図は、先手の▲７七歩に後手が△５九角と反撃に転じたところ。そこで豊島竜王は▲２五桂と歩頭に桂を跳ねる妙手を繰り出しました。以下△２五同歩に▲６二と△３七角成には、▲６三角（▲４一金以下の詰めろ）△２三金▲４四歩△同歩▲２五飛△２四歩▲８五飛（参考図）と、飛車を気持ちよく転回する順があります。この華麗な桂捨ての妙手で、先手がリードを広げたと見られています。

20時過ぎ、控室には鈴木大介九段も来訪しています。現在は、ニコニコ生放送にゲスト出演中です。

対局のほうは、控室でも検討されていた▲７七歩を豊島竜王が打ちました。鈴木九段はこの手を「感触のよさそうな手」と称賛しています。

19時50分頃、控室に佐々木勇気七段が来訪しました。
強力な助っ人の来訪に、木村九段は喜んで検討を深めています。

前図△６四銀の鬼手に、直線的な順として▲６二と△５五角▲７七歩△３七角成▲６三角△２三金▲４四歩△同歩▲１八飛△８二飛▲７二と（参考図）が検討されました。以下△９二飛なら▲８三金と飛車を取りにいって先手よしとされましたが、▲７二とに△６二歩が妙手で、飛車と角の取り合いになっては先手も大変とされました。そこで現在は▲６二との前に▲７七歩と受ける手が検討されています。

図は19時半頃の局面。永瀬叡王は前譜の▲８六歩から△５五銀▲６三歩成に△６四銀！ と引きました。自ら金銀両取りにかかりにいく不思議な手。しかし、先手が取れる駒は金か銀の１枚だけ。そして銀を引いたことで後手からは△５五角の狙いができています。ニコニコ生放送のリモート解説の斎藤慎八段は△６四銀を「おしゃれな手」と評しています。

永瀬叡王は相手の「と金」の利きに銀を引く鬼手を放った。

18時55分、豊島竜王は休憩明けからさらに30分近く使って▲８六歩と打ちました。控室の木村九段は△５五銀▲６三歩成△７一金▲５三とを一例として示しました。
「手が広い将棋で、どの変化も難しい。対局者は長考の連続で手が進まない。解説者泣かせの将棋ですね。少し先手が指しやすいと見られていますが、実戦的にはまだまだ互角に近いと思います。先手の豊島竜王もそんなにいいとは思っていないでしょう」（木村九段）

夜戦に入って、木村九段は盤をにらんで真剣に考える時間が増えている。

モニターで見た再開時の様子。いよいよ夜戦だ。

夕食休憩中の対局室。

夕食休憩時の盤面。

18時、図の局面で豊島竜王が27分使って夕食休憩に入りました。消費時間は▲豊島３時間15分、△永瀬３時間43分。夕食の注文は、両者ともに鳩やぐらの叡王戦記念特別メニュー「秋の第９局セット」です。

セットの内容は次の通り。
黒毛和牛のすき煮、大根田楽、だし巻き玉子、合鴨の燻製、鶏の南蛮、ぶり照焼、かぼちゃ煮、カキフライ、栗ごはん、お漬物、フルーツ。

控室では、木村九段が再びニコニコ生放送に出演するため準備中です。
そのはす向かいでは、休憩中の本田女流三段がスイーツを味わおうとしています。

本田女流三段が食べているのは、ローソンとGODIVAのコラボ商品、「キャラメルショコラロールケーキ」（画面奥）と「テリーヌショコラ」（手前）です。商品紹介ページはこちら。

「え！ それ二つとも食べちゃうの？」（木村）
「そうですよ～♪」（本田）

豊島竜王は昼食休憩明けの△７四歩の局面から延々と考え続け、15時半過ぎに２時間２分の大長考で▲２四歩としました。そして△２四同歩に▲４五歩と突いて、後手の４四銀を追っています。以下△３三銀には▲５五銀△同銀▲６三歩成という狙いがありますが、この筋は先に銀を渡すので危ないかもしれないと見られていました。

２時間を超える大長考を見せた豊島竜王。