――明日の対局を控えての心境。
藤井 非常に注目されるシリーズだと感じています。それに応えられる戦いをしたいと思います。
――掛川市や対局場の印象。
藤井 掛川を訪れるのは今回が初めて。先ほど検分させていただきましたが、掛川城の天守も近くに見えて、よい雰囲気の対局場だと思いました。
――七番勝負に向けての抱負。
藤井 王将戦は2日制の対局になるので、一手一手、自分なりにしっかり考えて、いい内容にしていければと思います。
――王将戦に向けての対策。
藤井 しばらく対局がなかった(昨年最後の公式戦は12月2日)ので、王将戦を常に意識して取り組んできたところはあります。王将戦に向けて序盤の研究もある程度はしてきました。
――渡辺王将は「半年間ほど準備してきた成果を試してみたい」と話していた。その点についてどう思うか。
藤井 これまで棋聖戦で2回対戦していますが、今回は2日制ですし、これまでとは違った戦いになるのかなと思います。自分もしっかり対応できるようにやっていきたいと思います。
――初戦の意気込み。
藤井 自分自身、公式戦の対局は久しぶりになりますけど、持ち時間が各8時間と長いので、一手一手集中して指せればと思います。
――渡辺王将の1日制と2日制とでは違いは感じるか。
藤井 渡辺王将は対局を見ていてもタイムマネジメントが巧みだという印象を受けることが多いです。特に2日制だと封じ手のタイミングなどもあるので、そのあたりはこちらも慎重にというか、しっかり対応しなければいけないと思っています。
――渡辺王将が掛川対局で負けがない。そのことは知っていたか。
藤井 初めてうかがいました。知りたくないことを知ってしまったと思うんですけど(笑)、自分自身は掛川で初対局になりますので、フラットな気持ちで全力を尽くしたいと思います。
――三冠と四冠のタイトル戦は史上初。藤井さんにとっては冬のタイトル戦も初めて。体調管理やモチベーションについて。
藤井 自分としてはタイトルの数を意識することはないかなと思っています。今回の王将戦は非常に注目していただけるシリーズだと思うので、それにふさわしい将棋にできるように頑張りたい。自分自身は冬のタイトル戦は初めてになるので、気温や体調には気をつけたいと思います。
――渡辺さんとのタイトル争いは、しばらく続くと思う。このシリーズはどのように位置付けるか。
藤井 渡辺王将と2日制のタイトル戦を指すのは初めて。これまでとは、また違った強さを感じることになると思います。しっかり対応して、その経験を生かしていきたいと思います。
――渡辺王将のどのあたりを作戦家だと感じるか。
藤井 序盤の定跡だけでなく、その後の流れも含めて一局をうまくコントロールされている印象があります。そこは自分にない部分だと感じています。
――渡辺さんも藤井さんも将棋ソフトをフルに活用していると聞いている。この半年間でも将棋が進化していると感じるか。
藤井 ソフトを使った研究によって、定跡に関しても新しくなってきたところはあると思います。それ以外の部分でも、ソフトの強さを少しでも取り入れられるように取り組んでいるので、今回もそういったところを少しは出せればと思っています。
(書き起こし=牛蒡、撮影=紋蛇)