対局者は感想戦の前に大盤会場へ。松尾八段の質問に答える形で本局を振り返りました。
伊藤七段「角換わりから右玉を採用したのですが、先手に陣形差を生かされて激しく攻められ、自信のない展開にしてしまったと思いました。△5三銀から(△5二銀をはさんで)△4三玉と、一瞬自玉を安全にして△7六歩から攻めたところは、少し苦しいかなと思ったんですけど、そのあたりがどうだったかというのがポイントだと思います」
藤井叡王「途中までは形勢はともかく気分よく攻めていたんですけど、伊藤さんの△5三銀から△5二銀が柔らかい受け方で、△7六歩の反撃を受け止めることができなかったかなという気がしています。△8六歩に手抜くつもりではいたんですけど、具体的な手順が見つかりませんでした。たとえば▲5一飛は△8四角(飛車銀両取り)があります。思ったよりも後手玉に迫るのが難しいのが誤算ではありました」
伊藤七段「自分も対局中は△8六歩には▲同歩が本線というか、そう指されてもわからないと思っていました。ただ、△9三角から△4九とを発見して、けっこう後手も戦えているのかなと思っていました」
最後にシリーズ全体について。
伊藤七段「シリーズを振り返ると、どの将棋も終盤が難解でした。叡王戦は持ち時間が4時間のチェスクロックと短い持ち時間の中で、自分としてはうまく指せたかなと思います」
藤井叡王「シリーズを通して終盤のミスが結果につながってしまったと思います。それと同時に伊藤さんの強さを感じるところも本当に多くあったので、それを糧にしてまた頑張っていきたいと思います」
2024年6月20日 (木)