第1期決勝三番勝負第1局 Feed

2015年12月 7日 (月)
2015年12月 6日 (日)

Img_4709終局直後の様子。ニコニコ生放送の感想戦中継の準備のため、通常の棋戦では見られない長い間があった。

Img_4801記者会の代表インタビューが行われた。

【山崎八段インタビュー】

――第1局に臨むにあたっての、心境はいかがでしたか。
「厳しい戦いになるのは当たり前なので、勝ち負けのことを考える余裕を持たないように、気をつけようと思っていました」

――博物館が会場になりましたが、実際に座られてみて、どんな感じがしましたか。
「重厚感があって、開放的でもありますし、凄く指しやすかったです」

――先手番になりまして、得意の相掛かりでしたが、序盤~中盤の戦いはいかがでしたか。
「最初ちょっと自信がない感じで変化はしたんですけど、途中は少し指せる……というか、互角以上に戦えているな、という手応えはありました。ただ、じっくり進めていたところを一気によくしようということで、欲を出してしまい、中盤から終盤の入り口にかけて、一瞬にして苦しくしてしまったなという感じです」

――具体的には、どの一手を反省されていますか。
「夕休のところで、▲3七桂と跳ねるところでは、▲9六香と走って……という変化をずっと読んでいたんですけど、改めて盤に座ってみると、▲3七桂と跳ねて▲3四歩とたたく筋が、凄くうまい手に見えてしまって。指したあとに、あまりよくなかったというのは、すぐわかったんですけど。あそこは、もう少し辛抱というか、苦労するという気持ちが、ちょっと足りなかったなと」

――その後、控室の評判では、ちょと苦しい時間帯が続いていたかと思うのですが、どんな心境で指していましたか。
「苦しくしてしまった、という気持ちでした。ただまあ、後悔してもしょうがないので、どうやって耐えるか、ということを考えていました。運よく、といいますか、凄く明快に、全然ダメというわけではなかったので、苦しいからなんとかついていこうという感じで、実戦的にやっていました」

――どのあたりで、逆転の手応えを感じましたか。
「最後、▲5八金打(117手目)と打って、詰めろが続かないので、逆転したのではないかなと。ただ、秒読みでしたので、まだ先は長いな、と思いながらやっていました。

――先勝して、いまのご心境はいかがでしょうか。
「もちろん、よかった、というのはありますけど、三番勝負ですので。まだ喜ぶとか、そういうことはできないです」

――この叡王戦は、後に電王戦というソフトとの戦いにつながりますが、今日は人間同士ということで、何かそれを実感したことはありますか。
「対面でやっていますので、息遣いとか、そういうものを感じますので、そういうところで相手が自信を持っているな、とか、難しいと思っているなというのを感じながらやっていたところが、人間同士らしいかなと思いました」

――第2局に向けての抱負をお願いします。
「第2局も、もちろんまったく余裕がないので、今日以上に気を引き締めて、より踏み込んだ将棋が指せるように頑張りたいと思います」

Img_4797セットの外からインタビュー。

Img_4805逆転負けを語る郷田九段。

【郷田九段インタビュー】

――本局に臨む心境はいかがでしたか。
「心境はまあ、いつもと変わりません。普通ですね」

――中盤では、だいぶリードしているのではないかと、控室の評判でしたが、慎重に指そうと思われたのでしょうか。
「勝てそうな筋が見えて、ちょっと迷っているうちに、アヤがついて。最後はちょっと勝負手を逃がしたかもしれません」

――具体的にここが問題だった、というのは何かございますか。
「ちょっと、受けに回り過ぎてしまったので、どこかで攻める筋を考えて、それで勝たなければいけなかったですね」

――逆転負けかと思いますが、心境はいかがでしょうか。悔いが残るものでしょうか
「いやまあ、悔いというか、実力なのでしょうがないです。まあ、決勝に来るまでに、全然ダメな将棋を勝ってきたので、今日はちょっと逆が出てしまったかな、というのはあるんですけど。これでは先行き不安なので、また勉強し直さなければいけないですね」

――第2局への抱負をお願いします。
「三番勝負なので。内容がよくなかったですけど、気を取り直して、次は一生懸命、指したいと思います」

Img_4821インタビュー終了後に初手から感想戦が始まった。

129形勢不明から、数手進んで、あっというまに先手が逆転に成功しました。控室は騒然としています。
「これは、はっきりしました。先手玉が堅くて攻めが続く、という典型的な勝ちパターンに入っています」(阿久津八段)

114「△3六同歩なら、いっぺんに難しくなる」
糸谷八段がそう言った局面で、後手の指し手は△3六同歩。同時に郷田九段は持ち時間を使い切って1分将棋に入っています。「これはもう、まったくわからなくなりました。流れは逆転ですね」と糸谷八段。
最終盤でついに追いついた山崎八段。郷田九段は、気持ちを切り替えて踏みとどまれるでしょうか。

111図は22時前の局面。
少し前は、形勢に差がついて検討陣の手も止まりがちでした。しかし、後手の指し手がわずかに乱れた隙をついて、山崎八段が猛追。「これは少しやる気が出てきますね。1分将棋なら、間違えてもおかしくないぐらいの難しさになる可能性があります」と糸谷八段。郷田九段の残り時間は、まもなく切れます。最後のドラマはあるのでしょうか。

94時刻は21時を回りました。△4四同歩まで、残り時間は▲山崎26分、△郷田20分。
先手の受けの勝負手に対して、後手は危なげのない指し回しで着実にリードを広げて来ました。控室の評判は先手優勢で、はっきりしています。

Img_4566盤石の指し回しで郷田九段がリードを広げた。

87△3六桂で△4八角の王手飛車を見せられた山崎八段は、20分の長考で▲4七金と寄りました。控室では、自然な▲6八玉が予想されていたところで、ひねり出してきた格好です。一歩間違えれば、一気に寄せられてしまう恐れもある受けの勝負手が、果たして吉と出るか、凶と出るか。

76図は19時50分過ぎの局面。
先手の桂頭攻めに対して、強く△2五歩と突いたのは郷田九段らしい剛直な手と評判です。ただ、それによって局面はギリギリの勝負の様相を呈してきました。
「正しく指せば後手が残していると思いますが、先手も攻める楽しみが出てきました。先後ともに玉形が傷んでいますので、攻め合いの1手違いの勝負になることは間違いないですね」(阿久津八段)

Img_4682夕休明けから追い込みを見せる山崎八段。

6919時20分過ぎの局面。
後手が桂を取って駒損を回復。そこで手番が回ってきた先手は、かねてから狙いの桂頭攻めに出ています。控室の評判は後手持ちで変わっていませんが、「なんだかんだ勝負にしてきている」と阿久津八段。

Img_4699_219時15分頃、控室に糸谷哲郎八段が来訪した。
「▲2六桂に△2三銀はちょっと意外でした。△2五銀を予想していたので」(糸谷八段)

Img_4700糸谷八段の差し入れ、黒豆マドレーヌ。