2022年5月24日 (火)

20220524_109▲藤井-△出口戦は、藤井叡王が109手で勝ちました。終局時刻は18時18分。消費時間は、▲藤井4時間0分、△出口4時間0分。
勝った藤井叡王はシリーズ成績を3勝0敗とし、叡王位初防衛を決めました。

(玉響)

出口六段が持ち時間を使いきって前述したA図(1図)の変化に踏み込みました。

20220524o1図以下、▲2一飛△3一金打▲1一飛成△5二銀▲6五香△4七銀成▲7五角△4三玉▲3一角成(2図)と進みました。

20220524r藤井叡王も持ち時間を使いきって、両者一分将棋のせめぎ合いになりました。一進一退の激しい寄せ合いが続きます。

20220524l△6五角に対して藤井叡王は▲7八銀(1図)と引きました。以下△7七歩には▲同玉(2図)と応じたのです。

20220524m

2図から△7六歩▲6八玉△4七角成▲同金△3八銀(A図)の筋が挟撃形になるため怖そうに見えますが、そこで▲2一飛のような攻め合いでいけるとの読みかもしれません。

20220524n2図で出口六段が手を止めています。いよいよ最終盤に突入します。

20220524j▲6五桂に対して後手は△9二角(1図)と打ちました。6五の桂が移動すれば△4七角成▲同金△3八銀の両取りが掛かります。△9二角に実戦は▲7四歩△4二玉▲7三歩成△6一金▲7四歩△7三桂▲同桂成△6五角(2図)と進みました。

20220524k先手は歩切れのため8七の銀取りを受けるには▲7六桂と打つことになりそうですが、△7五歩で後手が攻めきれるかどうか。先手は▲2一飛と打ち込む手がありますが、△3一金▲1一飛成△2二銀と竜を追い払う順があります。肝心の形勢は何ともいえず、難解な終盤戦が展開されそうです。

Dsc_1258(汗を拭って対局再開を待つ藤井叡王)

本局は三井ガーデンホテル内にある「柏の葉カンファレンスセンター」で行われています。つくばエキスプレス(TX)の柏の葉キャンパス駅から徒歩2分の好立地にあり、朝から地元住民や学生・生徒の行き来が途絶えません。以前はゴルフ場だったそうで、学園都市化が話題を呼んだ街として知られています。

Dsc_1487(三井ガーデンホテルの外観)

Dsc_1473(左が三井ガーデンホテル、右がカンファレンスセンター)

Dsc_1517(おしゃれなカンファレンスセンターの案内表示)

Dsc_1522(この奥に対局室と大盤解説会場がある)

柏市は千葉県の北西部にある中核市で、人口は千葉県内5位の約43万人を誇り、首都圏の代表的なベッドタウンとして知られています。柏の葉エリアはスマートシティの先駆けとなり、つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅周辺には研究・教育施設が集約しています。公共団体や企業、大学が連携して学園都市化が進む。柏市はつくばエクスプレスやJR常磐線で東京へのアクセスがいいこともあり、住みやすい街として人気を博しています。また、高齢化率が40%を超える豊四季台団地では柏市、東京大学、UR都市機構による共同プロジェクトが始まり、超高齢化や長寿社会への取り組み「柏プロジェクト」が注目され、健康都市連合の加盟都市になりました。

Dsc_1499(つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅)

Dsc_1514(つくばエクスプレスの路線図。世界が誇る秋葉原から未来都市のつくばを結ぶ)

20220524f藤井叡王は昼食休憩を挟む51分の考慮で▲8六金と上がりました。対して出口六段は△8六同角▲同歩に△7六銀(2図)と角切りから勝負に出たのです。

20220524i2図から▲6六角△7七歩▲同銀△同銀不成▲同角△7六銀に▲6一角(3図)と先手も攻め合いに出ました。

20220524g_2▲6一角が放たれたとき控室では「銀ではなく角」と歓声が上がりました。銀の割り打ちが打てる場面で角を打つのは珍しいかもしれません。△8二飛には▲8三銀△6二飛▲7二角成と飛車を捕まえにいく狙いがあります。

20220524hしばらくは先手ペースで進んでいましたが、▲6五桂(4図)で検討陣の評価が変わってきました。▲6五桂は△6一金に▲5三桂不成を用意した意味ですが、△4二玉と上がって▲2一飛の王手を未然に防いでおく手があって、現在は激戦と見られています。

Dsc_1337(巻き返しに転じたい出口六段)

15時、午後のおやつは藤井叡王がプレミアムミルキーバターサンド、ティースワークルピーチグレイ、出口六段が白いペコちゃんのほっぺ、水出しアイスコーヒーです。

Dsc_1434(藤井叡王が注文したおやつ)

Dsc_1466(プレミアムミルキーバターサンド)

Dsc_1451(出口六段が注文したおやつ)

Dsc_1454

(白いペコちゃんのほっぺ)

昨日、両対局者は東京大学の柏キャンパス内にある生産技術実験所の実験施設を訪れました。自動運転の研究を紹介され、敷地内にある研究実験用の車両などを見学しました。

Dsc_9172(生産技術実験所の実験施設外観)

Dsc_9302(工学博士の須田義大教授(右)の説明を受ける立会人の石田九段と両対局者)

Dsc_9281(研究実験用の車両があり、施設内に線路が敷かれている。鉄道ファンで知られる藤井叡王が興味を示す)

Dsc_9379(研究実験用の車両を見学)

Dsc_9421_2(自動運転のバスを背に記念撮影に応じる関係者)

Dsc_9446(関係者一行は自動運転のバスで柏の葉キャンパス駅まで帰った。信号のセンサーに対応しているそうで、悪天候等で視界が悪くなっても赤信号にはきっちりと反応するそうだ)

東京大学の柏市にあるキャンパスは、柏、柏II、柏の葉駅前の3つで構成されており、これらは「柏地区」や「柏キャンパス」と呼ばれています。極限計測・強磁場コラボラトリー・ニュートリノ観測・強磁場MRIなど世界トップクラスの研究施設を誇ります。2006年4月に留学生や外国人研究者、教員などを対象に奨学金申請支援や生活情報提供などの取り組みとして「柏インターナショナルオフィス推進室」が開設され、国際化への取り組みにも力を注いでいます。

14時から現地大盤解説会が始まりました。予約制でしたが、午後から長蛇の列ができていたほどです。

Dsc_1393(注目の一戦とあって開始から超満員)

Dsc_1399(巨大スクリーンにネット中継用の盤面を写し出している)

Dsc_1420(解説の高見泰地七段。第3期叡王)

Dsc_1431(聞き手の加藤結李愛女流初段)

Dsc_1402(PC操作の勝又清和七段。石田和雄九段門下の棋士が集った)