2023年4月11日 (火)

230411066図では▲3七桂が予想されていました。ただ、△2六歩とされると互いに手が出しづらく、千日手がもありえます。どうしたものかと検討陣が頭を悩ませていたところ、藤井叡王は2分の考慮でさらりと▲3八飛を選択。勝又七段は思わず「見えているものが違う」とうなりました。2四に歩を垂らしたからには、▲3七桂から▲2五桂が目につくため、▲3八飛は盲点に入りやすい手です。しかし、藤井叡王はしっかりとすくい上げました。指されてみると後手の対応が難しい。

先手は7九銀型で玉が堅いので、3五で角交換になる変化はよし。▲3八飛に(1)△2六歩▲3五歩△2七歩成も▲3六飛で大丈夫。後手のと金が空振り気味です。実戦は(2)△4六歩▲同角△4五桂と進みましたが、先手が角を引いたあとに▲4六歩が残ります。展開としては後手が忙しくなりました。どこかで奥の手の△9四歩を出すことになりそうです。

230411065図は15時58分の局面。残り時間は残り時間は▲藤井31分、△菅井1時間31分。後手に苦労が多そうな戦いですが、まだはっきりとした差はついていません。控室では「長い戦いになる」との見込みですが、「そうなると残り時間が気になる」といわれています。叡王戦の持ち時間はチェスクロック式の各4時間。実はタイトル戦で実質的に最も少ない持ち時間です。ほかのタイトル戦よりも決断よく指さなければいけません。

Dsc_4547(神社の東に東京スカイツリーが見える)

230411060図で▲7九銀が指されました。落ち着いた手と評判です。図のままでも▲5七角と引けましたが、後手に5筋から動かれたときに角の当たりが強いという問題がありました。▲7九銀から▲6八角とすれば5筋攻めは怖くありません。ほかにも、7九銀型は飛車の打ち込みに強い(先手は飛車を切りやすい)、6八角型は8六の守備強化につながる可能性があるなど、水面下の変化でも得になりそうな手でした。

Dsc_4413

15時のおやつです。

藤井叡王 洋菓子屋さんの抹茶の苺大福(鹿児島県産抹茶&十勝産小豆)、白葡萄ジュース
菅井八段 多良間島産黒糖と宇治抹茶のダブルミルクレープ、赤葡萄ジュース

Dsc_4563(藤井叡王のおやつ)

Dsc_4572(菅井八段のおやつ)

御茶ノ水駅の東、神田駅の北に万世橋があります。万世橋のさらに北が秋葉原界隈。秋葉原電気街の北西に神田明神があります。これで神田駅から神田地域をぐるりと一周しました。

Dsc_2652(万世橋。4月1日に撮影)

Dsc_2656(神田川)

Dsc_2681(秋葉原)

Dsc_2694(神田明神に到着)

Dsc_2713(この日は土曜日だった)

神田界隈から日本橋川沿いに西にいくと神保町界隈。日本橋川を南に越えて少し歩くと皇居があります。

Dsc_2584(皇居の平川門。4月1日に撮影)

Dsc_2603(平川門から北へ。JR水道橋駅付近の古書店街)

Dsc_2596 

Dsc_2621(水道橋駅の北には東京ドームがある)

Dsc_2635(水道橋駅から神田川沿いに東にいくと御茶ノ水駅)

Dsc_2650(御茶ノ水駅近くの東京復活大聖堂、通称ニコライ堂)

千代田区北東部の地域を「神田」と呼びます。北は神田川、西と南は日本橋川(神田川の分流で隅田川にそそぐ)が境界線ですが、神田川の一部北側も含みます。1947年に麹町区と神田区が合併して千代田区になりました。神田地域は、書店街で有名な神保町界隈、学生街の御茶ノ水界隈、下町文化の残る神田界隈、電気街の秋葉原界隈に分かれ、神田明神は神田川の北側、秋葉原界隈にあります。4月1日に神田地域を散策したので写真で紹介します。

Dsc_2481(神田界隈のJR神田駅が散策の出発点。神田地域の東側にある)

Dsc_2476(神田明神の「のぼり旗」があった)

Dsc_2495(神田駅を南にいくと日本橋川。写真奥は常盤橋、高架は首都高速道路)

Dsc_2503(神田地域からは少し外れるが、日本銀行近くの桜並木。4月1日は見頃の終盤だった)

Dsc_2539(桜吹雪)

230411046s1図から▲3五歩△同歩▲同角△3一飛▲2四歩で開戦しました。先手は銀冠の完成から、よどみのない流れで仕掛けており、調子はよさそうです。▲3五歩が指されたのは13時53分。現在は▲2四歩以下△4二角▲3六歩△2四歩(2図)まで進んでいます。

230411051s

Dsc_4467

現地では14時から大盤解説会が始まりました。

Dsc_4538(文化交流館2階の神田明神ホール)

Dsc_4529(解説は久保九段)

Dsc_4522(聞き手は脇田女流初段)

Dsc_4543(今期五番勝負のポスター)

大盤解説者の久保九段が現地に到着しました。

230411046――ここまでの進行について。

久保 先手は9筋を突き越していて、ありそうでない形。後手は9筋逆襲も考えているかもしれませんが、基本的には先手の様子を見ながら指していくことになりそうです。先手のほうが指し手はわかりやすいですね。桂や飛車を攻めに使っていくイメージです。先手の攻めをすべて防ぐのは難しいので、後手はうまく待ちたいです。

――このシリーズについて。

久保 対抗形シリーズになるでしょうから個人的にも注目しています。菅井八段はいろいろと研究・対策をぶつけていくでしょう。対して藤井叡王がどのように指し回していくか。(藤井叡王は)番勝負を重ねながら対策を深めていくのかもしれません。

Dsc_4502