終局直後にインタビューがありました。
(終局直後の光景。勝者にカメラが向けられ、敗者はそれを肩に背負う)
(伊藤叡王は初防衛。前期第5局を想起させるような逆転勝利だった)
――相掛かりから△8七歩(22手目)と打つ展開になった。
伊藤 途中まで前例があった気がしますが、そのあたりの記憶があいまいで、ちょっと準備不足だと感じながら指していました。△7三桂(44手目)から△3三桂(46手目)としたのは妥協気味な気がしたので、あまり自信がないと感じていました。
――△5六飛(60手目)から馬を作ったあたりは。
伊藤 (△5六飛とはせずに)飛車を引くのでは、はっきり苦しいのかなと思ったのですけど、本譜も▲7一飛(67手目)のときにいい手順が見えなかったので、ちょっと苦しいと感じていました。
――▲7一飛に対して38分の考慮があった。あのあたりは難しいと感じていたか。
伊藤 なかなか駒が使えない展開というか、ちょっと攻め駒が少ない感じなので、うまく勝負できる順がないかと探していました。
――最終盤は難解だった。どのあたりで勝負(勝ち)が見えてきたか。
伊藤 △6四香(104手目)と打ったあたりは勝ちになっていてもおかしくない、と感じていました。
――防衛した率直な感想。
伊藤 苦しい時間帯が長かったかなと思うので、まったく実感はないです。
――タイトル2期獲得で八段に昇段した。
伊藤 あまり意識はしていなかったですけど、よかったかなと思います。
――先手で相掛かりにした。事前の予定通りだったか。
斎藤 ▲6六歩(31手目▲6六同歩か)を突いて、どの対策をされるのか分からなかったので、用意していた、というわけではないですが、考えたことはあるような局面は続いていました。
――▲3三角成△同金▲4六歩(57手目)で2枚換えになったあたりは。
斎藤 そこで決断がだいぶ鈍ってしまい、終盤に(時間の面で)響いたかなと。2枚換えならすぐに指すべきでした。(▲3三角成に代えて)▲6七銀もあるかなと思っていて、ちょっと決断が悪かったな、という感じですか。
――▲7一飛(67手目)のあたりは。
斎藤 厳密には少し指せている、というつもりではいたのですが、まだまだ嫌なところは残っているのかなという感じで。よさそうだけど、まだ展望は見えていなかったです。
――最終盤を振り返って。
斎藤 ちょっと厚いというか、何か勝ちはずっとありそうなのかな、と思っていたんですけど、△6四香(104手目)が見えていなかったので、そうなると▲4一竜(99手目)がだいぶ悪い手になったか……。代えて▲7五飛と回るべきだったとは思うんですが、その前に決める手がなかったかなあ、という感じですかね。
――この結果については。
斎藤 ギリギリのところはあったのかなと思うんですけど、最後は勝ち切れなかったので、大事なところで決めきれなかった感じです。5局とも全部難しい将棋だったかなと思います。
――シリーズを通して戦えていた実感はあったか。
斎藤 よい面もあったと思いますけど、終盤のミスみたい手もけっこう思い浮かぶので、そこが反省点かなと思います。