図は11時ごろの局面。久保王将が△4四歩と突いたところです。ここまでの消費時間は▲豊島42分、△久保1時間1分。阿部隆立会人はここまでの進行について「通常の相向かい飛車戦だと、先手は早めに▲3六歩から▲3七銀の形を作ってから飛車を振るのが普通なんです。本譜は9筋の突き合いが入ったことで、矢倉に囲わずに金無双で戦う姿勢を見せたのが豊島八段の工夫でして、このあと7筋や9筋で歩を持てそうなのが大きいです。特に9筋を交換できるのはとてつもなく大きそうですね。これなら矢倉に囲われてもそれ以上に攻めていけることが大きく見えます。まだまだ序盤の段階で形勢云々を言うところではありませんが、豊島八段の予定や方針がはっきりしていることは確かで、そのせいか慣れない戦型でありながら指し手も早いですね」と解説しました。
(「指し手が早いねー」とモニターに目をやる控室。阿部隆立会人の隣は毎日放送アナウンサーの森本尚太さんで、スポーツニッポン紙上で本局の観戦記を執筆する)