2021年9月13日 (月)

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■藤井聡太新叡王
――一局を振り返っていかがだったでしょうか。
藤井 序盤から積極的に動かれて、こちらが対応できるかという展開だったかと思います。かなり難しい中盤が続いていたのかなと思うんですけど、▲6七銀引(65手目)から▲7六歩(67手目)として8筋、7筋を収めることができたので、なんとかバランスを保てたのかな、という気がします。
――終盤の形勢はどのように感じていましたか。
藤井 飛車を圧迫される感じになって、取られるとこちらの玉が薄いので、本譜のように切っていくのは成算がなかったというか、どうやるのかわからなかったです。
――勝ちになったと思ったところは。
藤井 ▲6二金(107手目)と打って勝っているかなと思いました。
――叡王を獲得されたことについて。
藤井 まだまったく実感がないんですけど、フルセットは自分にとって初めてで、その中で結果を出せたのはよかったかなと思います。
――19歳1ヵ月の最年少三冠になられました。
藤井 それも本局に臨むに当たって意識はしていなかったんですけど、これからも対局が続くので結果のことは意識せずに前を向いていけたらと思っています。
――羽生善治九段は22歳3ヵ月での三冠達成でした。羽生九段の記録を大きく越えたことについては。
藤井 自分としては年少記録は気にしていないというか、最終的にどれだけやれるかということのほうが大事なのかなと思っています。
――シリーズを振り返って。
藤井 シリーズ通してきわどい将棋が多かったかなと思うんですけど、第4局はこちらが完敗だったので、内容的には課題を感じる部分もあったんですけど、フルセットまで指せて勉強になったシリーズだったのかなと思います。
――竜王戦に向けては。
藤井 1ヵ月近く間があるので、しっかり準備をして臨みたいと思います。

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■豊島将之前叡王
――本局を振り返っていかがだったでしょうか。
豊島 途中まではけっこう難しかったと思うんですけど、△8四銀(68手目)と引かされる展開になったので苦しいのかなと思っていました。その前の手順がよくなかったと思います。
――今シリーズを振り返っていかがだったでしょうか。
豊島 苦しい将棋が多かった印象ですね。
――夏場の王位戦と続けて藤井さんと盤を挟む期間が長かったですが、そのことについて。
豊島 強い棋士と指して課題がたくさん見えてきましたし、勉強になった10局だったかなと思います。
――防衛戦である竜王戦に向けて。
豊島 短期間で修正できるところはして、1ヵ月準備をして頑張りたいと思います。

歴代の三冠達成者一覧です。藤井新叡王は史上10人目、最年少での三冠達成。羽生善治九段が持つ記録を28年ぶりに更新しました。

  三冠達成日 達成時の年齢 獲得タイトル(獲得順)

藤井聡太

2021年9月13日 19歳1ヵ月 棋聖 王位 叡王

羽生善治

1993年1月6日 22歳3ヵ月 棋王 王座 竜王

中原誠

1972年6月8日 24歳9ヵ月 十段 棋聖

名人

谷川浩司

1988年6月14日 26歳2ヵ月 王位 棋王 名人

渡辺明

2013年3月24日 28歳11ヵ月 竜王 王将 棋王

豊島将之

2019年5月17日 29歳0ヵ月 棋聖 王位 名人

森内俊之

2004年6月11日 33歳8ヵ月 竜王 王将 名人

大山康晴

1959年6月12日 36歳2ヵ月 王将 九段 名人

升田幸三

1957年7月11日 39歳3ヵ月 王将 九段 名人

米長邦雄

1984年1月23日 40歳7ヵ月 棋王 王将 棋聖

Eiou202109130101111 この局面で豊島叡王が投了し、藤井聡太王位・棋聖の勝ちとなりました。終局時刻は18時22分。消費時間は、▲藤井聡4時間0分、△豊島4時間0分。藤井聡太王位・棋聖は初の叡王位獲得。三冠になりました。19歳1ヵ月での達成は史上最年少です。

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依然として激しい戦いには入らず、じりじりとした押し引きが続いています。豊島叡王は△8四銀(68手目)と引かされ、2枚の銀が8筋に追いやられて働きが弱くなってしまいました。金銀が左右に分裂していること、居玉であることなど、中央に駒が集まっている先手陣に比べると苦労の多い形といえます。

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将棋会館の1階では盤駒や棋書、将棋グッズなどを販売しています。豊島叡王と藤井王位・棋聖の揮毫扇子やクリアファイルが置いてありました。

2階の道場は対局を楽しむだけでなく、大盤解説会や式典が行われる場所でもあります。今日は高浜愛子女流2級が指導対局を行っていました。

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猛烈な勢いで進んだ午前中とはガラリと変わって、午後はスローペースで進んでいます。両者とも残り時間は約1時間になりましたが、本格的な戦いは始まっていません。刃を交えずににらみ合うような濃密な中盤戦が続いています。立会人の塚田九段は▲6五歩を検討中。「▲6五歩に△5三銀と引いて玉が堅いと思っていたんですが、▲6七金と寄られると8筋に出た銀がつんのめっています。となると、▲6五歩に△7五銀と出るかもしれませんね」と話しています。

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豊島叡王と藤井王位・棋聖は、今回の叡王戦五番勝負と並行して、お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負でもタイトルを争いました。王位戦は4勝1敗で藤井王位・棋聖が防衛。叡王戦はどちらが制し、合わせて「十二番勝負」の連戦はどのような決着を迎えるのでしょうか。藤井王位・棋聖は第34期竜王戦で挑戦者になり、竜王を保持する豊島叡王と七番勝負を戦うことが決まっています。タイトル戦での対戦が続くことは、両者の活躍ぶりを示す証左といえるでしょう。

同じ年度に対戦が続いた例では、羽生善治九段と佐藤康光九段が2005年に棋聖(五番勝負)、王位(七番勝負)、王座(五番勝負)のタイトルを争って「十七番勝負」の連戦を経験しています。さらに2人は年明けから王将(七番勝負)を懸けて戦いました。結果はすべて防衛。この年度は羽生九段が王位、王座、王将を、佐藤康九段が棋聖を防衛しています。

15時、午後のおやつの時間になりました。豊島叡王の注文は「国産フルーツロール」、リンゴジュース(氷なし)。藤井王位・棋聖の注文は「プレミアムミルキーバターサンド」、アイスレモンティー。「国産フルーツロール」はイチゴ、メロン、黄桃のシロップ漬け、甘夏のシロップ漬けを巻いた彩り鮮やかなロールケーキ。「プレミアムミルキーバターサンド」は北海道バター、練乳、生クリームを使用したコク深いミルキークリームを、サクサクのクッキー生地に挟んだ自慢の一品です。

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