2023年2月26日 (日)

2023022588

図は△5一銀打の局面。先手は桂馬を渡すと△6六桂▲同歩に△6七角の寄せがあるので、▲4二桂成△同銀▲5三銀とは指せません。

そこで藤井王将は▲4二角成と、桂馬を渡さずに角を使って攻めていきました。

2023022591

△同銀に▲5三銀(上図)と、藤井王将は絡んでいきます。再び攻守が入れ替わった状況です。

2023022587

図の▲5四桂を見た羽生九段が考えています。残り時間は30分を切りました。藤井王将は残り39分です。先手は桂馬を渡すと△6六桂▲同歩に△6七角と打つ筋があるので、踏み込んだ攻めと言えます。

福崎九段は「本局で羽生九段が勝ったら、△3三桂が『羽生マジック』ということになると思います」と話しています。

2023022583_2

控室に戻った福崎九段は、「後手が有力になっているのではないでしょうか。藤井王将はずっと攻めていたのに受けに回って、流れが悪くなっていると思います。△4一金(76手目)と△3三桂(82手目)で、羽生九段が流れを引き寄せたと思います。羽生九段はここで考えていますが、△2八飛や△6九飛など、飛車を打つ場所がいろいろあるので、ここで抜け出せるかどうかですね」と話しています。

409

(控室では一転して真剣な表情で検討する福崎文吾九段。西川和宏六段、里見香奈女流五冠も継ぎ盤に向かう)

大盤解説会の参加者には自分ではほとんど指さない方、将棋のルールがあやふやな方も多いと聞いた福崎九段、ユーモラスにルールの説明を織り交ぜています。

403

(盤面2筋に注目)

福崎九段「二歩っていうルールは知っていますか? 同じ筋に歩が2枚並んだらダメなんですよ。でもね、今回は大丈夫。ここで素早く歩を打って『三歩』にすると反則にならないんですよ。素早く打つのがポイントで……」
(注:二歩も『三歩』も反則です)

西川六段「(さえぎるように)あの、でもアマチュアの方は大会で二歩を打たれても、気づかずに投了してしまうと投了優先になるので気をつけてください」

2023022581_2

▲3五銀に対し、羽生九段は△3三桂と跳ねて玉を2一に逃げられるようにして詰めろを受けました。それを受けて藤井王将は▲4六銀と引きました。

2023022583

詰めろのために出た銀を一転して受けに使いました。

400

(16時半頃のさんべ荘前。少しずつ暗くなってきた)

395

(検討する福崎文吾九段と里見香奈女流五冠)

福崎九段「大盤解説会、もう皆さん疲れてはるんちゃう? 『仮眠タイム!』って言ってこようか? そのあと少しして、里見さんも出てきて『消灯!』って言ってくれる?」

2023022581

羽生九段の80手目△4五桂に藤井王将は▲3五銀と、2六の銀を上がりました。この手は▲4二銀成△同銀▲同角成△同金▲4四桂△同歩▲4三銀△同玉に▲4四銀以下の詰めろになっています。
遊び駒を活用する味のいい一手に見えますが、羽生九段はどのように受けるのでしょうか。

290

(昼食休憩時に撮影した、対局室から見える風景)