下記の通り、大盤解説会が予定されています。お近くの方はお越しください。
1月18日(日) 13:30~
出雲文化伝承館【縁結び交流館】 〒693-0054 出雲市浜町520
解説者 北浜健介八段
聞き手 北村桂香女流1級
入場料 無料
おはようございます。本日は第41期女流名人戦五番勝負第1局が島根県出雲市「出雲文化伝承館」で行われます。6連覇を目指す里見香奈女流名人に通算11期目の女流名人獲得を狙う清水市代女流六段が挑むシリーズです。昨年4月から休場し、今月復帰したばかりの里見女流名人の戦いぶりも注目されます。
対局開始は2015年1月18日(日)9時、持ち時間は各3時間。
立会人(及び現地大盤解説)は北浜健介八段、現地大盤解説会聞き手は北村桂香女流1級、記録係は西山晴大初段(中田功七段門下)が務めます。
また本局は上野裕和五段によるTwitter解説も行われます。併せてお楽しみください。
【本日のスケジュール】
09:00 対局開始
10:00 おやつ
12:00 昼食休憩
13:00 対局再開、大盤解説会開場
13:30 大盤解説会開始
14:00 おやつ
??:?? 終局
(今朝の出雲市内)
(対局場の出雲文化伝承館「松籟亭」)
(翔)
里見女流名人は1月8日に復帰戦となる第26期女流王位戦予選(中井広恵女流六段戦)での勝利を挙げました。
終局後、報知新聞社によるインタビューが行われましたので、一部を紹介します。
――復帰戦が終わりました。復帰されるに当たって、勉強などはできていましたか。
里見 以前やっていた勉強スタイルとは異なった環境のものとなり、正直できたとは言えないです。いま自分にできることは、1局1局を一生懸命に指すことだと思い臨みました。体調自体は休場前とあまり変わっていません。その中で指し切ることができたかなと思います。
――復帰に至った決断理由は何でしょうか。
里見 このまま休んでいても手探り状態のままで何も変わらないと思いました。どれだけできるか分からない不安もありますが、その中で一生懸命できれば結果には悔いは残らないかと思い、決断しました。
――病状に関して、報告や公表できるようなことはありますか。
里見 私にも分からないです。原因不明の病である状況が続いています。突然悪くなったりするので不安はありますし、今日(1月8日)の対局でも頭痛でくらくらした時がありました。
――異なる勉強スタイルとはどういったものでしょうか。
里見 体調を元に戻すことを第一に考えており、実家で将棋に向き合いましたが、実際の勉強量は私の思い描いている理想には程遠い状況でした。
――そんな中、復帰戦を白星で飾りました。
里見 対局中は、自分の終盤が緩いように感じました。ただ感じただけでどうだったかは正直分からないです。それでも白星でスタートできてホッとしています。あと、3時間きっちり指せたということが収穫です。
――三段リーグにも力を入れたいと考えられていますか
里見 自分がやりたい取り組みができていないですし、これだけの方々にご迷惑やご心配を掛けてしまっていますので、今は自分のできることだけをやっていこうと。正直両方やっていく自信がありません。わがままかもしれませんが、少しずつできることからやらせていただこうかという思いです。
――休場中にどのような思いがありましたか。
里見 思っても見ないことが起こり、私は大丈夫かなと心配でしたし不安でした。ただそれでも将棋を辞めたいとは思わなかった。その励みとなったのは、女流棋戦やタイトル戦もこれだけ休ませていただいている中、周りの方々からいただいた心温かい応援で、自分にとって本当に大きかったです。そういった方々のためにも、これから少しでも恩返しをしていきたいと思っています。
――今後の準備は特別なことをされますか。
里見 体調だけは少しでも前を向けてやっていけるように進めていければと思っています。
――復帰戦で今までと何か違ったことや違った思いはありましたか。
里見 以前と比べ、迷いがなかったです。以前だと絶えずどちらかの選択に悩まされていたが、それがなくその点ではいい方向に向けていました。
――休場中の生活について。
里見 出雲の実家にいることが多く、病院は大阪に通っていました。日頃は将棋は携帯中継を見たり、詰将棋を解くなどして勉強していました。実家では家族がリラックスできる環境を作ってくれて、とても過ごしやすかったです。また休んだことで、自分は本当に将棋が好きなんだなという思いにさせられました。
――女流名人戦が始まります。
里見 タイトルを維持したいという思いはありますが、五番勝負を終えた時に、自分が満足できればそれでいいです。
(北浜八段、菅井五段、北村女流1級が明日の見どころを語った)
北浜健介八段「立会人を務めます北浜です。先日里見さんが復帰戦を戦いまして、どういう将棋を指されるのか注目していましたが、非常によい内容で快勝でした。里見さんが先ほど『体調は万全ではない』とおっしゃっていましたが、これなら復調されているのではないかなという印象を持ちました。明日は里見さんと清水さんが全力を出し尽くした名局が生まれることは間違いないですので、最後までじっくり観戦していただきたいと思います。明日は1時30分より大盤解説会を予定しておりますのでぜひ会場に足を運んでいただけたらと思います。明日はよろしくお願いいたします」
菅井竜也五段「皆さんこんばんは。菅井です。明日は大盤解説会にも出演させていただくことになりました。将棋の内容も注目しています。明日は、自分も1日一生懸命がんばりたいと思います。よろしくお願いいたします」
北村桂香女流1級「皆さんこんばんは。女流棋士の北村桂香です。先ほどの里見さんと清水さんのあいさつを聞いて、里見さんにとっても復帰後の大切な一番で、清水さんも対戦相手として思い入れのある対局になると思うので、明日の対局はすごく貴重なものなのではないかなと感動しました。明日は大盤解説をさせていただきますが、タイトル戦の大盤解説会の聞き手は初めてです。緊張しますががんばりますのでよろしくお願いいたします」
司会者「明日の見どころを3人でお話ししていただければ」
北浜「自由に話せばいいのでしょうか。戦型の予想とかですかね。明日は振り駒でどちらが先手になるかわからないですが、ひとつ参考になるのは里見さんの復帰戦は先手で中飛車だったということですね。先手だと中飛車か石田流でしょうか」
菅井「そうですね、振り飛車じゃないでしょうか」
北浜「里見さんが振り飛車で、清水さんが居飛車で受けて立つと」
菅井「ふたりの対局は中終盤までもつれることが多いのでそれも注目ですね」
北浜「現代将棋の振り飛車党は軽快にさばく人が多いですけれども、清水さんのほうはどちらかというと押さえ込む指し方が多いと思いますが、いかがですか」
菅井「そうですね。しかしあまりうまく話が続かないですね。戦型予想よりも里見さんのことがどうとか話した方がいいと思うのですが、すぐに浮かばないですし」
北浜「そうですか? 私たち、噛み合ってないですか? じゃあ里見さんが後手の場合はどうですか。あえて戦型予想を続けます」
菅井「振り飛車だと思いますが、里見さんは振り飛車以外もできるんですよ。横歩取りとか」
北浜「タイトル戦でもやったことがありますよね」
菅井「では振り飛車は6割くらいでしょうか。北村さんは里見さんと指したことはありますか」
北村「まだないです。いつかは指してみたいですね」
北浜「近いうちに当たるのではないでしょうか。では菅井さんは相居飛車もあるのではないかと」
菅井「はい。何年か前に練習将棋を指していたのですが、ある時期から急に強くなりましたよね。こちらが本当に一生懸命指さないと負かされることもあります」
北浜「奨励会を掛け持ちするようになってから内容が濃い将棋が増えましたね。里見さんの終盤が注目ということ、復調のバロメーターですね。復帰戦はいい内容だったと思うので、引き続き里見さんの内容に注目ですね。清水さんは挑戦権を得た流れを続けたいですね。熱戦を期待します」
(翔)
(両対局者が紹介された)
(里見香奈女流名人)
(清水市代女流六段)
里見香奈女流名人のあいさつ
「皆さんこんばんは。まず、昨年休場しまして、皆様には大変ご心配やご迷惑をおかけしましたこと、申し訳ありませんでした。それにも関わらず見守ってくださったり、温かい言葉をいただきましたこと、感謝しております。ありがとうございます。私が復帰させていただこうと思えたのは、やっぱり周りの方々が本当に温かく、そっと見守って下さったことしかありません。自分の体調はまだ万全ではありませんが、今の自分にできること、目の前の対局を一生懸命指し切ることを目標にがんばっていきたいと思っております。先ほど久しぶりに地元の方々、遠くから来て下さった方々と少しだけお話をしたのですが、そっと温かく声をかけて下さる方ばかりで、本当にうれしかったです。それに応えられるように、全力を尽くしてがんばっていきたいと思います。最後になりましたが、この女流名人戦を支えて下さっております主催の報知新聞社様、協賛をいただいておりますユニバーサルエンターテインメント様、また対局場を提供してくださっている出雲市様、その他関係者の皆様、厚く御礼を申し上げます。本当にがんばっていきたいと思います。どうぞ明日はよろしくお願いいたします。ありがとうございました」
清水市代女流六段のあいさつ
「改めまして、皆様こんばんは。挑戦者の清水市代でございます。お話ししたいことはいっぱいあったはずなのですが、いま里見さんの話を聞いていたら、もらい泣きをしそうになってしまいまして……。私が最初にタイトルをとらせていただいた女流名人戦という、思い出のあるタイトル戦に里見さんが初めて出てきたときのことを思い出してしまいました。本当にひたむきで、誠実で、一生懸命な姿が私にはまぶしかったですし、指すたびにいろいろなことを教えてもらえるような気がして指したことが、昨日のことのように思い出せます。里見さんが休場したときは自分でもショックだったのですが、今回こうして元気に出てきてくださって、出雲の皆様が誇る、不世出の女流棋士がこうして大きな舞台で戻ってきたことは、一ファンとしてはすごくうれしく、明日から本当に心が躍るような気持ちではいます。ただ、挑戦者としてはこれほどに手強い相手はおりません。心を入れ替えて、明日は真っ白な気持ちで臨みたいと思います。数年前に皆様に結んでいただいたご縁のおかげで今回こうして来させていただくことができました。変わらない皆様の笑顔を拝見しまして、うれしく思っております。本日はありがとうございます。明日からは自分らしい将棋を皆さんにご覧いただけるようにしっかりと務めたいと思います。里見さんの地元出雲ではありますが、清水市代の応援をしてくださる方がほんのちょっとでもいらっしゃいましたら……(会場から大きな拍手)、静かに応援していただければと言おうと思ったのですが、ありがとうございます。明日は里見さんに思い切ってぶつかっていきたいと思います。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました」
(翔)