第10期五番勝負第1局 Feed

2025年4月 3日 (木)

第3期にタイトル戦に昇格した叡王戦は、名古屋市で対局が多く行われています。特に第5期からは毎年対局があります。
以下に紹介します(段位・肩書は対局当時。左が先手第3期から第5期は七番勝負。第6期から五番勝負)。

第3期七番勝負第1局 金井恒太六段●-○高見泰地六段     名古屋城
第5期七番勝負第3局 永瀬拓矢叡王 持将棋 豊島将之竜王・名人  亀岳林 万松寺
第5期七番勝負第4局 豊島将之竜王・名人●-○永瀬拓矢叡王  亀岳林 万松寺
第6期五番勝負第3局 藤井聡太王位・棋聖○-●豊島将之叡王  か茂免
第6期五番勝負第4局 豊島将之叡王○-●藤井聡太王位・棋聖  名古屋東急ホテル
第7期五番勝負第2局 出口若武六段 千日手 藤井聡太叡王(指し直し局は藤井勝ち)名古屋東急ホテル
第8期五番勝負第2局 菅井竜也八段○-●藤井聡太叡王     名古屋東急ホテル
第8期五番勝負第3局 藤井聡太叡王○-●菅井竜也八段     か茂免
第9期五番勝負第1局 藤井聡太叡王○-●伊藤匠七段      か茂免
第9期五番勝負第3局 藤井聡太叡王●-○伊藤匠七段      名古屋東急ホテル

伊藤叡王と斎藤八段は東西に分かれている、順位戦のクラスが違うなどのため、過去の対戦は2023年6月の第31期銀河戦本戦のみ。伊藤六段(当時)の先手で角換わりから勝っています。
なお、準公式戦のABEMAトーナメントでは2022年と2023年に対戦していますが、いずれにしても早指し棋戦です。持ち時間の長い将棋では本局が初めてです。

Dsc_5650 (1局のみの過去の対戦は伊藤叡王が制した)

20250403_46 伊藤叡王は図の46手目△1四香に長考して残り1時間を切りました。藤井聡太竜王・名人の解説を少し紹介します。「伊藤叡王の棋風から(1)▲1六歩になるのではと予想しています。△3三桂なら▲3六銀で△2五飛を受けておいて、局面が収まれば1四香を目標にする楽しみがあります。
(2)▲1五歩△同香▲1六歩△同香▲同香△1五歩に▲7七桂として、後手の飛車が五段目から離れたときに▲1五香と香を助ける手順も考えられますが、先手は歩切れになるのが気になります」と述べていました。ほかに大盤では、(3)▲1四同香や(4)▲7七桂も示されていました。

Dsc_5717(中電ホールの向かいにある栄公園にて)

16時から藤井聡太竜王・名人が大盤解説会にゲスト出演しました。

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Dsc_5874 (ゲスト出演の藤井聡太竜王・名人)Dsc_5861 (伊藤叡王が46手目△1四香の局面で長考していることもあり、局面の解説だけでなく長谷川優貴女流三段が藤井竜王・名人に質問することも)

20250403_44 図は△4四角の局面。30手目△1五歩から1筋に着目した進行が続いています。伊藤叡王は昼食休憩を挟んで1時間4分の長考で▲1四歩。▲1三歩成からポイントを稼げたら30手目△1五歩を逆用できたといえます。後手は1筋に歩を打てることを生かして戦いたい。図の△4四角も▲2八飛に△1六歩のように1筋を攻めることを考えた組み立てです。
従来の相掛かりでは見慣れない指し方のため、互いに熟考しています。

Dsc_5490 (気を高める伊藤叡王)

15時になり、対局者に午後のおやつが出されました。伊藤叡王が「五郎島金時と紅はるかのミルクレープ」、「アイスティー」。斎藤八段は「苺とフルーツの贅沢パフェ」、「アイスティー」。

Dsc_5800_2 (伊藤叡王のおやつ)

Dsc_5788 (斎藤八段のおやつ)

14時になり、名古屋市「中電ホール」で大盤解説会が始まりました。
広瀬章人九段と長谷川優貴女流三段が解説を務めています。

Dsc_5724 (大盤解説会場の中電ホール)

Dsc_5765 (解説会の様子)

Dsc_5753 (広瀬章人九段。13手目▲4六歩について、「先手はじっくりとした駒組みを目指した手」と解説していた)

Dsc_5740 (長谷川優貴女流三段)

Dsc_5771(今期五番勝負では、大盤解説会場や前夜祭会場に記念スタンプを用意。スタンプを5個集めた方には対局者のサイン入りポスターをプレゼントする企画を行っている。藤野英人・レオスキャピタルワークス株式会社代表取締役社長が前夜祭で、「最近は『観る将』のほかに、ファンの方が対局に帯同する『旅将』というジャンルができました」と話していた。タイトル戦とともに各地を回って楽しむ方も増えてきた。
https://x.com/shogi_jsa/status/1905545409860092215 )

Dsc_5350 (久屋大通に接したところにあるオアシス21。奥に見えるの「水の宇宙船」。公園やバスターミナル、商業施設を兼ねた複合施設)

Dsc_5360(桜通との交差点に歩道橋がかけられている)

名古屋市の中心部を南北に通る久屋大通は、中央部が久屋大通公園として整備されており道幅が100メートルに達する道路です。公園の中心部に電波塔の「中部電力 MIRAI TOWER」があるなど、市のシンボルとして親しまれています。

Dsc_5318 (久屋大通)

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Dsc_5342 (久屋大通とともに、名古屋市のシンボル的存在の「中部電力 MIRAI TOWER」)

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13時30分になり、対局が再開されました。再開後も伊藤叡王は38手目△8五飛の局面を考え続けています。どういう方針で進めるか悩ましい局面でしょうか。1筋の歩の配置や7筋の歩を持ち合っていることは、通常の相掛かりとは変わっている点といえます。

Dsc_5671 (斎藤八段は13時20分ごろ対局室に戻った)

Dsc_5666(13時23分ごろに戻った伊藤叡王。対局再開前から集中して読む)

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Dsc_5636 (昼食休憩時に床の間を撮影。掛け軸の絵は左下側に尾張藩士で画家の小田切忠近(号は春江)の名前が記されていた)