18時から箱根仙石原プリンスホテルで関係者のみによる激励会が開かれました。
(依田裕彦・報知新聞社代表取締役社長のあいさつ)
「お正月の箱根駅伝に続いて、女流名人戦を箱根から発信できることを大変嬉しく思います。手に汗握る熱戦を期待いたします」
(清水市代・日本将棋連盟常務理事のあいさつ。清水常務理事はクイーン名人の資格を持つ)
「女流棋界の創設期からお世話になっております報知新聞社様が今年150周年を迎えられるということで、誠にお喜び申し上げます」
(伊藤沙恵女流三段のあいさつ)
「女流名人戦でいろいろなことを経験させていただいております。私にできることは、このシリーズを盛り上げること。それが挑戦者の使命だと思っております。明日からの開幕局で、面白い将棋をお見せできるように精一杯頑張りたいと思っております」
(里見香奈女流名人のあいさつ)
「また今年も、ここ箱根に対局者として来ることができて、大変幸せに感じております。今回が20代最後のタイトル戦になるので、思いきり力を出し切って、のびのびと指したいと思っております」
(銀杏)
里見香奈女流名人に伊藤沙恵女流三段が挑戦する第48期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負(主催:報知新聞社、特別協賛:株式会社ユニバーサルエンターテインメント)は、1月16日に神奈川県箱根町「岡田美術館 開化亭」で第1局が指されます。対局開始は9時30分、持ち時間は各3時間。開幕局となる本局は里見女流名人の振り歩先(振り駒で歩が多ければ里見先手)による振り駒で先後を決めます。立会人は真田圭一八段、記録係は野田澤彩乃女流初段。スポーツ報知の観戦記は松本哲平さんが担当します。
現在、里見女流名人は女流名人12連覇中で、女流タイトルの連覇記録歴代1位です。伊藤女流三段は女流名人戦の五番勝負に3回目の登場でタイトル挑戦は計9回。初のタイトル獲得を目指します。
本局の中継は、コメント入力を八雲、ブログを銀杏が担当します。よろしくお願いいたします。
【報知新聞社】
https://hochi.news/shogi-igo/
【株式会社ユニバーサルエンターテインメント】
https://www.universal-777.com/corporate/culture/shogi/
【岡田美術館】
https://www.okada-museum.com/
【第1局の棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/48/joryumeijin202201160101.html
―― 今日の将棋を振り返られて。
里見 第1局とほぼ同じ形になって、はっきり分かっている訳ではなかったのですが、自分の棋風にあった指し方を選べたのではないかなと思います。
―― 第1局から変化して、加藤さんが長考していたあたりは。
里見 実戦的には難しいのかなと思っていました。
―― ペースを握ったのはどのあたりの局面でしょう。
里見 桂を取り合ったところは、こちらの玉が固くて攻める展開になったので、そこは指しやすいのかなと。
―― 中・終盤も方針に淀みがないのかなという印象でしたが。
里見 途中は、玉が露出してしまって、指しているときは神経を使っていました。きっちり読み切れたかなと思います。
―― 本局の勝利でタイトルを防衛されました。どんなお気持ちですか。
里見 ほっとしています。
―― 今期は最強の挑戦者である加藤さんとのシリーズを制しました。
里見 対抗形で、課題局面になる将棋ばかりだったので。準備段階で考えるのは、こちらが課題を突きつけられるような感じだったので、少し苦労はしましたが、それはそれで楽しめたのかなと思います。
―― 3局を通しての印象は。
里見 いい部分も悪い部分も出たのかなと思うので、今後に活かせればと思います。
―― タイトル防衛は難しいことですが、12連覇になりました。
里見 いろんなシリーズがあったとは思うのですが、精神的に強くしていただいた棋戦かなと思います。
―― 今回の防衛で、清水市代女流七段と並ぶ、通算タイトル獲得数が43期になりました。いまのお気持ちは。
里見 当時と較べると女流棋戦がかなり増えて、いい環境で指させていただいているので、清水さんとはそういったこともあって、比較することはできません。清水さんのような人間性に成長できるように、これからも技術面も磨いて頑張れたらなと思います。
―― この43期の前にはひとつのシリーズで足踏みがありましたが。
里見 年間通して、棋戦が増えたこともあり、対局数が増えました。1局に一喜一憂する訳にはいかないので、純粋に将棋が好きという気持ちでやっていました。
―― 並んだ記録を更新するという期待を持たれる方がいると思います。女流王位戦が最短での防衛になりますが。
里見 技術的にまだまだ不足しているのを感じるので、日々、それを埋められるようにしていきたいです。
―― 最後にこれからの目標、夢のようなものは。
里見 特にはないのですが、好きなことをさせていただいているので、勝負とは別に楽しむ気持ちを持って、将棋に向き合っていけたらと思います。
―― 一局を振り返っていただきたいのですが。
加藤 第1局と似たような将棋になりました。第1局よりは、駒を前に出せたかなと思いましたが、ただ桂を取り合ったあとが自信がなくなってしまいました。そのあたりの組み立てに問題があったのかなと思います。
―― 第1局の類型になって、▲5五歩を選ばず、▲9六歩から▲3五歩でした。実際、指されてみて。
加藤 ▲3五歩ではいろんな方針があって、時間を使ってしまったのですが、そんなに悪い手という気はしていなかったので、そのあとなのかなと。
―― ▲4二角と打ち込んだあたりの局面は。
加藤 自信があるわけではなかったですね。歩切れなのと△3六歩の催促が待っているので、ちょっといくしかないかなと思って、攻めてしまったところはあります。
―― 終盤はいかがでしたか。
加藤 △4七歩からのと金攻めが、振り飛車側からすれば、分かりやすく攻められるので、美濃囲いをどう攻略すればいいのか分からなかったです。▲8三桂成からいきましたが、ちょっと足りないと思っていました。もうちょっと稼ぐ手があったのか、自分の力では見つけられなかったです。
―― このシリーズ3局を振り返られて、どうでしょうか。
加藤 あっという間だったなと。女流名人戦のタイトル戦は初めてだったので、いろいろ収穫があったなと思います。勝負をするからには、勝ちたかったのですが、タイトル戦に向けて準備というか、自分自身と向き合うことができて、結果は残念でしたが、少しだけ成長できたかなという気はしています。
―― 女流名人戦という古いタイトル戦に臨んでみて。
加藤 非常に重みのあるタイトルだと思います。こんなに長く棋戦を続けていただいているので。リーグも厳しかったですが、そこを抜けても里見女流名人の壁は厚いなという気がしました。
―― 里見さんとは、何度もタイトル戦の大舞台で戦っていますが。
加藤 一番、最初に出てくるのは『うれしい』ですね。強い方と指せるのがうれしい。過去を振り返るとかなり負け越しているので、もうちょっと頑張りたいというのはあるのですが、そういった意味で、私自身の能力を高めてくれるというか、引き上げてくださる方だと思っています。
―― 最後に気は早いですが、すぐに次にリーグ戦が始まります。来期、再挑戦に向けての思いを。
加藤 今期が初出場だったこともあって、長期のリーグ戦を戦い終えて、ほっとしたというか、しんどいところもありましたし。また一からスタートということで、気持ちを切り替えて、ひとつひとつ、積み重ねて、この場に戻ってくることができればいいなと思います。
(吟)