2024年1月

2024年1月19日 (金)

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(山本修司・毎日新聞社執行役員西部本社代表)

「明日から第2局が始まります。藤井王将、菅井八段、ようこそ上峰町にお越しくださいました。この地から勝敗だけでは量れない将棋の素晴らしさを発信できることをうれしく思います。 藤井王将と羽生(善治)会長の署名された免状が大変申請が増えていてうれしいことですが、将棋の素晴らしさや魅力が多くの方に伝わって、本当のすばらしさが根付いてブームではなく、末長く隆盛を誇っていくようにしていかねばなりません。毎日新聞、スポーツニッポン、日本将棋連盟で盛り上げていければと思っています。 第2局、素晴らしい対局が繰り広げられることを期待しています」

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(山科武司・スポーツニッポン新聞社取締役)

「今年で7年連続お招きいただいた上峰町で王将戦が開催できることをうれしく思います。対局回数が後ろになると開催できないこともありますが、そうした場合もお祝い会を開いて棋士の皆さまを盛り上げてくださいました。 去年はこの場で藤井王将が初防衛をされた印象深い対局場でした。去年は対局場が暑くて冷房を入れた記憶があります。今年は冷房を入れることはないでしょうが、熱戦が繰り広げられることは間違いありません。 スポーツニッポンは2月1日に創刊75周年を迎えます。将棋だけでなく、さまざまなスポーツやエンターテインメントを通じて、皆さまを元気にしていきたいと思っています」

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(森下卓・公益社団法人日本将棋連盟常務理事)

「上峰町で王将戦が7年になると聞いて、もうそんなになったのかと思っております。佐賀県はすごく慎み深い印象があります。テレビ番組で幕末最強は鍋島藩だったのではという話を見ました。また、今日初めて知ったのは源為朝が上峰町とご縁があったと知りまして、鍋島藩といい、源為朝といい、本当に強い方々が集まった土地なのだと思った次第です。 明日から、藤井王将と菅井八段という現代最強といってもいい二人が、源為朝に鍋島藩になって、雌雄を決する一番をたたかいます。ぜひ、皆さまにご声援をいただきまして、より一層盛り上げていただけたらと思います」

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(武廣勇平・上峰町長)

「上峰町は人口1万人の街で、自衛隊が立地しています。能登半島地震に自衛隊が温泉支援ということで入浴支援に向かっています。 上峰町は鎮西八郎為朝を下敷きにしながら街づくりを進めてまいりました。街づくりに歴史や伝説を背景に進めていくこと、また、為朝が2メートルあり、10代で平定して、地域の安定を図ってきた存在です。調べましたら、全国的に武運といいますか、武芸に尊ぶ戦いの神様として神聖化されている様子が見られました。日本一の雌雄を決する大会を上峰町でできたらという気持ちから王将戦を誘致させていただきました。二人の為朝の頂上決戦を私も注目しています」

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(関係者紹介。左から記録係・森本才跳四段、立会人・小林健二九段、藤井聡太王将、挑戦者・菅井竜也八段、副立会人・糸谷哲郎八段)

(書き起こし=銀杏、撮影=翔)

18時から、上峰町民センター大ホールで前夜祭が開催されました。

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(上峰町民センター大ホール)

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(ホール最高峰から両対局者が入場)

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(藤井聡太王将の後ろに菅井竜也八段が続く)

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(藤井王将と菅井八段が壇上にそろった)

検分のあと、対局者への取材が行われました。

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(対局室で主催者の質問に答える藤井聡太王将)

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--去年はここで6局目、王将初防衛の場。初防衛の地に戻られての対局です。
前期は昨年の3月で、あっという間と感じています。対局自体いい観光の中で集中してさすことができた。いいイメージを持っていると思います。

--開幕局について、その後ご自身で検討されて当日気づかなかった点はありますか。
中盤が難しい将棋でなかなか見通しを持って進めることができず、時間をかなり使ってしまったのが改善点と思います。

--指しているときも時間が少ないのは意識していましたか。
本格的な戦いが起こる前に残り1時間になったので、少なくなってしまったとは思います。

--朝日杯で連勝してベスト4進出を決めました。朝日杯の相手は居飛車党でしたが、重要な対局で相居飛車と対抗形と指してみて違いはありますか。
相居飛車はお互いの玉が薄いことが多いので、戦いが始まると激しくなりやすいですが、第1局は駒がぶつかってからも本格的な戦いになるまで時間があったので、そういったペースの違いはあると思いますし、対応していかないといけないとは思います。

--第2局は先手番です。対抗形は間違いないと思いますが、最も警戒しているところはどこでしょうか。
対抗形は先手と後手で展開が大きく異なることは少ないと思っていますが、先手番なので第1局よりは積極的な指し方が選べると思っています。第1局は中盤で課題があったので、そのあたりを改善できたらと思います。

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(対局室には今期七番勝負の記念扇子が飾られている。藤井王将が「心」、菅井八段が「技」と揮毫している)

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(菅井竜也八段)

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--佐賀での公式戦は初めてですが、車窓から見た雰囲気、印象はいかがですか。
自分が好きな雰囲気ですね。将棋のことを考えていたらあっという間に着いたので、あまりゆっくりとは見られなかったです。

--第1局、あとで振り返って当日気づかなかった部分は何かありましたか。
第1局は形勢が難しいところで悲観していた部分があって、それが中終盤の判断ミスにつながったので、明日からの対局で修正したいです。

--第1局のあと3局公式戦がありました。相手の出方にもよるのでしょうが、飛車を振る場所、囲いが異なりました。王将戦七番勝負との関連でいろいろ試すという意図はあったのでしょうか。
全くなくて、自分がそのとき一番いいと思ったものを採用しています。相手の出方を見てというところです。

--第2局は後手番で、対抗形になるとは思いますが、意気込みをお聞かせください。
ふふふ、間違いなく対抗形になるでしょうね。精一杯がんばります。

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16時頃から対局室の検分が行われました。

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(検分)

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(藤井聡太王将)

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(菅井竜也八段)

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(明るさや室温の確認が行われた。昨年3月に行われた前期第6局では室内温度が27度になって冷房が入れられたが、今回はストーブが用意されている)

藤井聡太王将に菅井竜也八段が挑む、第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第2局は1月20日(土)、21日(日)に、佐賀県上峰町「大幸園」で行われます。
持ち時間は各8時間。対局開始は9時。1日目の封じ手時刻は18時です。
昼食休憩は12時30分~13時30分。第2局の先手番は藤井王将です。

立会人は小林健二九段、副立会人は糸谷哲郎八段、記録係は森本才跳四段が務めます。

本局は棋譜・コメントを銀杏が、ブログを翔が担当します。よろしくお願いいたします。

◎主催
【毎日新聞】 https://mainichi.jp/oshosen2024
【スポーツニッポン】 https://www.sponichi.co.jp/society/tokusyu/osho2018/

◎特別協賛
【ALSOK】 https://www.alsok.co.jp/info/alsokhai-oushousen/
◎協賛
【囲碁将棋チャンネル】 https://www.igoshogi.net/shogi/oushou/73th/73oushou_seven_battle.html
【立飛ホールディングス】 https://www.tachihi.co.jp/social/art-culture/
【inゼリー】 https://www.morinaga.co.jp/in/jelly/

◎七番勝負協賛
【富士フイルム】 https://www.fujifilm.com/jp/ja

◎対局場「大幸園」http://www.taikouen.com/

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(16時頃、一行が大幸園に到着)

2024年1月 8日 (月)

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【藤井王将の談話】

――後手番で相穴熊になりました。戦型が決まるまでの展開はいかがでしたか。
「序盤は途中まで叡王戦の将棋とも近い形だったのですけど。今回は穴熊に組む前に△3二金(28手目)と△4三金(30手目)を先に組む形にして。それがどう違いが出て来るか難しいかなと思っていました」

――1日目は千日手模様の展開が続きました。封じ手までの展開はいかがでしたか。
「△2四角(40手目)と△8四飛(42手目)の組み合わせがあまりよくなかったかなと思っていました。△7四飛(44手目)に▲6七銀と引かれて、思っていたよりも手が難しい形になってしまったので。△8四飛に代えて△7四歩と突く形にしたほうがよかったかな、ということは思っていました」

――2日目、封じ手の▲4七飛と、その後の展開はいかがでしたか。
「▲4七飛に対して仕掛けていったのですけど。その後10手ぐらい進むと少し模様が悪い気がしたので。その辺りの手順がもう少し工夫が必要だったかなと思います」

――模様が悪かったというのは、どの辺りがどのようにでしょうか。
「▲5五歩(63手目)と突かれた辺りから少しこちらがうまく動いていくのが難しい形になってしまったかなと感じていました」

――お互いに4枚穴熊の形になったあと、△8七歩(80手目)から局面が動いていったと思います。その辺りの展開はいかがですか。
「▲7六飛(73手目)と回られた辺りはちょっと7筋の形がこちらにとって負担になってしまって、苦しくしてしまったかなと思っていました。△8七歩の少し、飛車の利きの陰になってしまうので、あまり成算はなかったのですけど。局面を収めにいくのもちょっと大変なのかなという気がしたので。動いていく変化を選びました」

――その後、勝負になったなと思ったのはどの辺りでしたか。
「攻め合いのときに、こちらの玉のほうがどうしても4筋に歩が立ってしまう分、ちょっと薄い形なので。自信がない局面が続いているかなと思っていたのですけど。△5九飛(108手目)と打ったあたりは、と金を払う筋を見せて頑張れそうな形になったかなとは思っていました」

――第1局、白星からスタートしました。第2局目以降に向けての抱負をお願いします。
「本局は序盤の構想に課題が残ったかなと思うので。その辺りを第2局に向けて修正していけたらと思います」

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【菅井八段の談話】

――三間飛車から穴熊にされました。先手番になったら、こういった作戦でいこうという予定でしたか。
「そうです。はい」

――1日目は千日手模様に進みましたが、その辺りはどう考えていましたか。
「凄く難しい序盤戦かなと思っていました」

――打開を探っていた感じでしょうか。
「はい、そうです」

――封じ手は選択がいくつかあったと思いますが、▲4七飛はどういったことを考えて選ばれましたか。
「凄く手が広いので。▲5六銀など、他にも手があったと思うのですけど。凄く難しい局面でした」

――後手のほうから仕掛ける展開から互いに4枚穴熊を作る進行になりました。その辺りはいかがでしたか。
「▲4八銀(79手目)と引いたのがよくなかったように思います」

――具体的にはどういった理由ですか。
「本譜、△8七歩(80手目)の瞬間に(攻め合おう)と思ったのですけど、こちらが桂馬とか香車に弱い形なので。ちょっと厳しいかなと思いました」

――▲5四歩(93手目)から▲4四歩と、飛車を見捨てて穴熊に迫りました。あの辺りはいかがでしたか。
「実戦的に、というつもりでしたけど。最後ちょっと△6四角(104手目)という手がいい手で。その局面はまずい、というかピッタリでしたね」

――本局の反省材料としては、どの辺りでしょうか。
「中終盤の読みの精度ですかね。はい」

――第2局に向けて抱負を聞かせてください。
「はい。集中して頑張りたいと思います」