第7期五番勝負第1局 Feed

2022年4月28日 (木)

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■藤井聡太叡王
――両者一分将棋の大熱戦、お疲れさまでした。一局を振り返っていかがでしょうか。
藤井 こちらが序盤から動いていけるかという将棋だったんですけど、中盤で手の組み合わせが難しくて、本譜は少し自信のない展開になってしまったのかなと思って指していました。よくわからなかったんですけど、▲7七香(65手目)と打ったあたりから、こちらの玉が安全になって少しずつ指しやすくなったのかなと思います。
――中盤で長考して▲6五桂(37手目)と跳ねたところは激流の変化も含んでいると思うのですが、成算はどうでしたか。
藤井 ▲2四同飛だと2歩損が残って、9三の桂も△8四歩から△8五桂でさばかれてしまうので、自信がないのかなと思って。本譜か、▲2四歩を入れずに▲6五桂と跳ねるか、うーん、本譜▲2四歩(35手目)と打ってしまうと攻めが細くなるので、あまりよくない変化を選んでしまったかもしれないと思っていました。
――久しぶりの公式戦になりましたが、ブランクはどうだったでしょうか。
藤井 かなり前回の対局から期間があったので、やってみないとわからないところもあるかなと思っていたんですけど、始まってからは普段通り指すことができたのかなと思います。
――序盤から緊迫した展開で、不二家さんのおやつも出ましたが、楽しめたでしょうか。
藤井 10時の段階ですでに戦いが起こっていて、ゆっくりいただくという感じではなかったです。ただ、戦いの合間であっても一つの楽しみ、息抜きとしていただくことができました。
――名古屋で行われる第2局に向けての抱負をお願いします。
藤井 本局は途中少し時間を使ってしまったところがあったと思うので、第2局以降はそのあたりも修正して戦えればと思います。
――先ほどのお話にあった▲7七香(65手目)を一分将棋の前に指したのは巧妙だと思いましたが。
藤井 そのあたりはすでに持ち時間が少なかったので、決断よく指そうと思っていました。

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■出口若武六段
――出口さんは一局を振り返っていかがでしょうか。
出口 ちょっと無理気味に動いてしまったかなという印象があって、昼休のあたりは動いてこられるのかなと思ってはいたので。でも考えても代案が浮かばないというか、結局いちばん最初に読んだ筋にいってしまったのが……何かあったかもしれないですね。1歩捨ててきているので、しっかりした手があってもいいのかなと思ってはいたんですけど。考えてもわからなかったので。やっぱりまとめるのが、歩得ですけど手損なので、大変でしたかね。
――途中で△6五飛(40手目)と桂を食いちぎったあたりは。
出口 違う展開を描いていたんですけど、そこで誤算に気づいて、本譜では苦しいかなと思っていたんですけど、いちばん息が長く指せる順が本譜かなと思って。
――かなり首を振りながら指す姿が印象的でした。
出口 (飛車を)引いてしまったら切るしかないので。引いたあたりでちょっと誤算に気づいたというか。
――初のタイトル戦で不二家さんのおやつや食事は楽しめましたか。
出口 環境もよい環境で指させていただきましたし、ご飯も泊まるところも全部ありがたいものだという認識です。将棋のほうをもっとちゃんと指したかったなというのがあるんですけど、慣れない部分がやっぱりあったかなという印象ですね。この2日間を振り返ってみると。ちょっとずつ慣れていかないといけないなと思うところがありましたね。息が長く戦えたというのは……でももう少し内容をよくして次を迎えられたらと思います。

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93手で藤井叡王が勝ちました。終局時刻は18時20分。消費時間は、両者4時間。第2局は5月15日(日)愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」で行われます。

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出口六段は馬を攻防に利かせて頑張れる態勢を目指しますが、▲8一飛(57手目)で持ち駒の飛車が力を発揮する展開になりました。実戦は△7八歩▲同金△9九角成▲9一飛成△6二銀と進んでいます。

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放置すると▲7二歩~▲7一歩成が速い攻めでした。粘りに出ているわけですが、守勢に回って苦しい流れです。藤井叡王がリードを奪っています。

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攻勢に出た藤井叡王に対して出口六段が激しい手段で反発しました。攻め駒の桂を△6五飛と食いちぎって▲同歩に△7六桂(42手目)と王手角取りをかけます。

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勢いを感じる攻めですが、駒を渡して相手の戦力も潤ってしまうのが気になるところ。反動も大きいわけです。藤井叡王は持ち駒の飛車が強力な存在で、これがうまく使える展開になればペースを握れそうです。

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大盤解説会に島九段が出演し、巧みなトークに来場者だけでなく壇上の解説陣も楽しんでいる様子でした。休憩中には佐藤天九段と中村桃女流二段が控室で色紙に揮毫。色紙は抽選会の景品になるとのことです。

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昼食休憩明けから長考の応酬があり、一手が重い戦いになりました。休憩明けの△2四同歩(36手目)が約1時間5分、▲6五桂(37手目)が約58分。そして15時40分の時点で出口六段の考慮時間が1時間に達しています。

控室では後手側を持つ佐藤康九段が「手がわかりません」と首をひねっていました。狙いは単純に▲4五桂から中央に殺到する筋ですが、うまい受け方が見えない状況です。振り返ると、2筋に歩を合わせたのは▲2四同飛として2筋に戻る狙いに見えました。歩を合わせてから桂を跳ね出すのは意外な組み立てに映ります。

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15時、午後のおやつの時間になりました。藤井叡王は「生ミルキー(プレーン)」、白葡萄ジュース。出口六段は「春摘み苺のドルチェ」、白葡萄ジュース。おやつは不二家から提供されます。「生ミルキー」は北海道産の練乳と生クリームを使い、とろける濃厚なコクが楽しめます。

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14時、現地では大盤解説会が始まりました。事前申込制で応募は締め切られています。解説は佐藤天彦九段、聞き手は中村桃子女流二段。佐藤天九段は「相掛かりは若い三段、四段が流行の発信源」と話していました。また、奨励会時代の出口六段が早指しだった話題も。本局は1時間を超える長考があり、前日の記者会見で出口六段が話していた「棋士の将棋に慣れてきた」という面がうかがえます。

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