2026年5月 3日 (日)

終局直後、両対局者にインタビューが行われました。

Dsc_0483(終局直後の対局室の様子)

Dsc_0489_2(斎藤八段)

【斎藤慎太郎八段の談話】

――四間飛車を採用した。
斎藤 ▲3七銀(15手目)を見ての△4二飛ですから、何がなんでも振り飛車というわけではありませんでした。序盤の駆け引きでした。本譜の形で手得を目指せないかな、というつもりで指していました。

――第2局の後に「策を練りたい」と話していた。
斎藤 前例もある形ですので、こういう指し方もあるのかなと。ただ、居飛車か振り飛車かを選ばないといけないので、難しい将棋だと思いました。

――33手目▲8八玉で昼食休憩になった。午前の手ごたえは。
斎藤 こちらだけ角が手持ちなので、頑張れば一局になると思いました。△5五歩(36手目)は、そこまでやる手ではないかと思いつつ、手待ちするか、ちょっと分からなかったです。いちおう展望はあるかな、と思いながら進めていました。

――58手目△9五歩は長考で指した。
斎藤 あのあたりは自信がなくなってしまって。△9五歩は勝負手のつもりで指しました。ただ、玉が見える形にしておきたかったので。

――終盤は激しい寄せ合いになった。勝負の分かれ目は。
斎藤 △6七歩成(106手目)で△6四香の顔が立ったので、そのあたりで、ついに面白くなったんじゃないかと思いました。

――勝ちになったと思った局面は。
斎藤 △9六角(112手目)が攻防の手になったので、そこで残していればな、と思っていました。

――本局全体を振り返って。
斎藤 序盤からずっと難しい将棋なのか、何か楽しみがあるのではないか、と思って指していたのですが、本当に最後まで分からなくて。最後に残っていたのは幸運だったと思います。

――第4局に向けて。
斎藤 まだまだ厳しい星取りなので、一局一局といいますか、コンディションを整えて頑張りたいと思います。

Dsc_0495(伊藤叡王)

【伊藤匠叡王の談話】

――序盤の進行について。
伊藤 そんなに数の多い将棋ではないので、手探りでやっていました。▲3三角成(25手目)に△同金から△4四銀が見えていなくて、それに対して▲6八角(29手目)はあまりよくないと思いつつ。△3五歩が嫌だったのですが、角を打たずに頑張らないといけなかったのかな、という気はしています。

――四間飛車は予想していたか。
伊藤 事前には想定しづらいですが、有力な指し方のひとつかなと思っていました。

――33手目▲8八玉で昼食休憩になった。午前の手ごたえは。
伊藤 角を手放しているので、こちらとしてもそんなに自信は持てない。ちょっと失敗しているかなと感じていました。

――62手目△4六歩に▲9四歩で攻め合いを挑んだ。
伊藤 けっこう形勢が悪いと思っていたので勝負手気味でした。△4六歩が入ってしまう(=▲同歩と取るようでは)と展望がないと思ったので。本譜は少し難しくなってきたかな、という感じもしつつ、ずっと分からないまま指していました。

――最後の寄せ合いは、どのあたりがポイントだったか。
伊藤 こちらが秒読みに入ったあたり(80手目)は方針の岐路だったと思います。▲8五歩から攻めがつながるかどうか。本譜は少し細くなっていった気がします。

――本局全体を振り返って。
伊藤 自信のない局面が多かったので、未知の局面での対応力が問われていると感じました。

――第4局に向けて。
伊藤 もっと内容が向上するように取り組んでいきたいと思います。

(書き起こし=牛蒡)

Eiou202605030101116第3局は19時40分、116手で斎藤八段が勝ちました。消費時間は、▲伊藤4時間0分、△斎藤4時間0分(持ち時間は各4時間)。斎藤八段が1勝を返し、シリーズ成績は1勝2敗。第4局は5月23日に大阪府泉佐野市「犬鳴山温泉 み奈美亭」で指されます。

2026050380

図の局面で両者ともに1分将棋となりました。図から▲8五歩△9五歩▲8四歩△9六歩▲7五桂と進んでいます。ノーガードの攻め合いを制するのはどちらでしょうか。

Dsc_0478(杉本八段。検討に熱が入る)

2026050369端をめぐる攻防が続きます。図は伊藤叡王が桂頭に銀を打ったところで、8筋に駒柱が立ちました。「駒柱は縦の将棋で起きやすいです。激闘の証ですね」と杉本八段。「ただ、気になるのは斎藤八段の残り時間です」と続けていいました。斎藤八段の残り時間は10分、伊藤叡王の残り時間は18分です。

Dsc_0474_2(夕暮れ時の庭)

2026050357図は17時の局面です。控室では「後手の指し手が難しい」と話されるなか、斎藤八段は残り時間の半分にあたる30分を使って△9五歩と突きました。左美濃囲いの端攻めを狙った手ですが、▲9五同歩で歩切れを解消されるだけに決断の一手といえます。盤上に呼応するように、外を見ると激しい雨が降っています。先に抜け出すのはどちらでしょうか。

Dsc_0464(雨粒が水面に映る。奥には鯉の姿があった)

2026050333_3

1図は昼食休憩の局面です。後手の指し手が広い局面でしたが、実戦は△5四歩▲6六歩△5五歩と進行しました。斎藤八段は後手番ながら、積極策で主導権を取りにいきます。△5五歩以下、▲8六角△4一飛▲2四歩と進んで攻め合いとなりました。

2026050349_22図は16時頃の局面で、伊藤叡王が銀取りをかけました。駒得の拡大を目指す自然な一着です。立会人の杉本八段は「ちょっと前まで先手がよさそうでしたが、斎藤八段が盛り返してきました。特に先手の飛車を押さえ込んでいるのが大きいです」と話しました。このあとは2八飛がさばけるかどうかがポイントになりそうです。

Dsc_0169(伊藤叡王は駒得拡大を目指す)

「か茂免」は名古屋市東区にある、昭和3年(1928年)創業の老舗料亭です。名古屋市の町並み保存地区に指定された白壁地区にあり、敷地面積は1000坪を誇ります。母屋の庭は、近代日本庭園の先駆者とされる作庭家・七代目小川治兵衛が作庭した、名古屋唯一の庭園として知られます。
初めて将棋のタイトル戦で指されたのは2019年の第60期王位戦第1局です。叡王戦では第6期・第8期~第10期で開催され、今期で5回目となります。

Dsc_0296(か茂免の看板)

Dsc_0321(町並み保存地区に指定された白壁地区にある)

Dsc_0280(玄関)

Dsc_0267(庭の眺め)

Dsc_0327(対局室へ向かう廊下)

Dsc_0043

14時から現地の大盤解説会が始まりました。会場は愛知県名古屋市「名古屋観光ホテル」です。最初は広瀬九段と脇田女流初段、続いて杉本八段と船江七段が出演しました。

Dsc_0422(広瀬九段)

Dsc_0426(脇田女流初段)

Dsc_0431(15時から出演者を交代した)

Dsc_0445(杉本八段)

Dsc_0439(船江七段)