伏見稲荷大社の表参道を歩き、巨大な大鳥居をくぐると、目前に広がるのが重要文化財である楼門です。この門は天下人である豊臣秀吉の造営です。当時、秀吉は病に伏した母・大政所の病平癒を稲荷大神に祈願し、「もし成就すれば一万石を奉納する」との祈願文を捧げたと伝えられています。その願いが聞き入れられた報謝として建立されたこの楼門は、神社の楼門としては日本最大級の規模を誇ります。
楼門を抜けた先に鎮座する本殿は、明応3年(1494年)に再建されたもので、五間社流造(ごけんしゃながれづくり)という極めて格式高い様式です。五穀豊穣の神・宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)を主祭神とする稲荷大神。注目すべきは、神域の守護者たる狐の意匠です。一般的に神社では狛犬が置かれますが、稲荷大社では稲荷神の使いである白狐がその役を担います。神の意思を人間に伝える霊獣とされ、口には蔵の鍵や宝珠、巻物、稲穂といった、人々の願いや神の徳を象徴する品々をくわえています。また本殿前に飾られるのは「しるしの杉」。平安時代からの風習で、参拝者が稲荷山の杉の枝を折り、身体に付けて帰依の証としたものです。神様との縁をつなぎ、願望成就の象徴とされ、現在は授与品として大切に守られています。
2026年1月24日 (土)





