封じ手予想と展望など

立会人の屋敷九段、副立会人の佐藤秀七段、記録係の上村四段に封じ手予想などを聞きました。
屋敷九段「あまり見たことのない将棋になりました。佐藤王将の▲5六角が積極的でした。この角が働くかどうかが常に焦点となります。現在は双方まずまず。先手は望んで指していますし、後手も不満はないでしょう。
双方右側(2筋や3筋)の駒を動かしていくのでしょう。後手は玉の手入れも難しいですし、飛車の横利きを止めにくいからです。2筋から動くのは5二玉型の特徴が生きています。△4一玉型だと戦場に近いため後で玉が5二へ逃がさねばなりません。
封じ手は△2四歩か△1四銀ではないでしょうか。本命は△1四銀。失敗すると悲惨な目にあうかもしれないので勇気がいりますけどね。これからの数手が勝負どころです。小競り合いが続きそうです」

佐藤秀七段「とにかく、先手の角ですね。これを無力化できるかどうか。先手は角を打った以上はポイントを挙げないといけません。戦果がないと後手の手持ちの角との差が出てしまいそうです。
2筋3筋での動きになりそうです。局面が収まったときに▲9六歩と左辺を触る手はあるかもしれませんが、それが間に合うかどうかは分かりません。
後手は午後に入って左銀しか動かしていませんが、他の駒を動かすとまずくなりそうです。左銀でポイントを挙げたいですね。後手は左銀でポイントを挙げたい。そして、先手の駒を押さえ込めるか。両方、押さえ込みを狙いたいのです。
封じ手の局面は指し手が難しいですが、消去法なら△1四銀でしょうか」

上村四段「午後になってかなり緊迫した雰囲気で特に佐藤王将が集中しているようでした。渡辺竜王は普段通りの印象でした。
横歩取りは3番目くらいの候補で、矢倉や佐藤王将の向かい飛車と予想していました。渡辺竜王は最近横歩取りの後手を指しましたが、対羽生(善治三冠)戦のみなので、本局はどうかなと思っていましたけど。
封じ手の局面では、先手は8八銀の壁形が気になるところです。2筋や3筋が急所になりますが、そこで互角のやり取りになれば後手十分です。中原囲いの堅さが生きそうです。先手は3三桂をうまく攻めたいですね。
封じ手は△1四銀が本命です。似ているようでも△3四銀は▲2四歩とされたときに、8四の飛車で歩を取れません。△1四銀に▲2四歩なら△2六歩が有力です。先手は△1四銀に▲3五歩△2五桂▲3六銀という指し方も考えられます」