2021年8月22日 (日)

Dsc_30411 (豊島叡王。カド番をしのいで、最終局に持ち込んだ)

◆豊島叡王の談話

――本局を振り返ってください。

豊島 序盤は考えていた形の一つでした。中盤は難しかったと思うんですけど、駒得する展開になったので、少し指せそうな気がしていました。▲2四歩(73手目)と合わせた局面で明快な勝ち方が分からなかったので、本譜はおかしかったかもしれません。

――カド番から2勝2敗のタイに追いつきました。

豊島 何とか追いついたという感じで、次が最終局なので、悔いがないように指したいです。

Dsc_30471 (敗れた藤井王位・棋聖)

◆藤井王位・棋聖の談話

――本局を振り返ってください。

藤井 早い段階で差をつけられてしまって勝負どころを作れなかったので、残念です。

――▲7九金(41手目)を軽視したということはありますか。

藤井 そうですね。進んでみると、大分まずい局面になっているのかなという気がしました。

――第3局、第4局と名古屋対局が続きました。

藤井 地元でタイトル戦を指す機会をいただいたことは、とてもありがたいと思っています。

――最終局についてはいかがですか。

藤井 本局は完敗だったので、精一杯戦って勝負どころを作れるように指せたらと思います。

Eiou202108220101_91

五番勝負第4局は91手で豊島叡王の勝ちとなりました。終局時刻は17時40分。消費時間は▲豊島3時間38分、△藤井4時間0分(チェスクロック使用)。対戦成績は2勝2勝となり、最終第5局は9月13日(月)に東京・将棋会館(東京都渋谷区)で行われます。

(飛龍)

20210822h

図は17時20分過ぎの局面です。豊島叡王は7六桂の利きに▲8八角と打って、9九の飛車を捕獲しました。「強い手だねー」と、控室の中村修九段。△8八同桂成は▲同竜で、後手から有効な手がなさそうです。▲8八角に代えて、少し遠くから▲5五角なども考えられましたが、それは△6八桂成▲同玉△7九飛成で玉を下段に落とされる順が気になったのかもしれません。
実戦は▲8八角以下、△6八桂成▲同玉△7九飛成▲同角△7二銀までパタパタと進みました。依然として豊島叡王が優位を保っています。

Dsc_29261 (豊島叡王。飛車を取って、寄せを狙う)

20210822g図は16時50分過ぎの局面です。▲2四歩の合わせに、藤井王位・棋聖は△7七角成と踏み込んでいきました。代えて△2四同歩と相手をするのでは勝てないと判断しての勝負手と思われます。△7七角成には素直な(1)▲7七同銀も有力で、以下△7九竜▲6八銀でしのげるなら、角が手駒に加わった分、先手は攻めやすくなります。と金を払う(2)▲9七竜もあるようです。豊島叡王はどう応じるでしょうか。

Dsc_29781 (藤井王位・棋聖。残り時間は20分を切っている)

20210822f図は15時50分頃の局面。▲8三歩成に△同銀としたところです。中盤の競り合いが続いています。形勢としては豊島叡王がややリードしており、図から▲8三同角成△同歩▲同竜△8二歩▲8六竜△9八飛成▲6五角が進行例だと中村修九段。先手は駒得が大きく、玉の安定度の面でも後手よりまさっています。

Dsc_29921 (豊島叡王。勝って最終局に持ち込むことができるか)

14時から、対局場の近くの名古屋市中小企業振興会館で大盤解説会(事前申し込み制)が始まっています。

Dsc_30151 (まずは、メイン解説の木村九段とゲストの佐藤康九段のペア)

Dsc_30081 (解説名人の呼び声高い木村九段)

Dsc_30131 (佐藤康九段。「緻密流」が代名詞だ)

Dsc_30241 (豊島叡王の63手目▲6五角を見て、「よく読んでいるなと感じる手」、「味のよい手」と話していた)

Dsc_30271 (15時になり、聞き手の脇田女流初段が登場。木村九段は、形勢は先手リードという見解)

Dsc_30361 (脇田女流初段は、愛知県一宮市出身だ)

15時、両対局者に午後のおやつが出されました。豊島叡王が熊本県産和栗のプリンショートとアップルジュース、藤井王位・棋聖がプレミアム生ミルキーとアップルジュースです。

Oyatsu1(豊島叡王のおやつ)

Oyatsu3 (熊本県産和栗)

Oyatsu4 (藤井王位・棋聖のおやつ)

Oyatsu6 (歴史あるミルキーのプレミアム版)

20210822e図は13時20分頃の局面です。昼食休憩明けから、豊島叡王が▲9五歩△同歩▲7四歩△同飛▲6五角と激しく攻めていきました。仮に後手が7四の飛車を逃げれば、▲9二歩があります。藤井王位・棋聖としては、バランスを崩さずにうまく対応したいところです。

Dsc_29831 (藤井王位・棋聖)