18時3分、羽生三冠は▲5四銀(図)と攻防に利く銀を打った。この瞬間は後手玉に▲4三桂不成△同玉▲3二銀以下の詰めろがかかっている。後手は△6六金▲同玉といったん玉を6六の地点に呼ぶことで、桂を金縛りにできる(後手角が間接的に先手玉をにらんでいる)。その局面で寄せがあるかどうか。後手も一手誤るとすぐに形勢が入れ替わりそうだ。
1日目の封じ手時刻の18時を過ぎ、外はすっかり暗くなっている。18時7分、渡辺王将が頭を抱えるように手をやる様子がモニタに映った。読み切れていなければ焦っても不思議ではない局面だが。△6六金と角を取るほかにも△5五角と桂を外す手もある。どう手を組み合わせていくか。