2025年4月 3日 (木)

Dsc_5405001_2 (9時45分ごろ斎藤八段が入室)

Dsc_5497 (伊藤叡王は9時47分ごろ入室。「玉将」を据える。宗歩好の書体の駒は双玉なので上位者も玉将を使う)

Dsc_5446 (斎藤八段)

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Dsc_5464 (伊藤流で並べる伊藤叡王。タイトル経験者で伊藤流で並べる棋士は珍しい)

Dsc_5482 (河村宣行・株式会社不二家代表取締役社長による振り駒は歩が3枚出て伊藤叡王の先手に決まった)

おはようございます。今日の名古屋市は晴れています。
今日のスケジュールは以下の通りです。

10:00 対局開始
10:30 午前のおやつ
12:30 昼食休憩
13:30 対局再開
14:00 現地大盤解説会開始(申し込みは終了しています)
15:00 午後のおやつ
??:?? 終局

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2025年4月 2日 (水)

乾杯後に対局者は退出。立会人の屋敷九段、大盤解説会の解説・聞き手の広瀬九段と長谷川女流三段が対局の見どころを話しました。

Dsc_5223 (見どころを話す3人)
長谷川 タイトル戦に向けて、第1局とはどういう心境で迎えるものですか。
広瀬  五番勝負だと第1局というのはすごく大きいと思うんですよね。七番勝負なら負けてもまだ取り返せますけど、五番勝負で仮に振り駒で先手番になって負けてしまうといきなりまずいと。なので先手番のほうがプレッシャーがかかるんじゃないかと。
長谷川 私なら先手はうれしいと思ってしまいそうですが。
広瀬  性格が出ると思いますね。うれしいと思う人もいますし、やばい負けたら結構ピンチだと思う人もいます。自分なら後者を思ってしまいますね。
長谷川 両対局者の印象はいかがですか。
屋敷  強いとしかいいようがないですよね。ただ先ほど詰将棋解答選手権の話が出ていたのが面白いなと思いました。
広瀬  伊藤叡王も私も斎藤八段の作品は解けませんでした。そういうのって詰将棋作家はすごくうれしくなると思うんです。「解けそうで解けなかったー」みたいなのがいちばん。ただそれを伝えると明日に影響が出るかと思ったので、対局が終わってから伝えようと思います。
屋敷  戦型については予測不能で、何でもありそうです。▲2六歩△8四歩ぐらいまでは予想できますけど、まさかの△3四歩もあるかもしれませんので。
広瀬  斎藤八段は最近ちょっとフォームを変えていると思っていて、最新形を少し外すような。普段から考えているストックを出してくるかどうか。伊藤叡王は何でもこいのタイプなので、おそらくは斎藤八段の作戦に伊藤叡王がどう対応するかのシリーズになると思います。ただ斎藤八段は長考派で、持ち時間が減っても納得いくまで考えるので、最終的には一分将棋の秒読みになって最後に間違えたほうが負けるという展開も考えられます。戦型予想ではないですが、そういう秒読み勝負も楽しんでほしいですね。長谷川さんはどうですか?
長谷川 伊藤先生が昨年は挑戦者、今年は叡王という立場で、それがどう影響するのかは見どころだと思っています。明日は振り駒から始まりますので、本当に朝から目が離せない熱戦を皆さんと一緒に楽しみたいなと思っています。

Dsc_5269 (屋敷九段)

Dsc_5237 (広瀬九段)

Dsc_5252 (長谷川女流三段)

Dsc_5306 (脇・日本将棋連盟専務理事が中締めをした)
「明日の対局が楽しみです。両対局者の健闘を祈ります」

(書き起こし=虹、写真=銀杏)

Dsc_5100_2 (花束贈呈)

Dsc_5141 (伊藤叡王のあいさつ)
「今期の叡王戦は昨年と同様、第1局と第3局で名古屋対局がございます。私は生まれは東京なのですが、両親が名古屋出身だったり、親戚の家が名古屋にあったりと縁が深く、地元のような感覚を持っています。なので名古屋で対局できることを大変うれしく思っています。
斎藤八段とは持ち時間の長い将棋では初手合いということで、どういうシリーズになるのか楽しみです。また、斎藤八段は詰将棋の印象が強く、先日の詰将棋解答選手権のときに斎藤八段の作品が出題されていたのですが、私は選手として解くことができず幸先の悪いスタートとなってしまったなと感じておりましたけれども、いつも良作を発表されていて素晴らしいなと思っています。
明日は新年度になってから初めての対局ということで、気持ちを新たに臨みまして、皆さまによい将棋をお見せできますよう全力を尽くしたいと思っています」

Dsc_5163 (3月30日に行われ、伊藤叡王も出場し、斎藤八段が出題者の一人だった第22回詰将棋解答選手権チャンピオン戦の話題にも触れていた)

Dsc_5173 (斎藤八段のあいさつ)
「不二家さまには予選からお菓子をご提供いただいております。今期は私も予選から出場しておりましたので、大変多くのお菓子を頂戴いたしまして、自宅がお菓子祭りといいますか、お菓子に困ることのない幸せな日々を送っています。ちなみに私の好みは『ホームパイ チョコだらけ』の商品で、今朝もいただきました。ありがとうございます。
名古屋に関わりある協賛社の皆さまもおられるということで、この地での対局は意義のあることだと思っておりますし、私もこの場でごあいさつできることを楽しみにしておりました。
また、明日の対局場の神楽家さまには初めてお伺いしましたが、本当に歴史と風情のある対局場で、ご用意いただけたことをありがたく思います。昨年の叡王戦五番勝負の大熱戦の数々は、皆さまの記憶に新しいものと思います。私もそのような熱戦を指せるように精一杯頑張ってまいります」

Dsc_5211 (立会人の屋敷九段が乾杯の音頭を取った)

(書き起こし=虹、写真=銀杏)

19時から名古屋市「名古屋東急ホテル」で前夜祭が開かれました。

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Dsc_5006(主催の河村宣行・株式会社不二家代表取締役社長)
「不二家らしいお手伝いということで、対局者の前にはペコちゃんのお菓子ボックスを置かせていただいております。棋士の皆さまは対局で頭脳を使われますので、栄養補給という点ではお菓子に含まれる糖分は役立ちます。お菓子と将棋というのは大変相性がよいなと思っています」

Dsc_5040 (主催の脇謙二・日本将棋連盟専務理事)
「日本将棋連盟は昨年で100周年を迎え、さまざまなイベントや、東西将棋会館の新設移転という大事業を行うことができました。これもひとえにファンの皆さまのご支援、ご協力のおかげと心より感謝申し上げます。明日からは居飛車党の本格派同士の戦い、また持ち時間4時間でスリリングな戦いが見られるかもしれません」

Dsc_5071 (特別協賛の藤野英人・レオスキャピタルワークス株式会社代表取締役社長)
「最近は『観る将』のほかに、ファンの方が対局に帯同する『旅将』というジャンルができました。前夜祭会場の中にもいらっしゃると思います。そういう新しい文化ができることがすごくうれしいと感じております」

(書き起こし=虹、写真=銀杏)

五番勝負開幕にあたって、両対局者に記者会見が開かれました。

Dsc_4929 (会見に出席する伊藤叡王)

――五番勝負の意気込みと、斎藤八段の印象は。
伊藤 いよいよ開幕するんだなという心境で、自分にとっては昨年の叡王戦以来の大勝負。緊張感が高まっているという状況ですね。斎藤八段とは早指しの対戦はあるのですが、長い持ち時間での対局は初めて。一手一手丁寧に指されるという印象があり、また時間がなくなってからも正確な指し手を続けられます。非常に正統派の将棋だと思っています。

――将棋界には「防衛して一人前」という大山康晴十五世名人の言葉がある。
伊藤 まさにそのとおりだなと思いますし、昨年にタイトルを獲得できたのは自分としても運がよかったなという感覚もあります。今回の防衛戦が、しっかりと実力が伴っているかを問われる番勝負になるのかなと思っています。

――挑戦するときと心境に違いはあるか。
伊藤 ここ1年ほどは対局数も多くなかったですし、こういった大きな舞台での対局を経験できていなかった。久しぶりの大舞台でどういう将棋を指せるのか、というのは楽しみでもありつつ、不安もあります。

――詰将棋解答選手権で斎藤八段が出題した。それに向き合った経験と、いまどう思い返すか。
伊藤 私はその作品をまったく解くことができず残念な気持ちがあった。斎藤八段は詰将棋作家としても本当にいつも素晴らしい作品を発表されているなという印象です。

――藤井聡太竜王・名人がタイトル戦に出場しないのは久しぶり。
伊藤 ここまで2年以上、藤井さんがずっとタイトル戦に出られていたのは実力を思えば自然な現象なのかなと思っていました。斎藤八段との対戦はまた違ったシリーズになると思う。楽しみな気持ちが非常に大きいですね。

――生活面で何か新しい取り組みはあるか。
伊藤 生活リズムを整えるのは理想だなと感じているが、なかなか思っていても行動に移すのは難しく、最近は規則正しい生活とはなっていないと思う。そこは自分を律して取り組んでいかなければとは常に感じています。

――新年度が始まって、まずこの防衛戦で真価が問われている。
伊藤 昨年度を振り返ると、タイトルを獲得できたのはよかったのですが、そのあと思うような結果を出せませんでした。棋士になって5年目になりますが、成績のよい年、あまりよくない年が順番にきています。気持ちを新たにして臨み、一年を通して活躍できるような年にしたいです。

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Dsc_4959 (斎藤八段)

――伊藤叡王の印象と、挑戦が決まってからこれまでどう取り組んだか。
斎藤 伊藤叡王は四段になってからあっという間にトップ棋士に上り詰めた印象です。強くなる速度が周り以上といいますか、同学年の藤井さんと切磋琢磨しているといいますか。棋風は受けが強いといわれていますが、攻めも受けもバランスがよく、そして研究も深い棋士だと思っています。
挑戦が決まってから2週間ほどでしたが、公式戦がいくつかついて対局の間隔が空かなかった、日々将棋のことを考えられたのは私としてはよかったと思います。その中で体調を崩すこともなく、よい状態で迎えられました。

――五番勝負の意気込みは。
斎藤 自身としては久しぶりのタイトル戦です。以前は「大舞台なので頑張らなければ」と自分にプレッシャーをかけていましたが、それがよくなかったのではないかとここ数年は考えていました。今回はあまり気負わず、本戦と同様に「どう転ぶか分からないが思いきって指していこう」という心情で五番勝負もやっていこうと。精神的にはそう考えています。

――気持ち的に成長できたと話していた。
斎藤 棋士としての年月を重ねて、俯瞰して考えたとき自分から転ぶような将棋がありました。どこか重く背負い込んでやっている、自分が原因でタイトル戦中も疲れることがありました。自分を追い込んで勝つタイプの棋士もいますが、私の場合はちょっとリラックスしたような状態のほうがよい手が指せるのではないか。次に大舞台のチャンスがあればそういうスタンスでいこうと考えていました。

――師匠の畠山鎮八段など、周囲の反応に印象的なものがあれば。
斎藤 畠山鎮八段からは特にお話はなかったです。初めてのタイトル戦でもありませんので自分でやるように、という無言のところはあるのかなと思います。ただ勝負はここからなので。結果がどちらに出るかは分かりませんが、そのあと私のほうから連絡するつもりです。家族からは「自分らしく、好きに戦ってくればよいのではないか」と。私も同じような考えです。

――詰将棋解答選手権の出題について。
斎藤 詰将棋解答選手権が私は好きなので、選手として多く参加したのですが、今回は趣向を変えて作者として。ただ採用されるかは当日まで分からず、私も速報ブログで知りました。使ってもらえてよかったです。私の予想より難問だったようですが、正解者が少ないのがうれしいとかは特にありません。むしろ多く解いてもらえたほうが詰将棋は成就するところもありますので。解答を競う場の問題としては面白みがあったのかなと思います。参加された方の声は、また会ったときに教えてもらえたらなと。

――藤井聡太竜王・名人が19回連続でタイトル戦に出ていたが、それを断ち切った。
斎藤 19回連続というのは知らなかったですが、常にタイトル戦に出ているなという印象はありました。ほかの棋士がタイトル戦にどんどん出ていくというのも、それはそれで新しい見方ができるはずなので楽しんでいただけるのでは。ただ八冠が懸かる戦いを期待する声も相当に多いとは理解しています。藤井さんがいないから、といわれないような将棋を指したいと思っています。そのためにはまず私の頑張りにかかっている、熱戦で盛り上げたいです。

――取り組んできたことで何が手応えにつながったか。
斎藤 結果が出ないときは精神的に前向きになれない、私もそういう状態がありました。どう打破するかを考えたときの正解は人それぞれですが、私の場合は負けた日に頭を切り替えるために、思いきり詰将棋を創作する時間を作りました。敗戦というのは成績面では失っているので、その分を取り返す。そういう気持ちのコントロールの仕方が自分には合っていたのかもしれません。

――「挑戦と獲得は違う」という言葉があった。
斎藤 タイトル戦に出たからには奪取という結果は目指す地点です。ただそう思って力むのがいままでの私はよくなかったので、叡王戦本戦でやってきたことをやります。平常心で臨む、というところだけ変えずに戦ってよい将棋を指したいです。

――年度の初対局となる。
斎藤 年度の始まりをタイトル戦で迎えられるのは棋士としては喜ばしいことですが、さっそく勝負どころで始まります。昨年の叡王戦五番勝負は熱戦が多かったなと見ていて思いましたので、同様かそれ以上の将棋を指したいというのをモチベーションに頑張りたいです。

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(書き起こし=虹、写真=銀杏)

Dsc_4854 (本局で使用される駒)

Dsc_4876001 (箱に署名する伊藤叡王)

Dsc_4829 (落款を押す斎藤八段)

Dsc_4892 (屋敷九段)
Dsc_4907 (五番勝負では、下記リンクで特典が紹介されているように、対局で使用された駒は見届け人に贈られる。本局でも対局後にこの駒が見届け人に贈られる)
【第10期叡王戦五番勝負第1局「見届け人」を募集します(募集期間3/21~3/30 締切済)】
https://www.shogi.or.jp/news/2025/03/101321330.html

16時前に検分が行われました。大竹竹風師作の宗歩好書と錦旗書の駒が用意され、前者の宗歩好が選ばれました。また、エアコンの温度の確認をして、数分で終了しました。

Dsc_4766_1 (検分をする伊藤叡王)

Dsc_4787_1(斎藤八段)

Dsc_4808_1 (両者とも駒はどちらでも構わないという返答だったため、屋敷九段が大竹竹風師作の宗歩好の駒を選んだ)

Dsc_4833 (検分後、両対局者はABEMAのインタビューを受けた)

対局者や関係者が現地の「神楽家」に到着しました。

Dsc_4668 (伊藤匠叡王、斎藤慎太郎八段、立会人の屋敷伸之九段による記念撮影)

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