藤井叡王は昼食休憩を挟む51分の考慮で▲8六金と上がりました。対して出口六段は△8六同角▲同歩に△7六銀(2図)と角切りから勝負に出たのです。
2図から▲6六角△7七歩▲同銀△同銀不成▲同角△7六銀に▲6一角(3図)と先手も攻め合いに出ました。
▲6一角が放たれたとき控室では「銀ではなく角」と歓声が上がりました。銀の割り打ちが打てる場面で角を打つのは珍しいかもしれません。△8二飛には▲8三銀△6二飛▲7二角成と飛車を捕まえにいく狙いがあります。
しばらくは先手ペースで進んでいましたが、▲6五桂(4図)で検討陣の評価が変わってきました。▲6五桂は△6一金に▲5三桂不成を用意した意味ですが、△4二玉と上がって▲2一飛の王手を未然に防いでおく手があって、現在は激戦と見られています。






































藤井叡王の先手で相掛かりに進みました。最もホットな作戦とあって第1局、第2局、千日手指し直し局に続いての登場です。1図の▲6八玉は△9四歩に反応した玉上がりといわれています。左辺で戦いになったときに7八の金にヒモをつけています。
昨年の叡王戦五番勝負第5局・▲藤井聡太王位・棋聖-△豊島将之叡王戦(肩書きはいずれも当時)と同一局面を迎えました。その将棋は後手が△4二銀と指しましたが、出口六段は△4四歩を選択しました。
△5二金に先手は▲5八玉と寄りました。7九の銀を活用しやすいようにしながら玉を戦場から遠ざかります。
先手は玉を6八に戻りました。後手から△4五歩▲同歩△同桂▲同桂△4四歩の仕掛けに備えた玉寄りといわれています。控室では「▲6八玉は見たことがない」といった声が上がっていました。以下、実戦は△3一角▲7八銀△4一玉と進んでいます。


