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2013年1月

2013年1月14日 (月)

今度は先手が詰まない

22_2自玉に詰みはなく、相手玉を寄せ切れば勝ち、という局面を築いていた上田女王。
残り時間の少ない後手は△3九飛から果敢に詰ましにいきました。控室でも「先手玉は詰みそうだ」とみて検討されていましたが、変化が多くなかなか読み切れません。上田女王は王手で迫りましたが、左図まで進んで先手玉の不詰がはっきりしました。後手は持ち駒がなく、王手をかけられると合駒がない状況。現局面は、逆に先手の勝ちになったとみられています。


(若葉)

詰むや詰まざるや

21_1指し手がばたばたと進み、局面は一気に終盤戦へと入っています。
上田女王の考慮時間は残りわずか。対する里見女流名人はまだ30分以上残しています。後手玉が危険な形をしていますが、控室では詰みなしとみられています。先手はほぼ受けがない形。このまま進めば後手の勝ち筋のようです。


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(大盤解説から戻ってきた杉本七段。終盤の詰むや詰まざるやを検討している)   


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(前夜祭で販売されていた「紅白絆麺」。観光センター出雲や出雲空港で購入可能だそうだ)

(若葉)

大盤解説会

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現地では13時30分から大盤解説会が行われています。
解説を担当しているのは現在、山崎七段と杉本七段です。

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天候がよくなかったことから参加人数が心配されましたが、昨年と同様に大盛況の入り。用意されていた座席は早々に埋まり、立ち見が出るほどになっています。

山崎七段「こんなに最初から立ち見が出るほど一杯になることはなかなかないですね」
杉本七段「有名な棋士のタイトル戦でも見たことがないですね」
山崎七段「改めて里見さんは出雲のファンに支えられているんだなーと思いました」
杉本七段「里見さんの強さの一端を見た気がします」

杉本七段「自分が棋士になったときに里見さんはまだ生まれてないことを知って、先日がく然としました」
山崎七段「里見さんとはもう(研究会で)指されましたか?」
杉本七段「横で見てたじゃないですか、私が負けたのを(笑)」
山崎七段「あ、そうでしたね。思い出しました」
杉本七段「感想戦も横から入ってきてたじゃないですか(笑)。人が悪いなあ」

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大盤では52手目△3六同銀の局面が解説されていました。

山崎七段「ここで△2四銀と引く手はないですね。手厚い棋風の杉本先生でもないですよね?」
杉本七段「糸谷君(哲郎六段)なら見た瞬間、むしり取るように取るでしょうね」
山崎七段「NHK杯とか見てるとわかると思うんですが、彼はじっと相手を見るんですよね。こちらが悪手を指すと驚いたような顔をするんですよ。形勢が悪いと思ってると、盤上にのめりこむように向かうようになります」
杉本七段「彼はわかりやすいですね(笑)」
山崎七段「里見さんと上田さんはどうですか?」
杉本七段「対局室で見た限りはあまりかわらないですね」
山崎七段「ポーカーフェイスなんですね」

(若葉)

午後のおやつ

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15時になり、両対局者におやつが出されました。

出されたのは写真のマロンケーキ。
出雲市内にある洋菓子店「LINZ(リンツ)」の逸品です。
LINZは対局場から車で10分ほどのところにあり、女性に人気のスイーツ店なのだそうです。

(若葉)

控室(4)

午後に入り、現地大盤解説会が始まりました。
山崎七段と香川女流初段は解説会場へと向かいました。

控室では、杉本七段が継ぎ盤の前へ。
観戦記者の木屋太二さんと中盤の難所を検討しています。

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(杉本七段)

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(控室に届けられた差し入れ。「くろがねもち」は島根県松江市「風流堂」の銘菓である。パッケージは小説家・宮尾登美子さんの筆によるもの。著作が大河ドラマ「篤姫」にリメイクされ、その中で薩摩の「くろがねもち」が大きな話題になったことをきっかけに宮尾さんが揮毫したそうだ)

(若葉)

対局再開

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13時、対局が再開されました。

再開後すぐに指されたのは△6四同角(左図)でした。先手は▲9七角と活用できたのが大きく、△5三金直(右図)まで進んで控室では先手ペースと言われています。本譜は△3五銀と上がったことで、後手陣中央の薄みを突かれた格好です。

「まだあまり駒がぶつかっていないので優勢とまでは言えませんが、先手が陣形の模様勝ちから有利になりつつある局面です」(杉本七段)

17_3控室では、△3五銀のところで△3三桂や△5五銀(A図)が有力視されていました。

△5五銀は取ると次に△8七銀の飛角両取りが残ります。
それを嫌がって▲7五銀とかわすのは、△2六歩▲同歩△7五角▲同飛△2六飛(B図)が厳しい攻め。▲2七歩は△8六飛で飛車の侵入が防げません。また、△7四銀の飛車取りも残っており、先手がまとめにくい局面となります。

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(前夜祭で販売されていた故・米長邦雄永世棋聖の揮毫扇子)

(若葉)

出雲大社(4)

大社を参拝の後、近くの甘味処でぜんざいがふるまわれました。
ぜんざいは出雲が発祥の地とされています。

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(ぜんざいに舌鼓を打つ両対局者)

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(山崎七段)
(撮影: 翔記者)

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(ぱくりっ。香川女流初段)
(撮影: 翔記者)

(若葉)

出雲大社(3)

五番勝負の健闘を祈念して、絵馬が奉納されました。


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(里見女流名人は「感謝の気持ちを持って楽しんで指す」)

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(上田女王は「たくさんの人が将棋を楽しんでくれます様に」)

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(撮影: 翔記者)

(若葉)

出雲大社(2)

対局前日は検分に先立ち、出雲大社で絵馬の奉納と記念撮影が行われました。
その様子をダイジェストでお伝えします。

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(大国主大神が鎮座する御仮殿。平成の大遷宮 が行われており、御神体は現在、奥の本殿から御仮殿へと移されている。成人式が行われていたこともあり、多くの参拝客が訪れていた)

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(出雲大社は2拝4拍手1拝。地元出身の里見が参拝の仕方をレクチャーする場面も)

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(山崎七段)

(若葉)

出雲大社(1)

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出雲の国は、神の国、神話の国として知られています。
その“出雲の国”には、今もなお古の神社がいたるところにあります。
そして、その中心が「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」をおまつりする出雲大社(いづもおおやしろ)です。

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大国主大神は、「だいこくさま」と申して慕われている神さまです。だいこくさまは、「天の下造らしし大神」とも申しますように、私達の遠い遠い親達と喜びも悲しみも共にせられて、国土を開拓され、国づくり、村づくりに御苦心になり、農耕・漁業をすすめ、殖産の法をお教えになり、人々の生活の基礎を固めて下さいました。また、医薬の道をお始めになって、今もなお人々の病苦をお救いになる等、慈愛ある御心を寄せて下さったのです。だいこくさまは、救いの親神さまであると共に、すべてのものが「おのずから」の姿にあるように護って下さる親神です。

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「だいこくさま」と申せば、出雲の神さま、出雲の神さまといえば「縁結びの神さま」と申しますが、この「縁結び」ということは、単に男女の仲を結ぶことだけでなく、人間が立派に生長するように、社会が明るく楽しいものであるように、すべてのものが幸福であるようにと、お互いの発展のためのつながりが結ばれることです。だいこくさまが「福の神」と慕われ、すべての人々から広く深く信仰をおうけになっているのも、この「むすび」の御霊力(みちから)、いいかえれば、愛情を私たちに限りなく、そそいで下さる神さまであるからです。

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(若葉)

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