午前の控室
戦型は相掛かり
藤井叡王の先手で相掛かりに進みました。最もホットな作戦とあって第1局、第2局、千日手指し直し局に続いての登場です。1図の▲6八玉は△9四歩に反応した玉上がりといわれています。左辺で戦いになったときに7八の金にヒモをつけています。
昨年の叡王戦五番勝負第5局・▲藤井聡太王位・棋聖-△豊島将之叡王戦(肩書きはいずれも当時)と同一局面を迎えました。その将棋は後手が△4二銀と指しましたが、出口六段は△4四歩を選択しました。
△5二金に先手は▲5八玉と寄りました。7九の銀を活用しやすいようにしながら玉を戦場から遠ざかります。
先手は玉を6八に戻りました。後手から△4五歩▲同歩△同桂▲同桂△4四歩の仕掛けに備えた玉寄りといわれています。控室では「▲6八玉は見たことがない」といった声が上がっていました。以下、実戦は△3一角▲7八銀△4一玉と進んでいます。
午前のおやつ
対局開始前の様子
対局開始
ABEMA中継
本局はABEMAで動画中継されます。
スタジオ解説は木村一基九段、藤森哲也五段、聞き手は伊藤沙恵女流名人、本田小百合女流三段です。
マルチアングル放送は現地から島朗九段、長谷部浩平四段、中村桃子女流二段が担当します。
【ABEMA:第7期 叡王戦 五番勝負 第三局 藤井聡太叡王 対 出口若武六段】
https://abema.tv/channels/shogi/slots/8Q8UdydVWigoMy
【ABEMAマルチアングル放送(有料):第7期 叡王戦 五番勝負 第三局 藤井聡太叡王 対 出口若武六段】
https://abema.tv/payperview/BJx5MU85mF658s
本日のスケジュール
関係者食事会(2)
「本日はお忙しいなか、多くの方にお集まりくださいまして、ありがとうございます。先ほど、短い時間ではありますが、東京大学柏キャンパスの見学、また自動運転バスのほうにも乗車させていただきました。最先端の研究の現場を見ることができ、大変、刺激になりました。明日から対局がありますが、盤上においても新しい可能性を追求する姿勢を持って臨めればと思います」
「皆さん、こんばんは。本日はお忙しいところ、たくさんの方にお集まりいただきありがとうございます。本日、初めて柏市の街に来させていただきました。本当に自然豊かで風が心地よい、住みやすい街だなと思いました。少し肩の力を抜けるような、いい意味でリラックスできるような場所だなと感じました。また、自動運転というのも初めて経験させていただきまして、とても面白いなと感じました。日本の今後の将来はどのようになっていくのか、というのを考えさせられました。こういったリラックスした時間を得たなかで、第3局、自分がどのように向かっていくかというのが大事になってくると思います。いままでの経験を踏まえて、全力を尽くしていければと思っています」
「当地で第3局が行われること、本当に感謝しております。これで終わりではなくて、今日が始めだと私は思うわけであります。これが柏の将棋文化の発祥の第一歩、1日目だと私は思っております。これからも皆様にご協力をお願い申し上げる次第であります。それでは、明日は素晴らしい将棋を見せてもらえることを祈念いたしまして、乾杯!」
本日の中継は以上です。明日もよろしくお願いいたします。
関係者食事会(1)
18時から「三井ガーデンホテル」で関係者食事会が行われました。両対局者や関係各位のあいさつを紹介します。
「五番勝負のおやつは、対局されるお二人に好みをお聞きして、ご用意させていただきました。私どもの製品が、疲れた頭脳の栄養補給になり、また、心身の癒やしになれば幸いでございます。明日の対局は日本中の将棋ファンが注目しておられますから、叡王戦の歴史に新たな一ページを残すような大熱戦になることを期待しています」
「ここ1、2年でAIを使った研究がプロ棋士の間でも導入されてきました。それによりまして将棋の新たな一面といいますか、奥深さが見えてくることが多くなりました。今期の第1局、第2局も、いままでにない新しい時代の序盤戦から中、終盤戦となっております。いよいよ第3局ですが、両対局者におかれましては、全力を出しきって素晴らしい棋譜を残していただきたいと思いますし、ファンの皆様におかれましては、明日からの対局をご注目いただいて、楽しいひとときを過ごしていただけたらと思います」
「私たちは投資信託という、目には見えないものを販売させていただいております。以前、藤井叡王が『盤上は宇宙のように自由で、いろんなことができる』とおっしゃっていましたが、私たちの投資の世界もとても広くて、なかなか形を見せることができません。形がないものをお伝えするのは難しいのですが、私たちが行っているのは『顔が見える投資』です。1度ホームページを見ていただければと思います。明日からのお二人のご健闘をお祈りします」
「柏の葉は、いまや日本を代表するスマートシティになりました。直訳すると『賢い街』ということになります。このスマートシティで、スマートなお二人の、ホットでかつクールなバトルが繰り広げられます。そして、この場所から新たなレジェンドが生まれると考えただけでワクワクしています。対局に当たりましては、最適な環境を提供させていただくとともに、円滑な運営にご協力できますよう、スタッフ一同、全力でサポートして参りたいと思います」
「将棋のタイトル戦につきましては、本市におきましても2011年、国指定重要文化財である旧吉田家住宅において、第82期棋聖戦五番勝負が開催されました。また、叡王戦につきましては、柏市在住の石田和雄九段が指導された高見泰地七段が第3期叡王になったということで、大変ご縁のあるタイトル戦でもございます。明日の大一番がお二人にとりまして、その力を出し尽くす対局になりますことを祈念いたします」
「私の生まれ育った土地で叡王戦が行われるということで、こんなに素晴らしいことはありませんし、大変な名誉だと思っております。いまでも石田九段にときどき教わって、柏の道場に顔を出させていただております。私は小さい頃から将棋が大好きでして、柏市で将棋文化が根付くことを、心から願っています」
(書き起こし=玉響 撮影=琵琶)