今期女流名人戦はちょうど50期目。女流棋士の制度ができて50年目ということでもあります。
1974年10月に「第1回女流プロ名人位戦」(現在の女流名人戦のこと)が創設されて、蛸島彰子三段、関根紀代子二段、多田佳子二段、山下カズ子初段、寺下紀子初段、村山幸子初段が出場。この6人が女流棋士1期生です(女流棋士制度設立当初は、肩書が「女流○段」ではなかった)。2024年1月現在、現役女流棋士は80人。およそ50年で大きく発展していきました。
第1回は奨励会経験者の蛸島三段がシード。ほかの5人がトーナメントで争って、勝ち上がった寺下初段が蛸島三段と三番勝負を戦いました(第8期から五番勝負に移行した)。三番勝負は2連勝で蛸島三段が制して、初代女流名人に輝きました。
(銀杏)
記念撮影を終えた両対局者は退室。立会人の神谷広志八段、大盤解説の井出隼平五段と竹部さゆり女流四段が第1局の見どころを話しました。
神谷広志八段「西山さんが先手だと初手▲7八飛と回るんですが、この二人だけの定跡というのがあるんですよね。意外に攻め合う展開が少なくて、西山さんが一方的に攻めるか、福間さんがうまくいなすか。その辺りが見どころだと思います」
井出隼平五段「序盤から激しくなるときもあれば、泥仕合みたいな将棋になることもあるし、本当にどうなるかまったく分からないです。お二人とも相手が居飛車党だと正統派の振り飛車を指すんですが、なぜかこのお二人がぶつかると、誰もやらない不思議な相振り飛車に突入するんですよね。外から見たら分からないですが、二人のなかでは発展しているんでしょうね。それを高め合っていくのがお二人の番勝負だと思うので、明日もそれが見られることを楽しみにしています」
(写真=銀杏、書き起こし=玉響)