2021年6月26日 (土)

第1局 7月25日(日)
東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」

第2局 8月3日(火)
山梨県甲府市「常磐ホテル」

第3局 8月9日(月・祝)
愛知県名古屋市「か茂免」

第4局 8月22日(日)
愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」

第5局 9月13日(月)
東京都渋谷区「将棋会館」

感想戦終了後、別室で記者会見が行われました。

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――角換わり腰掛け銀の大熱戦となりましたが、改めて一局を振り返って。
藤井 序盤から斎藤八段に細かく工夫をされて、こちらが隙を見せたところがあって、タイミングよく動かれてしまった、苦しい時間の長い将棋だったかなと思っています。そのあとこちらが勝負していって戦機をつかむことができた気がします。
――苦しい状況の中、逆転できた要因は。
藤井 仕掛けのあともうまく自玉との距離感を測りながら指されて、苦しいのかなと常に思っていたんですが、相手玉に少しでもプレッシャーをかけてという姿勢で指せたのが結果的にはよかったのかなと。
――終盤、形勢が苦しい状況で時間をリードするのは珍しい展開かなと思ったのですが。
藤井 叡王戦はチェスクロックなので、形勢が苦しいまま一分将棋に入ってしまうとかなり厳しくなると思っていた。少しでも勝負できるところを残しておいたほうがいいのかなという気持ちはありました。
――叡王戦ではここまで好結果を出せていませんが、今回、挑戦権を獲得されました。
藤井 叡王戦は上位に進めたのは今回が初めてだったので、その中で初挑戦という結果が出せたのはとてもうれしく思っています。
――夏は王位戦、叡王戦のダブルタイトル戦になります。豊島さんとの2連戦について。
藤井 並行して戦うことになると思うんですけど、持ち時間はかなり異なるので、うまくそれに合わせて戦っていきたいと思います。
――棋聖戦は2連勝ですが、第3局について。
藤井 防衛が懸かる一局になりますが、なんとか気負わずにいままで通りの気持ちで臨めればと思います。
――今期から叡王戦は不二家が主催になりましたが、お菓子メーカーが主催ということについて。
藤井 将棋界はこれまで新聞社に棋戦を主催していただく形が多かった。不二家さんに主催していただいて、自分自身、CMに出たことがありますし、いままでと違う形で将棋に興味を持っていただくきっかけになるかなと思います。
――いろいろなお菓子がありましたが、対局中に食べることはありましたか。
藤井 対局中にいただく機会はなかっかもしれないですが、家で「カントリーマアム」のチョコまみれをいただいてとてもおいしかったので、また機会があれば食べてみたいと思います。
――タイトル戦の進行度合いによってはトリプルタイトル戦になる可能性もある。
藤井 今月から来月にかけてスケジュール的には詰まってくる。狭い間隔で対局が続く。ここまではいいペースでこれているので、7月もこの状態で臨めればと思います。

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――今年4月から高校に行くことがなくなって、生活はどのように変わったか。
藤井 対局以外のときは家で将棋に取り組む時間が多くなったので、大きな変化かなと思う。いまのところはいいペースで取り組めているという感触はある。
――学校に行っているときは早起きをしていたと思うが、いまはどうか。
藤井 対局がない日は何時に起きてもいいのはありがたいと思うんですが、一日の時間は限られているので、朝の8時くらいには起きられればと思っています。
――以前は学校への通学が唯一の運動だとおっしゃっていた。いまは運動などはどのようにされているか。
藤井 家にいる時間が多くなったので、意識して運動の機会を作らなければと思っている。最近は対局が多いので、対局が一番の運動になっている感じがします。
――食事に関してはどうでしょうか。
藤井 あまり自分では意識しないですけど、少し減った気がします。タイトル戦だと地元のおいしいものをたくさんいただけるので楽しみではありますが、タイトル戦の対局が多くなると体重管理に気をつけなければいけないと思います。
――コロナ禍で日本人の希望として、メジャーリーグベースボールで活躍している大谷翔平や藤井二冠の名前が挙がることがある。藤井二冠は大谷選手の活躍をニュースで見ているか。
藤井 活躍されているのはニュースで見ていますが、野球にあまり詳しくないので……。野球はまったく経験がないですが、刺激にはなっています。
――棋戦が重なって体力やコンディションの調整が大変だと思うが、それを保つために普段やっていることはあるか。
藤井 忙しいときでも睡眠時間を一定に保つ、同じ時間に寝て同じ時間に起きるほうがいいということは意識しています。
――このあと対局場も発表されますが、全国の皆さまも楽しみにしていると思います。
藤井 実は自分もまだ対局場を知らないので、皆さんと一緒に発表を楽しみにしたいと思います。豊島竜王との番勝負をなんとか盛り上げられるように精いっぱい頑張りたいと思いますので、ご観戦よろしくお願いいたします。

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終局後は代表記者によるインタビューが行われ、感想戦が始まりました。斎藤八段は▲6八銀(77手目)と引いた手を「安全にいこうと思ったらダメにしてしまった」と悔やんでいました。

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叡王戦では両対局者の手元に不二家のお菓子を入れた箱が置かれています。「叡王戦」のロゴが入った専用のもの。本局では「カントリーマアム」と「ルック」がそれぞれ2種類ずつ用意されました。不二家ウェブサイトではお菓子を使ったアレンジレシピも紹介しています。

【不二家チョコチップクッキー カントリーマアム】
https://www.fujiya-peko.co.jp/countrymaam/

【LOOK(ルック)チョコレート|不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/look/

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斎藤八段が桂で守りの銀をはがすことに成功しました。図では▲4五歩△2六角▲3七銀と角を捕まえる順もあり、銀桂交換から角桂交換へと駒得が広がります。先手が順調に攻めているといえそうです。

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12時、藤井王位・棋聖の手番で昼食休憩に入りました。消費時間は▲斎藤八段38分、△藤井王位・棋聖1時間21分。昼食は両者とも銀だら西京漬け焼き弁当(金兵衛)。対局は12時40分に再開されます。

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戦型は角換わりに進みました。斎藤八段が指した▲6九飛(41手目)が前例のない手で、用意の研究手と思われます。以前には▲4九飛、▲6六銀が指されていました。玉飛接近のうえに飛車の利きが玉で止まっているのでぎょっとしますが、実戦は△8一飛▲6六歩△6五歩▲5八玉△6六歩▲同飛と進行。

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見事に飛車が使えました。指し手の意味が見た目からは判別しづらく、理解に深い読みが求められるのは現代将棋のひとつの特徴といえます。