【対局者決意表明】
渡辺王将。
「みなさま、あらためましてこんばんは。本日はこのように大勢の方にお集まりいただきありがとうございます。王将戦を長年にわたり主催いただいております、スポーツニッポン新聞社さま、毎日新聞社さま、またご協賛いただいております囲碁将棋チャンネルさま、そしてご来場いただいているみなさまには御礼を申し上げたいと思います。
今回はさいたまでの対局ということで、王将戦は30数年ぶりという、最近ではかなり珍しいということで、実行委員会のみなさま方もかなりご苦労があったと思います。本日行われました「さいたま子ども王将戦」がありまして、大変ご尽力いただきまして厚く御礼申し上げます。私自身も埼玉でタイトル戦をやるのは、おそらく初めてではないかと思います。普段はタイトル戦といいますと遠くへ出かけていきますので都心から近いとあまりタイトル戦をやるという実感はないのですが、こうして前夜祭をやって明日、着物に着替えて身も気持ちも引き締まると思いますので明日からの第4局、このシリーズも中盤戦から終盤戦へ大事な一局となりますので頑張りたいなと思います」
挑戦者・郷田九段。
「みなさん、こんばんは。本日はおこしいただきありがとうございます。また主催のスポーツニッポン新聞社さま、毎日新聞社さま、ありがとうございます。
さいたまでタイトル戦を指すのは初めてなんじゃないかと思います。さいたまは人口も多く、先ほど少しではありますが「さいたま子ども王将戦」を見させていただいて非常に活気がありパワーをもらいました。これからもぜひさいたまでタイトル戦を行っていただけますよう、こちらからもお願いしたいと思います。
伝統ある第64期王将戦。明日からの2日間、第4局をたくさんの方にご尽力いただいております。全力で指して全国の将棋ファンの方にご覧いただければと思います。よろしくお願いします」
【明日の見どころ】
(左から)阿久津主税八段(副立会)、佐藤義則八段(正立会)。
佐藤「私は大宮なのですが、阿久津さんは浦和に近い。あっ出身ですかね」
阿久津「そうですね。小学校6年生のときから10年ちょっと浦和と東浦和に住んでおりまして、ちょうどこの「浦和ロイヤルパインズホテル」から10分かからないぐらいのところにも住んでいたことがあります」
佐藤「本当の地元だねぇ」
阿久津「将棋のプロを目指して奨励会に入ったときぐらいから浦和から将棋会館に通っていましたので、非常に思い出深いですね。なので浦和でタイトル戦が行われるのは嬉しいですね」
佐藤「さいたまは王将戦は30数年ぶりということですが、名人戦は何度かやってますよね」
阿久津「所沢でありましたね」
佐藤「浦和でも40年前くらいありましたね」
阿久津「40年ですか。生まれてないですね(笑)。これをきっかけにさいたまで続いていってもらえればいいなと思いますね」
佐藤「そろそろ将棋の方にいきますか」
阿久津「シリーズ的には渡辺王将が連勝して、いいスタートを切っていたのですが、第3局で挑戦者の郷田九段が1番返して、かなり盛り上がってきたところですね」
佐藤「以前、大山(康晴十五世名人)先生が『普通にやっていれば2勝1敗にはなる』と話していたんです。そういう意味では自然な星できました。第3局で郷田さんが1番返したというのは非常によかったなと」
阿久津「明日からの第4局の勝ち星がシリーズの流れを大きく分ける一局になると思います。2勝2敗になれば星は五分でも挑戦者の郷田九段が追いついた勢いがあります。渡辺王将が勝てば防衛に王手ということになりますから。どちらにとっても大きいです」
佐藤「戦型はですね。明日は郷田九段が先手ですね。渡辺王将は飛車は振らないですよね」
阿久津「少し前、3~4ヵ月前には振ることもありましたね。最近は居飛車ですね」
佐藤「そうすると矢倉か角換わり腰掛け銀の可能性が強い気がするんですが」
阿久津「そうですね。郷田九段は相掛かりはやるんですけど、まあやはり2日制のじっくりした対局なので矢倉か角換わり腰掛け銀というイメージですね」
佐藤「渡辺さんがゴキゲン中飛車でもやれば面白いんだろうけど。たぶんないでしょうね」
阿久津「最近の流れからいくと居飛車だと思います。2人とも頑固な棋風なので、相居飛車のねじり合いが2日間に渡って見られると思います」
佐藤「いずれにしても熱戦にはなりそうですね」
阿久津「はい。明後日は現地でも大盤解説会があります。お時間のある方はぜひ足を運んでいただきたいです」
佐藤「ぜひ楽しみにしていただければ思います。金井さん(恒太五段)がおもにやるようですね」
阿久津「そうですね。途中で佐藤先生や私も登場します」
(書き起こし=吟)