出てきておられますが、凛々しい対局態度を見てみたいという方はたくさんおられると思います。
渡辺王将ですが、実は私、渡辺王将のファンなんです。というのも、テレビ対局を見ていると、渡辺王将の解説が非常に明快なんですね。難しい局面でも手順を全て解説してくれますし、局面の考え方をおっしゃるんです。『この玉は囲い方として勝つイメージがない』とか、『この駒はこちらへ持って行ったほうが勝ちやすい』とか、私もプロ棋士の端くれなんですが、非常に勉強になります。これは恐らくファンの方も同じ見方をされているのではないかと思いますので、明日の王将戦第2局では渡辺王将の戦いぶり、また感想戦のコメント等をご自分の将棋に参考にしていただけたらと思います。
この王将戦は封じ手予想を早くからやっていました。これはかつて大阪の担当の方が発案されて実現したものです。勝負は厳粛なものですが、紙面で読者に楽しんでもらいたいという考えから実行されました。いまはネット中継もあって棋士の予想が出ることが多いですが、その先駆けがスポーツニッポン紙なんですね。シリーズを通してネット中継、スポーツニッポン紙で将棋を楽しんでいただけたらと思います。大盤解説会にもぜひお越しいただいて楽しんでください。最後にスポーツニッポン新聞社様、毎日新聞社様、協賛の囲碁・将棋チャンネル様、第2局開催にあたってご協力いただいております関係の皆様に御礼を申し上げてあいさつと代えさせていただきます。

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(近藤宏樹・安来市長)

皆さんこんばんは。本日はようこそ王将戦の前夜祭にお越しくださいました。まずもって御礼申し上げる次第でございます。渡辺王将、郷田九段、ようこそ安来市へお越し下さいました。市民を代表しまして心から歓迎申し上げます。王将戦を主催し、本大会の運営にご尽力たまわりましたスポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、日本将棋連盟、その他多数の関係者に厚く御礼を申し上げます。
 第64期王将戦を安来で開催できることを市民は大変光栄に思っております。安来市はこれまでプロ棋戦を開催した経験がありません。何かとご不便をかけるかと思いますが、そこは我々のおもてなしの心でカバーしたいと思っております。
 安来市はどじょうすくいで有名な安来節の本場です。世界に誇る安来鋼(はがね)、古代から出雲神話の舞台になるゆかりの地があります。中世には中国地方11ヶ国に覇を唱えた戦国大名・尼子氏の居城があります。先般の『軍師官兵衛』にも登場した山中鹿介もこの近くで活躍をしました。この近くには12年連続でアメリカの専門誌で日本庭園日本一に輝いた足立美術館があります。機会があればご運びください。
 明日は王将戦が始まります。お二方には歴史に残る名勝負を期待しています。今後さらなるご活躍をご祈念いたします。本日ご参集の皆さんには渡辺王将、郷田九段を初め関係者の皆様と交流を楽しんでいただきたいと思っております。皆様方のご健勝をお祈りして歓迎の言葉といたします。

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【棋士紹介】(左から)
藤田彰一三段(記録係)
渡辺明王将
郷田真隆九段
久保利明九段(立会人)
畠山鎮七段(副立会人)
香川愛生女流王将(大盤解説聞き手)