開幕局を快勝した豊島八段。
【豊島八段の談話】
――作戦は、先日のA級順位戦に続いて相振り飛車を選択されました。
「あ、そうですね。この形になればと」
――銀をぶつけたあたり(28手目△4五銀)の感触はいかがでしたか。
「銀をぶつけて指してみよう、という感じで。うまくいくかどうかは、わからなかったんですけど」
――そのあたりまで時間を使っていませんが、ある程度研究範囲だったのでしょうか。
「そこまで深く研究できていたわけではないんですけど、そういうようなイメージといいますか」
――そのあとは、一気に激しくなりましたが、おおよそ読み筋通りに進んでいたのでしょうか。
「銀をぶつけたあと、4四に銀を打つ展開はあるのかなと思って指していました」
――封じ手のところは、どのように見ていましたか。
「すごく激しい将棋になって、詰むか詰まないかの変化を読むことが多かったです。際どい気はしました」
――よくなったと思ったのはどのあたりでしょうか。
「飛車を取って2八に下ろして(70手目)よくなっている気がしました」
――本局は時間をあまり使わずに指されました。
「わりと変化するところがなかったというか。△4五同歩(30手目)としてからは、こちら側は指すしかないという感じでしたので。それで早指しになったのかなと思います」
――一局を振り返ると、満足のいく内容でしたか。
「はい。自分としては、うまく指せたのかなと思いました」
久保王将は力を出せなかったか。
【久保王将の談話】
――A級順位戦に続いて相振り飛車になりましたが、久保王将のほうから変化されました。
「順位戦のように指すのもあったのですが、まあいろいろ、形によってはあったと思いますので。結局は似たようなことになってしまいましたけど」
――銀をぶつけられたところはどのように見ていましたか。
「いろいろ変化の余地が多くて。先に取るか、銀をまっすぐ立つか、どちらかで迷ったのですが。本譜も攻めるところと守るところの選択肢で迷うことが多くて。それで結構時間を使ってしまったというところですかね」
――封じ手の局面はどのように見ていましたか。
「上に逃げ出すような展開とか、本譜のような展開で、何かしらいい勝負になる指し手があるかと思ったのですが、どれも一手負けの変化の気がしました」
――そうすると、もっと前に問題があったのでしょうか。
「そうですね。ちょっと踏み込み過ぎた可能性はあると思います。もう少し何かじっくり指すような将棋にしたほうがよかったかもしれないですね」
――具体的な指し手は何かありますか。
「▲7七桂(35手目)と跳ねたあたりで、自玉に手を入れるような。▲3九玉とか。そういうふうに、もうちょっとゆっくり受ける展開にしてから、▲7七桂を跳ねていくような将棋にすれば、また違った展開になったかなと思います。本譜を選んだときは、10数手先がしっかり読めていなかった感じですね」